ペットが精神的健康に及ぼす影響を世論調査
嫌なことがあった日も愛犬や愛猫の顔を見ると忘れられる、犬や猫がそばにいてくれることで心が休まる、などの感覚は多くの飼い主さんが持っているものでしょう。
コンパニオンアニマルの存在が飼い主の精神的健康にどのような役割を果たしているかについて、より詳しく知るための世論調査が行われました。この調査はアメリカ獣医師会とアメリカ精神医学会が共同で行なったもので、精神医学会の月例調査として発表されました。
精神的な健康や幸福にペットが大きな役割
世論調査はリサーチ会社に依頼して実施されたもので、2,200の成人が回答しました。
回答者のうち72%が自宅でペットを飼っていると回答し、その内訳は、犬52%、猫37%と犬と猫が大半を占めました。その他には、魚、鳥、カメ、馬、ハムスター、モルモット、ウサギ、爬虫類などがあったといいます。
ペットを飼っている回答者からは、自分自身の精神的健康への利点が多く寄せられ、84%の人は「ペットが精神的健康にもたらす影響はほとんどがポジティブなものだ」と答えています。
また犬と猫の飼い主は他の動物を飼っている人よりも、自分の精神的健康に良い影響を与えていると回答する傾向が強いこともわかりました。
いっしょに暮らしている動物が、精神的な健康に与える影響についての回答は以下のようなものでした。
- 深い関係性の真の友人だと感じる 65%
- 心の支えと無条件の愛を与えてくれる 64%
- 心を落ち着かせる存在である 62%
- ストレスや不安を軽減してくれる 62%
- 体を動かすことを促してくれる 35%
- 1日のスケジュールにメリハリをつけてくれる 29%
- 他の人との社会的なつながりを増やしてくれる 19%
このように精神的健康と感情的幸福に、ペットが大きな役割を果たしていることがわかりました。
その半面、いっしょに生活する動物についての心配の声も聞かれました。心配事で最も多かった回答は「ペットの老いや死76%」「ペットの健康状態67%」「旅行中のペットの世話67%」でした。
ペットを飼うだけで心の健康につながるわけではない
この結果を受けて精神医学会の会長は、ペットが一般的にもたらすメンタルヘルスへの影響の他に、うつ病やADHDなど特定の懸念を持つ人にとっても恩恵をもたらす可能性や、それらの学術的研究が増えていることについても言及しています。
一方で獣医師会の会長は、コンパニオンアニマルが飼い主の精神にもたらす恩恵を目の当たりにしてきたと述べる一方で、飼い主としての責任にも言及しています。動物が人間を幸福にするからといって、それが動物の幸福につながらない場合もあるからです。
精神的健康にとって重要だとされる「必要とされる感覚」「自信の向上」「規則正しい生活」「身体的な運動」などは、ただ動物と暮らせば得られるというものではなく、責任を持ってきちんと世話をすることでしか得られません。
ペットを迎えることが難しい場合には、地元の保護施設でのボランティアやペットを飼っている友人を訪問するなどの方法もあることが提案されています。
まとめ
アメリカでの世論調査から、動物を飼うことは飼い主の精神的な健康や感情的幸福に良い影響を与えるという報告をご紹介しました。
動物が与えてくれる恩恵は、動物が必要としているものを人間が与えられているかどうかによって大きく変わります。心の健康には与えられる喜びだけでなく、与える喜びもまた重要なものです。
そう考えると「ペットを飼うこと」ではなく「ペットとの絆」が私たちに精神的な健康や幸福をもたらしてくれると言えますね。
《参考URL》
https://www.psychiatry.org/News-room/News-Releases/Pets-Offer-Mental-Health-Support-to-Their-Owners