犬が「甘噛み」をする理由
犬が「甘噛み」をしてしまう理由は、その時期によって異なります。
子犬の甘噛みの場合、乳歯が生えてくるとき、永久歯に生え変わるとき、歯茎にムズムズとした不快感が生じ、取り除きたくて甘噛みしてしまうことがあります。
人の手を甘噛みすることを禁じられると、代わりに、周りにある物を噛むようになってしまうこともあります。
子犬期には、ほぼ全ての犬にこのような理由から甘噛みがある、と言っても過言ではありません。
子犬の歯茎や口の中のムズ痒さを軽減することを目的としたアイテムがあります。子犬用として販売されている、噛んで遊ぶことを目的としたおもちゃを与えるなど対策してみましょう。
犬は犬同士での遊びの中で力加減を学びます。甘噛みもそのひとつです。
兄弟姉妹で遊ぶとき、「どれくらい噛むと痛いのか」「どれくらい噛むと傷つけてしまうのか」ということを学びます。
母犬に甘噛みをしたときは、ひどく叱られます。そこで「これはいけない行為なんだ」ということを学びます。
兄弟姉妹や母犬と一緒に、ある程度を学んだ状態で飼い主の元にやってきますが、その学びを飼い主がダメにしてしまうことがあります。それは、甘噛みを許してしまうことです。
犬の「甘噛み」は直すべき?
子犬期の歯茎や口の中のムズ痒さから起こる甘噛みは、永久歯への生え変わりが終わったとき、自然と直ることがほとんどです。
成犬になっても甘噛みがやめられない場合には、必ず直すべきです。様々なリスクを伴う行為であるためです。子犬の甘噛みはそれほど痛くありません。ひどく噛んでしまっても、ほんの少し出血がある程度の怪我で済みます。しかし、成犬になると、そうはいきません。怪我の程度に関わらず、「人の手を噛んではいけない」ということを学ばなければならない状態であるとも言えます。
中型以上の犬であると、甘噛みも痛いです。飼い主や家族であれば「大丈夫」で済まされますが、他人を甘噛みして傷つけてしまっては大変なことです。
トリミングを断られてしまう原因にもなりますし、動物病院では適切な診察や治療を受けることができなくなってしまう可能性も考えられます。甘噛みと本気噛みの境界線はあいまいで、犬にはここまでは良いけど、これ以上はダメという境界線を教えることは難しいでしょう。そのため、噛むという行為は基本的に認めない方が良いでしょう。
噛まれたときにやってはいけない行動
甘噛みは、成長と共に自然と直るものなのですが、いつまで経っても甘噛みがやめられない犬もいます。
実は犬がいつまでも「甘噛み」をやめられない原因は飼い主にある、と言っても過言ではありません。
甘噛みがなかなか治らない犬の場合、以下のような対応をされている可能性が高いです。
- 「まだ子犬だから…」と叱るのは可哀想だと思っている
- 「痛い痛い」と言いながら楽しく遊んでしまっている
- 「大して痛くないから」と噛ませ続けている
ひとつでも当てはまると、愛犬が甘噛みをやめられなくなってしまうことがあります。
犬の「甘噛み」を直す方法
ここからは、犬の「甘噛み」を直す方法について解説します。ドッグトレーナーに任せる前に、まずはご自宅で試してみてはいかがでしょうか。
冷静に低い声で一言だけ叱る
犬に甘噛みをされたときは、「ダメ」「いけない」「NO」などの言葉を使い、冷静に低い声で一言だけ叱ります。
「何で噛むの!いけないって言ったでしょう。やめなさい!」などと言っても犬には理解することが難しいのです。
無視して部屋を出る
犬に甘噛みをされたときは、無視して部屋を出ます。甘噛みでは構ってもらえないんだ、ということを学んでもらうためです。
必ず飼い主が部屋を出てください。犬をケージに閉じ込めるなどしてはいけません。
おやつで対処しない
甘噛みをやめさせるためにと、おやつを与えるのはよくありません。次からは、おやつをもらうために甘噛みをするようになってしまいます。
噛めばおやつをもらうことができるんだ、と間違った学習をさせないようにしましょう。
まとめ
犬の「甘噛み」は成長と共に自然と直ります。しかし、しつけ方や育て方によっては、成犬になってからも甘噛みをやめられない犬もいます。
成犬になると、甘噛みの強さも増します。人の手を噛むことが癖になってしまうことがあります。飼い主が皮膚を縫うほどの大怪我を負ってしまうケースがよくあります。どうしても飼い主や家族では解決できない甘噛みもあります。
愛犬の安全と健康のためにも、危険と判断されるような「甘噛み」をしている場合には、ドッグトレーナーなどの専門家に相談するようにしましょう。