ペットとの添い寝と睡眠の質を調査
夜寝る時、愛犬や愛猫と同じお布団で寝るという方は少なくないことでしょう。アメリカでのアンケートでは、ペットと暮らす人の半数以上がベッドでいっしょに寝ているという報告もあります。
大切な愛犬や愛猫とぴったりくっついて眠るのは幸せなことですが、夜中に暑くて起きてしまったり、ペットの寝相や寝返りで睡眠が浅くなるという声も、またよく聞かれます。
このたびアメリカのトリニティ・カレッジの心理学の研究チームが約1,600人の成人を対象にして、ペットとの添い寝が睡眠に及ぼす影響とストレス緩和効果を調査し、その結果が発表されました。
約1,600名を対象にペットと睡眠についてのアンケート
調査はアンケートという形で実施され、参加者はオンライン調査のための専用プラットフォームを使って募集されました。そして参加者は金銭的報酬を受け取ります。
このような報酬有りのプラットフォームを利用することは、性別や年齢、人種などの偏りのない、人口統計学的割り当てに近いサンプル収集ができるという特徴があります。
最終的に1,591名からの回答が集められました。質問の内容は、ペットを飼っているかどうか、飼っている場合はペットの種類、同じ部屋で寝ているかどうか(同じ部屋の別の場所または同じベッドで寝ているという回答が「ペットといっしょに寝ている」としてカウントされました。)、ペットとのつながりの強さに関する項目が含まれていました。
ペットに関する質問とは別に、この研究のテーマである睡眠の質に関する質問項目も設けられており、主観的な睡眠の質、睡眠習慣、睡眠時間、睡眠障害、日中の覚醒度、睡眠薬の使用などについて回答が求められました。
睡眠に関しては、回答を分析してそれぞれの睡眠スコア(高いほど健康な睡眠がとれている)が算出されました。
犬といっしょに寝ることは睡眠に悪影響?!
回答を集計した結果、ペットと寝ていると答えた人は47.6%にあたる758名でした。これらペットとの添い寝を報告した人たちは、そうでない人に比べて主観的な睡眠の質が低く、不眠の重症度が高いことが明らかになりました。
ペットの種類別に見ると、犬といっしょに寝ることは睡眠に悪影響であるという結果が得られましたが、猫の場合は睡眠に悪影響であるという結果は出ませんでした。またペットと一緒に寝ることが、ストレス緩和に役立つという関連も見られなかったそうです。
このような結果とは裏腹に、ペットと寝ていると答えた人の93%は「ペットが睡眠に及ぼす影響はポジティブまたはニュートラルだ」と考えており、睡眠への悪影響に気づいていない可能性も示されました。
言うまでもなく、良い睡眠は健康の重要な位置を占めています。ペットが飼い主の心と身体に良い影響を与えるとしても、ペットのせいで眠りの質が落ちるとすれば、ペットの恩恵の一部が損なわれているとも考えられます。
愛犬といっしょに寝ている人は、彼らの夜間の騒音、熱、動きが入眠や睡眠を妨げる可能性があることに注意する必要があります。
しかし研究者は、「ほとんどの人にとって、ペットと一緒に寝るのを止めることは現実的ではないでしょう」とも述べており、ペットと寝る際の注意点として、十分な大きさの寝具を選ぶ、寝具は常に清潔に保つ、ペットとの睡眠習慣を規則正しく保つなどを勧めています。
まとめ
犬といっしょに寝ることは、飼い主の睡眠の質を低くする可能性があるという調査結果をご紹介しました。
過去の研究では、犬と人間が同じ部屋の別々の寝具で寝ることが双方の眠りにとってベストであるという報告もあります。また愛犬との添い寝が、身体の慢性痛を和らげるとの報告もあります。
今回のようなアンケート形式の調査では、ペットといっしょに寝ることが睡眠障害を引き起こすと証明することはできません。研究者はペットとの睡眠や飼い主の安眠確保について今後さらに研究が必要だと述べています。
《参考URL》
https://www.nature.com/articles/s41598-024-56055-9