犬の目の状態で分かる心理
犬は比較的表情が豊かな動物といわれていますが、人間の言葉を話せなくとも意思の疎通ができるのではないでしょうか。
とくにどのような目つきをしているかによって、愛犬のそのときの心理が手にとるように分かってしまうこともあります。
そこで今回は、犬の目の状態で分かる心理について解説します。愛犬の心理を理解するために、ぜひ参考にしてくださいね。
1.愛情表現
犬は飼い主さんや親しい人に対して、「大好きだよ!」と愛情を示すためにキラキラとした目で見つめる行動をすることがあります。まだ穏やかな表情でジッと見つめることもあるでしょう。
また、信頼関係を築いている親しい相手と目を合わせることで、犬も人も幸せな気持ちになることが科学的に証明されています。目が合ったとき、脳内で「幸せホルモン」「愛情ホルモン」と呼ばれるオキシトシンという物質が分泌されることがわかっています。
このホルモンが分泌されると幸せな気持ちになったり、心が安らいだりするので、犬は自然と大好きな人とのアイコンタクトを求めるようになります。
2.期待や要求
犬は、人間と同様の言語で気持ちを伝えられない分、目で意志を伝えようとすることがあります。
特に「散歩に行こう」「お腹が空いた」など、してほしいことがあるときや気持ちを理解してもらいたいときなど、具体的な要求を伝えようとしていることも少なくありません。
人は目を見つめられると(何か言いたいことがあるのかな?)と考えて、犬のそばに寄っていったり、あれこれ試して犬の反応を見たりすることがあります。そのような飼い主さんの行動を覚えていて、要求があるときに目を見つめるようになります。
また、強い期待や要求があるとき、目を見つめながら「ワンワン!」と大きな声で吠えたり飛びついたりすることもあるでしょう。
3.緊張や不安
犬が目を細めていたり、しょぼしょぼと細かなまばたきをしたりしているとき、緊張や不安を感じていることが考えられます。
また、非常に強い恐怖を感じているときは、体をこわばらせて目を見開くこともあります。
目をしょぼしょぼとさせているとき、自分の気持ちを落ち着かせようとしていることが考えられますが、場所や状況に関わらず同じ様子が見られる場合は目の疾患の可能性もあります。
目に異物が入っていたり傷がついていたりすることもあるので、頻繁におこなっているようであれば一度目のチェックをしたり動物病院で相談したりしましょう。
4.敵意、威嚇
犬が親しい相手の目を見つめるのは愛情表現のひとつだとされていますが、同じように見つめていても愛情とは逆の敵意を示していることもあります。
初対面の相手や苦手な相手に対して、見据えるように目を見つめ続ける場合は威嚇や牽制をしていることが考えられます。いわゆる「ガンをつける」という行為で、喧嘩を売っていることにもなるのでその後の行動には注意が必要です。
このような場合、目を伏せたりそらしたりすることで「敵意はない」「喧嘩はしない」という意思を示すことになります。飼い主さんに叱られているときなどに、犬がよそ見をしたり目を伏せたりしているときはそうした意思表示をしているのかもしれません。
犬が飼い主をじっと見つめるワケ
犬が飼い主さんのことをじっと見つめるのには、いくつかの理由があります。
最も多く考えられるのが、何かして欲しいことがあるときではないでしょうか。「おやつちょうだい」「散歩に行こう」「おもちゃ遊びしよう」と具体的な行動を求めている場合もありますし、「かまってもらいたい」「寂しい」といった気持ちを理解して欲しくて目で意思表示していることもあると思います。
また、遠くから飼い主さんの様子を見つめているときは、飼い主さんの機嫌を伺っていることが考えられます。忙しそうな飼い主さんやイライラしている飼い主さんを遠くから見て、様子を伺っているのです。
甘えたい気持ちがある犬でも、わかりやすくアピールできない控えめなタイプの犬は、遠くから飼い主さんを見つめてさりげなくアピールすることもあります。
ちなみに、犬が人に対して目で感情表現をするのは、動物としてめずらしいものだとされています。特に、甘えるときに上目遣いになる表情などは、他の動物ではあまり見られません。
これは、犬が人間と長く共生してきたことで身についた能力(表情筋の動き)です。表情によって「気持ちが伝えられる」、または「相手の行動を変えられる」ことを理解しているからこそできることでしょう。
犬の気持ちを読み取るためのポイント
『目は口ほどにものを言う』という言葉もあるように、目には様々な心理や意志があらわれます。
しかしながら、同じように見える目の動きや形でも、必ずしも同じ意味を持っているとは限りません。そのため、犬の気持ちをきちんと読み取るためには、目だけでなく口や耳、尻尾のような他の部位にも注目しましょう。
また、体の向きや姿勢などもあわせて全身の状態から総合的に判断するようにしてください。
まとめ
犬の目は、様々な感情や意志を示します。そのため、目は愛犬の気持ちを理解するためのヒントにもなります。
愛犬の気持ちを理解できると、コミュニケーションの質が格段に上がりますし、さらなる信頼関係の構築にも役立ちます。
ぜひ日頃から愛犬の目の状態を観察し、愛犬の心理を正しく理解して適切な対応をしてあげられるように努めたいですね。