️犬が「人間同士の喧嘩を仲裁する」心理
犬は周囲をよく観察している生き物で、急激な変化を好みません。またよく観察をしているからこそ、とても空気を読むことが得意な生き物です。
さらに犬は、争いごとが苦手な平和主義なので、喧嘩などの不穏な空気を嫌います。周りで不穏な気配がすると、自分が緊張して不安になるため喧嘩をしている犬同士や人同士の間に「やめよう」「落ち着こう」と割り込んでくることがあるのです。
これは、どんな犬でも比較的同じような行動を見せます。小型犬であっても大型犬であっても同じで、小型犬が大きな犬の間や人間の間に割り込むこともあります。争っているところに体をねじこんで物理的に一度遠ざけることと、お互いの視界から一回お互いを外すように動くこともあるようです。
では、なぜ犬は人間同士の喧嘩をそれほど仲裁したがるのでしょうか。
1.不穏な雰囲気が苦手
犬たちは前述した通りとても平和主義者で、自分が過ごしているまわりで不穏な空気を感じることが大きなストレスになります。不穏な空気を感じると自分自身が不安になり、それが興奮状態になってしまうことが嫌なのでしょう。
そのため、この不穏な空気をなんとかしてほしい、喧嘩をしないで欲しいといって仲裁をしようとするのです。
2.群れの安全を守りたい
犬たちは群単位で生活をし、何を行うのも基本的に集団行動を好みます。何故かといえば、仲間がいる方が自分を含め生存率が高まるからです。食料を見つけるのも、敵を排除するのも、一頭でやるより複数頭でやる方が効率が良く、危険に遭う確率が減ります。
そのため、集団の中で調和の取れた行動を好む傾向があります。反対にいえば、自分が属する集団のなかで争いごとが起こると自分を含め危険であるとして、争いごと自体を避けるように行動するようになりました。そのため、仲間である家族が喧嘩をしていると、必死に仲裁をしようとするのです。
️争いを避けるためのカーミングシグナル
犬が喧嘩をしているものの間に割り込んでいく行動は、「カーミングシグナル」と呼ばれる犬同士のボディランゲージのひとつです。カーミングシグナルは犬たちが群れで生活していたころに、お互いに不要な争いを避けるため、円滑にコミュニケーションを取るために発達したと言われています。
争いごとを避けるためのカーミングシグナルをいくつかご紹介しましょう。
まず、あくびです。犬が叱られている時にあくびをすることはありませんか? これは退屈や眠さを表しているのではなく、叱っている人間に対してストレスを感じた時に出る仕草です。「そんなに興奮しないで、敵意はないよ」といっているんですね。相手からの敵意を逸らす意味があります。
同様に、自分の鼻をぺろりと舐める、目を逸らす、突然地面の匂いを嗅ぐなどといった行動は相手の興奮を鎮めるために行うカーミングシグナルだと言われています。
座る、伏せる、おしりを舐めるといった仕草は、相手に対するというより自分自身の興奮を落ち着かせるために行う仕草です。自分が興奮していると思った時に出る行動で、相手に対して「自分も落ち着くから君も落ち着こう」と言っているのですね。
体の横を見せながら、あるいはカーブを描くようにゆっくりと相手に近づく行動も敵意がないことを相手に知らせる仕草です。
このように犬は様々な仕草によって、相手に敵意がないことを知らせたり自分を落ち着かせたりして争いごとをさけているんですね。
️まとめ
犬にとって家族は群れの大切な仲間です。仲間の争いごとは群れの安全を脅かすので一刻も早くとめなければいけません。そのため、犬は一生懸命カーミングシグナルを使って私たち人間の興奮を落ち着かせようとしてくれているのです。
犬の安全で安心な暮らしのためにも、ストレスとなるような人間同士の喧嘩は控えてあげましょう。