犬はあざといの?
「あざとい」という言葉をご存じでしょうか。浄瑠璃や歌舞伎の中にも登場する言葉で、「あさはか」「子供っぽい」「小利口で憎らしい」「やり方があくどい」など、あまり良い意味では使われない言葉です。
しかし最近では、「計算ずくで愛らしく振る舞う」ことを指して使われることが多くなり、その行動から垣間見えるかわいらしさや愛おしさといった、一種の「魅力」を表す言葉として捉えられるようになってきているようです。
そういう観点で見ると、自覚があるかどうかは別として、犬は時々計算ずくで愛らしく振る舞っているのではないかと思うような、あざとい仕草をすることがあります。
こちらの勝手な思い込みかもしれませんが、犬は過去の成功体験から「こうすれば◯◯してもらえる」と学ぶことを考えると、確かに計算ずくで行っている可能性も否定できません。
今回は、そんな犬がする「あざとすぎる仕草」について、対処する際の注意点などとあわせて解説します。
犬がする「あざとすぎる仕草」
では、犬がする「あざとすぎる仕草」には、具体的にどのような仕草が該当するのでしょうか。
1.上目遣いでじっと見つめる
愛犬からの視線を感じて振り返ると、足元や少し離れた場所から愛犬が上目遣いでじっと見つめていたという経験はありませんか。
声で注意をひくこともなく、ただじっと上目遣いで見つめ続けられると、思わず「か、かわいい…」と、なんでもいうことを聞いてしまいそうになる飼い主さんもいるかもしれません。
犬はいつも地面や床に近いところにいるため、必然的に上目遣いになります。
そして過去の経験から「この位置で見つめると、おやつをもらえることが多い」など、飼い主さんのツボを熟知していますので、気をつけましょう!
2.積極的なスキンシップ
誰かとコミュニケーションを図る場合、スキンシップに勝るものはないでしょう。常に飼い主さんを観察し熟知している愛犬は、そんな飼い主さんのツボもしっかりと把握しています。
「お腹が空いた」「かまってほしい」などという気持ちでおねだりをしようと思った場合、飼い主さんが一番喜ぶスキンシップを積極的に図ろうとしてきます。
飼い主さんと愛犬の関係性によって方法はさまざまですが、例えば下記のようなスキンシップが「あざとすぎる仕草」に該当するかもしれません。
- 飼い主さん腕や膝などに自分のあごや前足を乗せる
- 飼い主さんに身体を寄せて寝る
- 飼い主さんの足や身体に自分の身体をスリスリと擦りつける
- 飼い主さんの顔を舐めてアピールする
元々これらの行動は、犬が甘える時に見せるものです。飼い主さんとのこれまでの関係性で、「この仕草が飼い主さんにはグッと来ている♪」という現情を、愛犬がしっかり把握してしまっているのかもしれません!
3.仰向けに寝転び無防備にお腹を見せる
飼い主さんの目の前でお腹を上にしてゴロンと寝転び、笑顔で身体をクネクネさせることがあるでしょう。
お腹は、犬の身体の中で最も無防備な場所のため、信頼していない人には絶対に見せません。そのため、「あぁ、信頼してくれている!」と思わず笑みがこぼれてしまうのも仕方がない状況です。
実はこの仕草も、犬が甘える時に見せる仕草のひとつです。あまりのかわいさに、いつもかまったりおやつをあげたりしていれば、この仕草を意図的に見せるようになるかもしれません。
4.お決まりのポーズでアピール
「愛犬のお得意ポーズがかわいくてたまらない!」という飼い主さんもおられるでしょう。
実はこれも、愛犬が「このポーズをすると飼い主さんがすぐにかわいがってくれる!」などと学習した結果かもしれません。
例えば、下記のような愛犬のポーズにハートを射止められてしまう飼い主さんが多いようです。
- 首を傾げた状態で固まったように見つめてくる
- 満面の笑みでこちらを見る
- 片手を上げてハイタッチのようなポーズをする
もしかしたら犬にはそんな意図はなくただの癖かもしれませんが、飼い主さんには可愛く見えてしまうのでしょう。
5.我慢できなくなって割り込んでくる
飼い主さんが自分以外のものに夢中になり、自分に関心を向けてくれなくなったと感じると、犬はやきもちを焼いて飼い主さんとその関心の対象の間に割り込むことがあります。
無理やり飼い主さんの視線の先に割り込むことで、自分をアピールしているわけです。そんなときは、「あざといなぁ」と思わずに、愛犬への関心が薄れていないことをしっかりと伝えることも大切でしょう。
やきもちの対象は、同居犬や生まれたばかりの赤ん坊、テレビ、パソコン、書籍など、多岐にわたります。
可愛い仕草にほだされないで!
愛犬が意図的にあざとい仕草を見せている場合は、飼い主さんの注意を引いて、何か聞いてほしい要求のある場合がほとんどでしょう。
そのため、どんなにその仕草がかわいらしくても、特別な反応を見せずに、あくまでも普段通りに対応するよう心がけることをおすすめします。
愛犬がかわいらしいからと何でも要求を聞いていると、犬はわがままになってしまう場合があります。
すると、愛犬の要求にどうしても応えられない場合や避難所などで非日常的な暮らしをしなければならなくなった時に、愛犬自身が自分の気持ちをコントロールできず、かえってつらい思いをしてしまう可能性は否定できません。
愛犬の要求には感情的に対応せず、ダメなときはダメだと伝える、応えられるときはしっかり応えると、メリハリを付けた上で愛犬に分かりやすく対応することが大切です。
ただし、体調を崩していて甘えたいといったケースも考えられます。普段から愛犬をしっかりと観察し、心身の異変はすぐに察知できるよう心がけることも忘れないでください。
まとめ
ある犬の専門サイトが行ったアンケートでは、犬の飼い主さんの57.5%が、愛犬の行動に対して『あざといと思ったことがある』と回答していました。
犬が自分の行動に「あざとさ」を自覚しているか否かは別として、大抵の犬は「こうすれば飼い主さんが自分の要求に応じてくれる」と知っています。
そう考えれば、犬が自分の要求を聞いてもらいたくて「あざとすぎる仕草」を見せている可能性は高いでしょう。
上手にメリハリのある対応をしながら、愛犬とのコミュニケーションを深めていきましょう!