犬の元気がなくなる飼い主の行動
人とほとんど同じようなDNAを持つチンパンジーやボノボよりも、犬の方が、異なる動物種であるはずの飼い主さんの感情の機微を読み取り、共感し、指差しやアイコンタクトで意思疎通できることが分かっています。
犬は飼い主さんが普段と少しでも異なる様子を見せると、飼い主さんのネガティブな感情に共感したり、違和感に不安を覚えて困惑し元気をなくしてしまうことがあります。また、犬なりに飼い主さんに寄せていた期待が裏切られてしまった場合も、がっかりして元気をなくしてしまいます。
今回は、飼い主さんがあまり意識していないけれども犬の元気をなくしてしまうような行動や、落ち込んでしまった愛犬への対処法をご紹介します。
1.愛犬に無関心
犬にとって、自分の生活のほとんどすべてを掌握している存在が飼い主さんです。掌握と言うとあまり良いイメージではないかもしれませんが、実際に犬が自分の意思で自由に行動できる範囲はものすごく限られています。
そのため、犬は飼い主さんに頼るしかありません。そんな大切な存在の飼い主さんが自分に無関心であったなら、犬が絶望的な気持ちになってもなんの不思議もありません。
大好きで信頼している飼い主さんからかわいがってもらえない、遊んでもらえない、いつも他のことに夢中になって自分に関心を向けてもらえなかったら、犬はストレスのあまり元気をなくしてしまうでしょう。
2.長時間の留守番をさせる
どんなに飼い主さんが愛犬に愛情を注いでいたとしても、あまりにも長時間の留守番をさせてしまうことで、犬が元気をなくすことがあります。
日常的に留守の時間が長く、帰宅後にしっかりとコミュニケーションを取ってフォローをしている場合はあまり問題にならないかもしれません。
しかし、普段は一緒に過ごす時間が長いのに、たまに仕事などで数日にわたるような長期間の留守番をさせるなどの場合は、ペットホテルやペットシッターに依頼しても、犬が元気をなくしてしまうかもしれません。
3.愛犬を叱るばかりで褒めない
何かというとすぐに叱るのに、良いことをしても一切褒めないという飼い主さんと一緒に暮らしている犬は、どんどん元気をなくしていってしまうかもしれません。
犬は、褒められたりご褒美をもらうことが嬉しくて、一所懸命に飼い主さんの言う事を聞こうとします。しかしどんなに良いことをしても褒めてもらえず、ちょっとした失敗で怒鳴られたりガミガミと小言を言われたりすることが続くと、やる気を無くしてしまうのです。
また、叱り方やタイミングによっては、何が悪いのかが犬に全く伝わらず、ただ怖がらせるだけという場合もあります。愛犬との間に良い関係を構築したいのであれば、叱るのではなく、褒めることを中心としたしつけの方法を学ぶ必要があります。
4.過剰に構いすぎる
愛犬のことがかわいくて仕方がないという飼い主さんの中には、何をやるにも過剰に構いすぎてしまい、それがかえって犬にとってはストレスとなり、元気をなくさせてしまうケースもあります。
犬にもひとりで静かにしていたい時がありますが、そんなことにはお構い無しで構いすぎてしまう、帰宅すると息があがってへとへとになってしまうほど散歩や運動をさせてしまう、愛犬のためになるかを気にせずに欲しがるものは何でも与えてしまうなどの行為です。
構い過ぎはストレスになり、運動のさせ過ぎは体調不良につながり、甘やかし過ぎは肥満や社会性の欠如につながり、結局は愛犬のためになりません。強いストレスを与えるだけでしょう。
5.飼い主自身がストレスを感じている
冒頭でもご紹介した通り、犬は飼い主さんのことをよく観察し、感情の変化を鋭く読み取り、特にネガティブな感情には強く共感する傾向があります。
そのため、飼い主さんが体調を崩していたり、強いストレスにさらされ続けていると、それに共感した愛犬までが、元気をなくして落ち込んでしまうことがあります。
落ち込んでいる愛犬への対処法
愛犬が落ち込んで元気がない場合、まず疑うべきは病気やケガ等の体調の異変です。普段の様子と比べて何が違うのか、病気などを示す症状が出ていないかをよく観察した上で、かかりつけの動物病院に相談しましょう。
病気やケガではない場合、飼い主さんの行動に原因があるかもしれないという観点で、直近の愛犬との関係を見直してみましょう。飼い主さんご自身のストレスが影響していることも考慮し、ご自身のメンタルヘルスにも気を付けてください。
飼い主さんには悪気がなくても、新しい仕事や新しく迎えた家族などに夢中になってしまうと、愛犬は自分への愛情がなくなってしまったと感じてしいまいます。
また、在宅時に無視しているわけではなくても、家を空ける時間が今までよりも長くなっているかもしれません。そういう場合は、在宅時にできるだけ愛犬と一緒に過ごす時間を作り出し、スキンシップを増やすようにしましょう。
また、愛犬へのしつけは大切な飼い主さんの役目ですが、叱ることばかりで褒めることが少ないと気付いた場合は、「叱るよりも褒めることを主としたしつけ方」について学び、実践してください。
さらに、どんなに愛犬がかわいくて仕方がなくても、愛情過多による行き過ぎはかえって犬にとってのストレスだということを自覚し、愛犬との程よい距離感を掴み、それを維持するように心がけましょう。
まとめ
今回は、犬の元気がなくなる飼い主の行動について解説しました。
実際、元気がなくなっている愛犬を目にしてその原因が自分かもしれないと感じても、「頭では分かっているけれど、実際にどうすればよいのか分からない」という飼い主さんも多いと思います。
ご自身の行動が愛犬の元気をなくしてしまっているかもしれないと気付かれたものの、具体的な改善策が浮かばない、または自分のどの行動に問題があるのかがわからないという場合は、ぜひ信頼できる動物病院やドッグトレーナーを見つけ、相談してください。
身近な専門家を上手に活用して、愛犬との間に良好な関係性を構築しましょう。