犬に『鱈』を食べさせても大丈夫?与える際の注意点やメリットまで

犬に『鱈』を食べさせても大丈夫?与える際の注意点やメリットまで

犬に「鱈」を食べさせても大丈夫なのでしょうか。今回は、その理由、鱈に含まれる栄養素やカロリー、犬に鱈を与えることのメリット、犬に鱈を与えるときの注意点を解説します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬に「鱈」を食べさせても大丈夫?

真鱈の切り身、二切れ

基本的には「大丈夫」です。鱈は犬にも安心して食べさせることができる食材です。

鱈100gあたりに含まれる脂質が約0.2gと少ないのが特徴です。スーパーの鮮魚コーナーでよく見かける真鱈(生)の切り身一切れが、だいたい100g前後です。

鱈100gあたりに含まれるタンパク質は約17.6g、炭水化物は約0.1g、カロリーは約62kcal。カロリーのほとんどがタンパク質によるものであることが分かります。

ドッグフードから摂る栄養素やカロリーのことも計算しつつ、おやつとして、トッピングとして鱈を与えるのがおすすめです。

身だけではなく、鱈を茹でて調理したときの茹で汁をドッグフードにかけて与えるのも、犬に喜ばれる方法のひとつです。手作りごはんにもお役立ていただけます。

犬に「鱈」を与えることのメリット

熟睡する犬

では、犬に「鱈」を与えると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

認知症の予防になる

鱈には「DHA」という栄養素が豊富です。「魚に含まれるDHA」という言葉をよく見聞きされているのではないでしょうか。これは「ドコサヘキサエン酸」という物質で、真鱈100gあたり42㎎が含まれています。

DHAには、中枢神経を保護する働きがあります。中枢神経とは、「脳」と「脊髄」を指し、背骨の中にある、とても太い神経のことです。

認知症を引き起こす原因は様々にありますが、「中枢神経変性疾患」もそのひとつです。

鱈に含まれるDHAを摂取することで、中枢神経が保護され、認知症の予防に役立つのではないか、と考えることができます。

睡眠のリズムを整える

鱈に含まれる「ビタミンB12」には、睡眠のリズムを整える働きがあります。脳の神経機能をサポートし、睡眠を促すための「メラトニン」という物質の分泌をサポートする作用によるものです。

老犬になると、睡眠のリズムが乱れがちになります。昼間に寝すぎて夜に眠れなくなるなど、徘徊や夜鳴きの原因になることもあるでしょう。

睡眠を促すためのメラトニンの分泌を活性化させるため、脳の神経機能を正常化させるため、睡眠のリズムを整えるために、鱈をおやつやトッピングとして与えてみることも、徘徊や夜鳴き対策のひとつとしてもおすすめできます。

犬に「鱈」を与えるときの注意点

切り身を焼いているところ

ここまでは犬に「鱈」を与えることの良い点について紹介しましたが、実は気を付けるべき注意点も存在します。

しっかり火を通すこと

犬にも鱈の身と皮のどちらも与えて大丈夫です。身だけ与えようと考えがちですが、実は、身と皮の間にこそ、最も鱈の栄養素と旨味が詰まっています。

生の鱈には、アニサキス(寄生虫)の存在が心配されるため、必ず加熱するようにし、しっかり火を通してください。

骨を取り除いて身をほぐすこと

「骨抜き」と表示された切り身として売られている鱈にも、実際は小さな骨が残っていることがあります。よく確認し、小骨を取り除いてから与えるようにしましょう。

また、喉に詰まらせてしまうことを防ぐため、消化をよくするため、身をほぐしてから与えるようにしましょう。

アレルギーを考えること

鱈によるアレルギー報告は滅多にありません。アレルギーにも似た食中毒を引き起こす「ヒスチジン」という物質も少ない魚です。

もしも皮膚に痒みや赤みが見られるときは、(アレルギーかも…?)と考え、すぐに獣医師に相談しましょう。

腎臓病の有無を考えること

鱈はタンパク質を多く含みます。腎臓病のある犬の場合は、かかりつけの獣医師に相談してから与えた方が安心です。

「タラ」の種類を考えること

実は「鱈」と呼ばれる魚にはいくつか種類が存在します。

犬に安心して与えることができるのは「真鱈」です。

「銀鱈」は100gあたりに約17.5gの脂質を含むため、脂質の過剰摂取になりやすく、非常に高カロリーです。

さらに、犬に安心して与えることができるのは「生の鱈」です。しっかり火を通してから与えます。

「塩鱈」は、長期的な保存を可能にするための塩が加えられています。犬には与えない方がよい鱈です。

鱈の加工食品を考えること

鱈は、かまぼこや魚肉ソーセージなど、練り物の原材料としてもよく使われる食材です。「鱈は犬にも与えていい食材だから」と、加工食品を与えることは好ましくありません。

食塩・砂糖・でん粉・調味料(アミノ酸等)・発酵調味料・植物油脂など、犬が必要としないものが多く含まれているためです。

まとめ

空の食器の前で見上げる犬

犬に鱈を食べさせても大丈夫ですが、メイン食材としてではなく、おやつやトッピング程度の量を与えるようにしましょう。

「生の鱈」以外で、私がおすすめする犬に食べさせても大丈夫な鱈は、「干し鱈(身のみ)」です。

「寒干し鱈」や「むしり鱈」の骨と皮を取り除き、干して乾燥させたものです。塩が含まれていない商品を選ぶのが最大のポイントです。

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