犬に危険な「たまねぎ」の致死量はどれくらい?
『犬にたまねぎを食べさせてはいけない』ということは、愛犬と暮らす飼い主であれば、皆さんご存じですよね。
では、次の質問をしたいと思います。
- どうして犬にたまねぎを食べさせてはいけないのか
- 犬がたまねぎを食べるとどうなるのか
- 犬がたまねぎを誤食すると何が起こるのか
- 犬に危険なたまねぎの致死量はどれくらいなのか
- 犬がたまねぎを誤食したときはどのように対処するのか
この5つの質問全てに対して、すぐに答えることはできますでしょうか。
愛犬にたまねぎを食べさせることはないと思いますが、「たまねぎ入りの食べ物を盗み食いしてしまった」といったことはよく起こります。そのため、万が一のときのために、必要最低限の知識を得ておくと安心です。
犬にとってのたまねぎの致死量の目安として『体重1kgあたり20g以上』という数字を覚えておきましょう。たとえば、体重3㎏の犬に危険なたまねぎの致死量は60g以上です。体重5㎏なら100g以上、体重10㎏なら200g以上、体重20㎏なら400g以上です。
たまねぎは、大サイズで丸々1個300gほどあります。中サイズでは195gほど、小サイズでは100gほどです。
犬がたまねぎを丸かじりして食べることはないと思いますが、たまねぎの入ったハンバーグや餃子は食べてしまうことがあるのではないでしょうか。ご家庭によって違うかと思いますが、ハンバーグ2人~3人前(ひき肉250g~300g)には、たまねぎ半分が使われることがよくあります。
他にも、料理の材料の一部としてたまねぎはよく使われます。生のままだけでなく、さまざまな調理法で料理の中に溶け込んでいますので、その点でも注意が必要です。
犬に「たまねぎ」を絶対に与えてはいけない理由
犬にとってのたまねぎの危険性が分かったところで、ここからは、その理由について確認しておきましょう。
消化する酵素を持っていないから
たまねぎには、有機チオ硫酸化合物というものが含まれています。このような辛み成分「硫化アリル」が空気に触れると「アリシン」に変化します。このアリシンは、犬の体内で分解され「ジアリルジスルフィド」に変化しますが、犬はこれを消化する酵素を持っていないため、赤血球に障害を与えてしまい貧血が起こることがあります。
中毒症状を引き起こしやすいから
たまねぎには、アリプロピルジスフィドというものが含まれており、チオスルフィン酸アリシンの吸収力を高めることで、犬が中毒症状を引き起こしやすいとされています。
赤血球を破壊するから
チオスルフィン酸アリシンやアリプロピルジスフィドは、赤血球中のヘモグロビンをメトメモグロビンへと変化させます。
増加したメトヘモグロビンは赤血球内部の膜に集まり、ハインツ小体という塊になり、赤血球を破壊し、溶血します。
ハインツ小体溶血性貧血を引き起こすから
赤血球が破壊されると、ハインツ小体溶血性貧血という重度の貧血を起こします。犬を死に至らせることのある貧血です。
犬が「たまねぎ」を誤食した場合の症状と対処法
ではここからは、実際に愛犬がたまねぎを誤食してしまった場合の症状と対処法を確認しておきましょう。
犬が「たまねぎ」を誤食した場合の症状
犬がうっかりたまねぎを口にしてしまった場合、以下のような症状が考えられます。
- 元気がなくなる
- 下痢をする
- 嘔吐する
- 痙攣が起こる
- 体の震えが止まらなくなる
- 血尿が出る
- 血便が出る
- 吐血する
- 衰弱する
- 死に至る
時間の経過と共に症状がどんどん悪化します。下痢や嘔吐は初期症状です。下痢や嘔吐を繰り返す場合には、すぐに病院へ行くべきです。
犬が「たまねぎ」を誤食した場合の対処法
たまねぎを誤食した量に関係なく、たとえ少量であっても愛犬がたまねぎを食べたことが分かっているのであれば、迷わずすぐに動物病院へ行きましょう。
- いつ食べたのか
- どれくらいの量を食べたのか
- 生のたまねぎを食べたのか
- 加熱したたまねぎを食べたのか
- 他の食材と一緒に食べたのか(ハンバーグや餃子など)
把握している限り、全てを獣医師に伝えるようにしましょう。
まとめ
冒頭でお伝えした通り、犬に危険なたまねぎの致死量は『体重1kgあたり20g以上』です。
愛犬がたまねぎを誤食してしまったけど、診察時間を過ぎている、深夜に誤食した、休診日だった、飼い主の都合などで今すぐに動物病院に行くことができない、ということもあるかと思います。
できる限り対応してくれる病院を探す必要はありますが、診察してもらえる動物病院がどうしても見つからないときは、自宅で様子をみましょう。その際、愛犬のどんな小さな変化も見逃さないことが大切です。
致死量を超えていなければ大丈夫ということではありませんが、死に至る確率は低いとされています。
しかし、子犬や老犬、持病のある犬、免疫力の弱い犬、超小型犬などは、致死量に達していない場合でも、重度の症状が引き起こされる可能性がありますので、注意深く見守りましょう。
何より大事なことは、愛犬に危険な食べ物を誤食させないための環境づくりを日頃から行うということです。