犬が「味方」だと思っている人にする行動
動物は、自分で自分の身を守らなければ生きていけません。そのため、多かれ少なかれ警戒心を備えています。私たち人間と一緒に暮らしている犬たちも、ごく一部の気を許した人以外には、警戒心を示します。
犬たちが気を許しているごく一部の人というのは、大抵の場合は飼い主さんとそのご家族です。犬の味方となり、守ってくれる飼い主さんやそのご家族には、ほとんどの犬が警戒心を解いて接してくれます。
そんな、犬が「自分の味方だ」と思っている人だけに見せてくれる行動や、愛犬に慕ってもらうために有効な、飼い主さんが取ると良い行動をご紹介します。
1.守ろうとする
犬の味方である飼い主さんは、犬のことを守ってくれる存在です。そのため、飼い主さんの身に危険が迫っていると感じると、犬も飼い主さんを守ろうとします。
状況やその犬の性格にもよりますが、飼い主さんに近づいてきた見知らぬ犬や人に向かって吠えて威嚇したり、威嚇しても相手が離れない場合は、攻撃に転じたりする場合も。また、飼い主さんの前に体を割り入れて不審者から守ろうとする様子も見せます。
さらには、家の外で聞き慣れない物音が聞こえたときに吠えるのも、守ろうとする行動のひとつです。ご家族の中で喧嘩が起きた場合などは、弱そうな方を味方することもあるようです。
2.近くで過ごしたがる
自分の味方の近くにいれば、安心して過ごせます。そのため、犬はできるだけ味方の近くで過ごそうとします。
主な行動としては、隣で熟睡していたり、顔や体をこすりつけてきたりします。
また、体を預けて寄りかかってきたり、始終後ろをついて回ったりするのも、「味方」だと思っての行動です。
3.無防備になる
犬は、「味方」である相手は、決して自分のことを襲ったり驚かせたりしないと信頼しています。そのため、安心した無防備な姿を見せてくれます。
- 仰向けになりお腹を見せる
- 背中やお尻を見せてきたりくっつけたりする
- 触られても嫌がらずにじっとしている
- 自分を撫でている手を優しく舐め返す
- 近くにいても夢中でご飯を食べ続ける
目の前でお腹を見せる行動には、スキンシップを求める意味があります。
他にも、自分より強い相手に対して「降参です!」と伝える意味合いもあります。どちらの意味かは、状況から判断しましょう。
4.アイコンタクトで意思疎通
遺伝子的には人に最も近いと言われているチンパンジーにはできず、犬にはできるとわかっているのが、人とアイコンタクトで意思疎通を図れることです。
本来、動物が相手の目をじっと見つめるという行動は「臨戦態勢」を意味しています。そのため、犬がアイコンタクトを図るのは、自分の味方だと思っている人に対してだけです。
たとえば、「顔を見上げて見つめる」「名前を呼ぶと嬉しそうに振り向いて見つめてくる」「気がつくと笑顔のような表情で顔を見つめている」なども、味方と思っている相手にする行動といえます。
5.共感する
人とアイコンタクトで意思疎通を図れる犬は、人に対する強い共感力も備えています。
ただし、相手を味方だと信じ信頼しているからこその能力です。そのため、しぐさや行動を真似してきたり、不安や体調不良を抱いていることを察知して寄り添ってきたら、それは犬の共感力による行動だと考えられています。
ちなみに、真似でわかりやすいのが、「あくび」です。人間同士でも、他人のあくびにつられてあくびをしてしまうことがありますが、犬も同じような感覚であくびをしてしまうようです。
6.不在を寂しがる
自分の縄張り内に味方がいることで安心できるのは、人も犬も同じです。そのため、味方が外出してしまうと寂しがり、帰ってくると喜んで歓迎します。
ただし、外出した人のことを信頼している場合は「必ず帰ってきてくれる」と信じているため、寂しくてもひとりで落ち着いてお留守番することができます。
これらの行動を具体化すると、下記のようになります。
- 外出するときに見送る
- 帰宅時に出迎える
- 問題行動を起こさずに、落ち着いて留守番できる
愛犬に慕ってもらうためにできること
愛犬から味方だと思われ、慕われたいのであれば、愛犬から「この人は絶対に自分に対して危害を与えない」と信じてもらうことです。そのためには、愛犬を驚かせたり怖がらせたり、また嫌がられることをしないことが大切です。
まだ信頼関係が築けていないときには、強引に接近しないで自分の手のニオイを嗅がせるなどにより、自分の情報を犬に与えて覚えてもらうと良いでしょう。犬の気持ちに合わせて、ゆっくりと距離を縮めていきましょう。
また犬の体を触るときには、触ると喜ぶ部位から優しく触るようにする、お世話を我慢して受けられたらご褒美のおやつをあげて褒める、というようなアプローチをすることをおすすめします。
さらに、褒めたりダメだと教える基準は家族内で共有・統一し、ルール通りに一貫性を持って接することも大切です。
そうすれば、積極的にスキンシップを図ってアイコンタクトで意思疎通を図れるようになり、「この人は味方だ!」と慕われ、信頼されるようになれるでしょう。
まとめ
飼い主さんがどんなに愛犬を愛していても、その愛が愛犬に伝わっているとは限りません。なぜなら、犬の気持ちを理解していない行動は、犬に対して恐怖心や不信感を与えかねないからです。
逆に、愛犬から「この人は信頼できる味方だ」と認めてもらえれば、自分にしか見せてくれない行動を見せてくれたり、落ち着いてお留守番できるようになったりします。
愛犬の気持ちを考えながら行動し、上手に愛犬との良い関係を深めていきたいですね。