犬が飼い主の帰宅を感知できる理由
家に到着する前に、すでに愛犬が大喜びで玄関に突進…という動画を目にしたことがある人は少なくないのではないでしょうか。
これは、犬が「飼い主の帰宅を予知」しているのでしょうか?
そこで今回は、犬が飼い主の帰宅を感知できる理由について解説します。
1.聴覚で情報を得ている
犬の聴覚が優れていることは多くの人が知っていると思いますが、その能力は飼い主さんの帰宅を感知するためにも役立っています。
犬は人間よりも広範囲の周波数の音を聞きとることができ、さらに細かい聞き分けも得意です。しかし、はるか遠くの音が聞き取れるということではないので、遠い距離にいる飼い主さんが帰宅しようとしていることを感知できるわけではありません。
しかし、飼い主さんが自宅近くにいる場合、足音や鍵を取り出すときの音、車のエンジン音、自転車の音などで気がつくことがあります。実際、京都大学でおこなわれた研究でも『犬は飼い主の足音の聞き分けができる』という実験結果が出ています。
2.嗅覚で情報を得ている
聴覚だけでなく、犬は嗅覚も優れています。そのため、嗅覚を使って飼い主さんの帰宅を感知できるのではないか、という説も考えられています。
ただし、こちらも聴覚による帰宅の感知と同様に、何kmも離れた場所にいる飼い主さんの帰宅に気がつくというわけではありません。飼い主さんが自宅に近づいたときに、飼い主さんの香水や、車・バイクの排気ガスのにおいなど、やや強めのにおいを感じ取れるという程度だと考えられています。
しかし、特に嗅覚が優れている狩猟犬であるブラッド・ハウンドを対象とした実験では、『犬が風下にいる状態であれば約800メートル先のにおいを嗅ぎ分けられた』という結果も報告されています。
犬の能力についてはまだまだ未知数の部分もあるので、今後も研究が続けられて、様々なことがわかってくるでしょう。
3.生活パターンや体内時計による感覚
犬は聴覚や嗅覚だけでなく、日々の生活パターンや時間感覚で飼い主さんの帰宅を感知していることがあります。
これは、飼い主さんが毎日同じ時間が家を出て、同じ時間に帰ってくる場合に多く見られるパターンですが、外の明るさや体感などを総合して「そろそろ帰ってくるかな?」と予測していることが考えられます。
4.家族や同居人の反応
飼い主さんの帰宅を待っているとき、他の家族や同居人が家にいる場合はそれらの反応や行動を見て帰宅を感知していることがあります。
帰宅を知らせる電話やメールがあると、家にいる家族や同居人はそれに合わせて食事やお風呂の用意をすることもあるでしょう。また、帰宅時間がわかっている場合は、連絡がなくても時計を確認したり、そわそわしたりといった様子の変化が見られることもあります。
犬は人間の表情や仕草、行動をよく観察していて、そこに含まれる感情を読み取ることに長けています。そのため、犬はまわりにいる人の様子から、飼い主さんの帰宅を感知できるのです。
5.テレパシー、予知能力?
犬が飼い主さんの帰宅を感知できるのは、嗅覚や聴覚などのほか「テレパシー」によるものだとする研究者もいます。
飼い主さんが帰宅しようと考えた瞬間や、帰宅するために乗り物に乗り込んだときに飼い犬が予知行動を取ったという記録がいくつもあります。
しかし、これらの実例に対する科学的根拠や証明がおこなわれていません。今後も「テレパシー」についての実証は難しいかもしれませんが、犬が持つ不思議な能力を否定することもできないでしょう。
まとめ
愛犬が飼い主さんの帰宅を感知できるのは、聴覚や嗅覚、時間感覚など犬が持つ優れた能力によるものだと考えられています。
まだまだ憶測の域を超えない説もありますが、いずれにしても犬が飼い主さんの帰宅を楽しみにしてくれているということはうれしいことですよね。