犬やアシカのためのビデオゲーム研究
PCやスマホを使ったゲームは、娯楽や趣味として私たちの生活の大きな部分を占めています。このビデオゲームの楽しさを犬も理解することができるでしょうか?
ちょっと冗談のように聞こえるかもしれませんが、アメリカのエッカード大学の心理学および動物学の研究者は、ビデオゲームをプレーする犬についての研究を進めているところです。
しかもこのビデオゲームは、先立って米国立海洋哺乳類財団の研究者がアシカを使って研究したものだといいます。アシカや犬がプレーするビデオゲームとはどんなもので、どんな目的があるのでしょうか?
ビデオゲームは犬のエンリッチメントになり得るか?
エッカード大学での研究に参加しているのは、オルロという推定2歳の犬です。オルロは元保護犬なので年齢は推定されたものとなっています。
オルロは現在心理療法やカウンセリングサービスの際の、セラピードッグとしてトレーニングを受けています。またそれとは別に、オルロは前述したビデオゲームの研究にも参加しています。
しかし、オルロ自身は研究に参加しているとは思っていないでしょう。保護された直後、オルロは分離不安などの不安障害に苦しんでいました。
オルロをセラピードッグとして採用した助教授は、彼のリハビリと不安に対処する方法の一環として、エンリッチメントを与えることにしたといいます。
エンリッチメントとは、「豊かにする」という意味の言葉ですが、動物のことで使われる場合には「精神的および肉体的な刺激によって生活環境を豊かにして幸福感を高めること」という意味を持ちます。
ビデオゲームは、オルロつまり犬のエンリッチメントとして研究が進められています。オルロがゲームを学習する能力が十分にあることが証明されれば、この種のエンリッチメントが犬の飼い主の選択肢に加えられる可能性があります。
犬のオルロはレベル6をクリアできるか!
さて、オルロがプレーしているゲームの内容ですが、犬が鼻先で押すことができる4つ方向ボタンを使って、画面上の青い丸を同じく画面上の黒い四角の中に移動させるというものです。成功すると小さいトリーツが与えられます。
こちらはゲームをプレーするオルロの様子を収めた動画です。
https://youtu.be/BluaDw3kgfg?si=jS61-K5eGn_aImoO
ゲームには六段階のレベルが設定されており、ルールは意外に複雑です。次のレベルに進むには、一定の時間内に青丸を黒四角の中に移動させなくてはならず、方向ボタンを押す回数は7回以下でなければいけません。レベルが上がるごとに難易度も高くなります。
オルロは週に2回約20分間ゲームをしており、研究室に来るのを楽しみにしている様子です。
ゲーム中は通常はトレーナーが主導して休憩を取るのですが、最近ではオルロがゲームに苦戦している時には、まるで自分自身をリセットするかのように短時間その場を立ち去るようになったそうです。
普段のオルロはゲームに集中し、レベルをクリアすると興奮を示すといいます。犬自身が問題解決をするという点で、このゲームはエンリッチメントとして優れていると考えられます。
オオルロがレベル6をクリアすることがこの研究のゴールとなっているそうですが、研究が終わって論文が発表されるのが楽しみですね。
まとめ
ビデオゲームは犬のエンリッチメントになり得るか?というテーマで、犬がゲームをプレーする研究が進められているという話題をご紹介しました。
ちなみに、このゲームが最初に研究に使われた時の3頭のカリフォルニアアシカたちは、ゲームを始めてから18月後には全てのレベルをクリアしたそうです。
犬用のビデオゲームの普及は、意外と近い未来かもしれませんね。
《参考URL》
https://www.eckerd.edu/news/blog/dog-video-games/