犬が「飼い主の股間を嗅ぐ」心理とは?
犬はあまり目が良くないので、特に優れている「嗅覚」ですべての情報収集を行います。
犬同士のあいさつで、お互いのお尻のニオイを嗅ぐことはよく知られていますよね。では、いつも一緒にいる飼い主の、しかも股間のニオイを嗅ぐのはなぜでしょうか。
そこで今回は、犬が「飼い主の股間を嗅ぐ」心理について解説します。犬が飼い主の股間を嗅ぐ行為には、実はきちんとした理由があるのです。
1.大好きな人のニオイを嗅ぎたい
人も犬も、股間から「アポクリン汗腺」というフェロモンのような役割を持つ汗を分泌しています。
このアポクリン汗腺は、人間のわきの下や乳房などにもありますが、犬にとっては、人間の股間が位置的に最も嗅ぎやすい場所なのです。
股間には、このアポクリン汗腺と皮脂のニオイも混在しています。犬は元々ニオイの強いものを好むので、飼い主の様々な情報が集まっている股間を「クンクン」するのでしょう。犬にとって大好きな飼い主のニオイはとても特別なものなのです。
2.挨拶がしたい
意外に思われるかもしれませんが、犬は飼い主に挨拶したいときに股間を嗅ぐことがあります。
愛犬と散歩中やドッグランを訪れたときに、他の犬とお互いニオイを嗅ぎ合っている光景を見たことはありませんか。これは犬同士の「挨拶」です。
朝起きたときや外出して帰宅したとき、出張などでしばらくぶりに愛犬に会ったときに股間を嗅いできたら「おはよう」「おかえり」の挨拶かもしれません。
このようなシチュエーションのときは、ぜひ挨拶を返してあげてくださいね。愛犬もきっと喜ぶはずです。
3.飼い主さんの行動を確認している
外出先から帰宅したときに、愛犬に体中嗅がれることはありませんか。特に、ニオイが強い股間を執拗に嗅ぐ犬もいると思います。
これは、自分が知らない飼い主の行動を知りたいという素直な思いからです。「ボクの知らないところで何をしてきたの?」と聞いているのです。
「どこへ行き、誰と会っていたのか?」「何を食べたのか?」「もしかして自分以外の犬を可愛がっていないか?」など、様々なことをチェックしているのです。「飼い主さんは自分だけのもの!」という独占欲も垣間見えて微笑ましいですね。
4.体調の変化を感じている
わたしたち人間は、病気によって体臭が変化します。
例えば、初期の糖尿病は、体や尿から甘いニオイを発します。また、がん細胞にも特有のニオイがあるようで、それに反応する「がん探知犬」も存在します。日本を始め世界各国でもがん探知犬の育成が行われているほどです。
犬にとって、飼い主のニオイはとても大切なものです。そのため、もしニオイに変化があると敏感に反応します。
愛犬が、嗅ぎ慣れているはずのあなたの股間を執拗に嗅いできたら、ご自身の健康を見直してみてください。
股間を嗅ぐ行為はやめさせた方が良い?
「ニオイを嗅ぐ」行為自体が犬社会では当たり前の挨拶ですが、わたしたちとしては少し恥ずかしいのでやめてほしい行動だと思います。愛犬と二人っきりならまだしも、友人など他の人がいる前ならなおさらですよね。
しかし、犬からすると本能的な行動であり、無理にやめさせるとストレスを感じてしまいます。大好きな飼い主さんのニオイで安心したいという愛犬の気持ちを思うと、少し可哀想な気もしてしまいます。
そのため、愛犬が「嗅いでいいとき」と「悪いとき」が分かるように、メリハリつけてコントロールしてあげることが求められます。
具体的には、愛犬が股間を嗅ごうとしたら「ダメ」ときっぱり拒否し、手で制止します。嗅ぐのをやめたら褒めてあげます。これを何度も繰り返し「許可がなければ嗅げない」と理解してもらうのです。
とはいえ、先ほども申し上げましたが、愛犬の気持ちを汲んであげることも大切です。100%ダメとしてしまうと、愛犬との信頼関係にも影響を及ぼしかねません。あくまで飼い主側がコントロールすることが必要です。
まとめ
人間視点では恥ずかしいと感じる犬の「股間を嗅ぐ」行為も、犬にとっては本能であり、好意的な意味合いが大きいのです。またこのように、犬の習性を理解することはとても大切です。
出先で股間を嗅ぐことは制止しても、お家でリラックスしているときなどは、愛犬が満足するまでニオイを嗅がせてあげてもよいと思います。
「どんな理由で嗅いでいるのかな?」と愛犬の気持ちを推察すると、距離を縮められる良いきっかけになるかもしれませんよ。