犬は「飼い主に気を遣う」ことはある?
そもそも犬が飼い主を心配したり気を遣ったりすることがあるか、ということですが、その可能性は十分に考えられます。
犬は元々家族や仲間と群れで生活していた動物を祖先に持っているため、周囲とのコミュニケーションを重視して生きる習性があります。獲物を取ったり安全を守ったりするためには、周囲の雰囲気や群れの中でのやり取りに敏感でいる必要があるのです。
さらに、犬は人間と共存してきた歴史が長い動物で、狩りや遊牧、警護など様々な仕事を共におこなってきました。それらの仕事ではお互いにコミュニケーションを取ることが必要なため、犬は人の発する声や仕草、動きなどに含まれる意志や感情を読み取る能力が発達したと考えられます。
そしてその能力は現代の犬にも遺伝子的に備わっているため、人間を含む仲間に対する理解力や共感力が高いとされています。このようなことから、犬は一緒に生活をしている飼い主の感情を読み取り、それに共感したり心配したりすることはあるでしょう。
具体的には、飼い主さんの表情や声のトーン、呼吸の仕方、歩き方、行動などを見て、(いつもと違う…)と感じることがあれば、気になってより注意深く観察したり心配するような態度をとったりします。
ただし、相手の感情を読み取る感受性の強さや、それに対するリアクションの大きさは個体差があります。気がついていても行動に変化がない犬もいますし、共感しすぎてストレスや不安が強くなってしまう犬もいます。
しかし、人間同士のコミュニケーションとは異なり、飼い主を心配して気を使う様子が見られないからといって、「飼い主さんに興味がない」「優しくない」というわけではないので、特に気にする必要はないでしょう。
飼い主を心配しているときの犬の仕草や行動
ではここからは、犬が飼い主を心配しているときにする仕草や行動について解説します。以下のような行動や仕草を愛犬がしていれば、飼い主さんを気遣っているのかもしれません。
1.顔をのぞき込む
犬が飼い主さんの様子を気にかけたり心配したりしているとき、飼い主の顔をのぞき込むように見つめることがあります。
いつもと違う雰囲気を感じたとき、「どうしたんだろう?」「大丈夫かな?」と気になって飼い主さんの表情を見て感情を読み取ろうとしているのでしょう。
飼い主さんに気を遣っている場合、正面からジーッと見つめるよりも周囲をウロウロしながらチラッと顔を見たり、やや離れた場所から様子を伺ったりすることが多いでしょう。
2.顔をなめる
犬は仲間や家族などを心配しているときや、なぐさめるときに相手の顔をなめることがあります。これは、犬が親犬からされることで覚える愛情表現のひとつと考えられていて、相手の様子がおかしいと感じたときなどにもおこなうものです。
また、「飼い主さんが泣いているときに犬が顔をなめてくれた」といったエピソードを聞くこともありますが、それもこのような習性によるものだと考えられます。
3.寄り添う
犬は相手のことを心配しているとき、静かにそばに寄り添う行動を見せることがあります。
人間のように言語を使って相手を気遣ったりなぐさめたりできない代わりに、ただ体をくっつけて相手を安心させようとしていることが考えられます。
4.おもちゃを持ってくる
飼い主さんが落ち込んでいるときや泣いているときに、犬が自分のおもちゃをくわえて持っていくことがあります。
普段おもちゃを持っていくと、飼い主さんが笑って遊んでくれることを覚えている犬は、遊びに誘うことで飼い主さんを笑顔にしたいと思っているのかもしれません。
まとめ
群れ社会で生きる動物の本能を持っている犬は、仲間であり家族である飼い主さんの様子をよく観察しています。そして、声のトーンや表情などから犬は人の感情を理解しようとするのです。
愛犬が気持ちを理解してくれるのはうれしいことですが、あまり心配をかけすぎないようにしましょうね。