1.映像や光の動きが気になる
犬がテレビに注目しているときの理由として、まず考えられるのが「動いている映像が気になる」ということです。
テレビで流れている映像の内容自体は、ほとんどの場合犬は理解していないと思います。ただし、映像に映っているものを目で捉えることはできるため、ひとつひとつの映像には興味を持つことがあります。
実際、テレビに犬が出てくるときだけ強い反応を見せる犬や、テレビのなかの犬に向かって吠える犬なども少なくありません。こうしたことから、映像の犬も「犬」として捉えていることがわかります。
しかし、犬が見るテレビの映像が、私たち人間と同じように見えているかというとそうではありません。
犬の視力はあまりよくないされていますが、動いているものを見る動体視力は、人間よりもはるかに優れています。そのため、人間にとって見やすく作られているテレビの映像は、犬から見ると静止画が連続しているコマ送りのような状態になっていることが考えられます。
テレビがついていると、チカチカとした映像が犬の目に入るため、気になることがあるようです。特に、視覚で獲物を見つけて追うサイトハウンドに分類される犬種は、テレビの映像にも反応しやすい傾向があるとも言われています。
また、犬の目が持つ色を感じる能力は、赤・緑・青の3色に反応する人間とは異なり青・黄の2色識別のようです。黄・オレンジ・緑は黄色っぽく、青・紫は青っぽく、それ以外に色はグレーの濃淡で見えていると考えられています。
ただし、色の識別能力については明らかになっていないことも多く、ほかの色も識別できている可能性も指摘されているため、今後も注目したいところです。
2.聞こえてくる音が気になる
テレビからは様々な音が聞こえてきます。人間が話す声はもちろん、音楽や自然の音、動物の鳴き声などが聞こえることもあるでしょう。
音を聞き分ける能力が優れている犬にとっては、テレビから聞こえてくる音も興味をひくものだと思います。犬は気になる音がすると、音の発生源を探して何の音なのか正体を探ろうとします。
そのため、テレビから気になる音が聞こえてきているときは、音の発生源であるテレビを見つめるという行動を取る犬がいます。
また、テレビとは別にスピーカーを設置している場合には、テレビではなくスピーカーを見つめることもあります。こうした行動を見せる犬は、映像よりも音に興味を持ってテレビに注目しているということがわかります。
犬がテレビの音をうるさく感じるのではないかと心配する飼い主さんもいますが、犬は単純に音を大きく感じているわけではありません。
「犬は耳がいい」と言われるのは、音を聞き分ける能力に優れていることと聞き取れる音の周波数の範囲が広いことが影響しているのです。そのため、家庭内で流れるテレビの音については、特に心配せず、飼い主さんが快適な音量で聞いてかまいません。
「犬のためのテレビ番組」とは?
アメリカのケーブルテレビでは、犬が見ることを前提とした専門チャンネル『DOGTV』が2012年に開設されました。
犬の目でなめらかな映像が見られるように、科学的な検証もおこなわれて制作されている番組を放送しており、主に犬が遊んだりまどろんだりする様子とともに音楽が流れています。
アメリカで人気を集め、世界各国で放送されるようになり、日本でも一部のケーブルテレビが放送をおこなっていました。現在ではYoutubeなどオンライン配信がおこなわれているので、興味がある人はぜひチェックしてみてください。
まとめ
犬がテレビに注目するのは、内容が気になるからではなく音や光(映像)に興味を持っていることが考えられます。また、飼い主さんがテレビをじっと見つめていると、気になって同じ方向を見るという犬もいます。
基本的にテレビを見ていても見ていなくても、特に気にする必要はありません。ただし、強い関心を持ちすぎて、テレビに向かって吠えたり突進したりする犬もいるので、その場合は怪我やトラブルを防ぐためにトレーニングや安全対策が必要です。