犬が必死に地面のニオイを嗅ぐ心理
犬が散歩中に地面や周囲のニオイを嗅ぐことを「クン活」と呼びます。何をそんなに…と、不思議に思うほど嗅いでいることもありますよね。
このように、犬が必死に地面のニオイを嗅いでいるときには、以下のような心理が働いていると考えられます。
1.情報収集したい
犬の嗅覚は「人間の1億倍」ともされており、その場所を通過した動物、空気中のニオイからその動物がまだ近くにいるかなどたくさんの情報を収集することができます。
また、犬の視力は「人間の0.3程度」と言われ、目からの情報はあまり頼りにしていません。視覚よりも地面や空気中のニオイ、音や足元の感覚を頼りに行動しています。
つまり、いつもの散歩コースも、愛犬はニオイを嗅ぐことで景色や近くに何があるかを感じ取って歩いているのでしょう。犬にとって地面を嗅ぐことは、人間が目視で足元を確認するのと同じくらい重要なことなのです。
2.安心したい
散歩中ニオイを嗅いで飼い主の言うことを効かず、好きな方向にばかり行ってしまうという犬はいないでしょうか。
これはいささか勝手な行動に見えますが、犬からすると自分を落ち着かせるための行動です。
犬にとってニオイを嗅ぐことは情報収集であり、ストレスを発散させる効果もあります。怖がりな犬や慎重な犬は自分を落ち着かせるために「クン活」することが多いです。
人間が知らない場所に行くとキョロキョロしてしまうように、犬も知らない場所に行くと、まずニオイを嗅ぎたがります。それは他でもない、安心したいがための行動なのです。
お散歩中の「クン活」で気をつけるべきこと
では、お散歩中の「クン活」で飼い主として気を付けるべきこととは一体なんでしょうか。
危険なものの拾い食い
地面には人間の食べ残し・タバコ・枝・石・動物の排泄物など、様々なものが落ちています。愛犬がこれらを飲み込んでしまうと、犬の体にとって有害な物質であったり、体内で詰まったりして命に関わることがあります。
最近では、わざと道端に毒エサが置かれ、それを食べたペットが死亡する事件も起きています。
愛犬を守るために、散歩時には飼い主は地面に危険なものが落ちていないか、よく観察しながら気をつけて犬を歩かせるようにしましょう。
虫が多いところに行かせない
動物が排泄する場所は、草むらのようなガサガサした場所が多いです。犬はこのようなところに行きたがりますが、そのような場所は当然ダニや蚊などの虫が集まっています。
犬は虫に刺されると感染症を引き起こすことがあるので、草むらには行かせないようにしましょう。服を着せるのも対策になります。
自由にさせすぎない
拾い食いをしてしまうような場所ではなく、虫にも刺されないことが確実な場所なのであれば、犬に自由にクン活させて良いでしょう。
しかし、犬を自由にさせすぎると、クン活に夢中になって歩かなくなる、引っ張り癖がつくというようなワガママの原因になります。
クン活が激しい犬や拾い食いの癖がある犬には名前を呼ぶ、又はリードを引いて歩くのを再開してください。言うことを効かないときは音を立てて驚かしても良いでしょう。
愛犬に「クン活」をさせるメリット
では、上記のことに注意しながら愛犬に散歩中の「クン活」をさせるメリットには、どのようなことが該当するのでしょうか。
犬がストレスなく暮らせる
電柱や看板などで排泄する犬が多く、人間には迷惑になることもあります。
しかし、犬からすると、尿の跡はみんなが集まる掲示板のようなものです。犬は尿のニオイからその犬の性別・年齢・体調・体格などたくさんの情報がわかると言われています。
道で他の犬のニオイを嗅ぐと、近所にどんな犬が住んでいるのか知ることができ、実際に会ったときには警戒せずに交流することができます。人間もご近所さんのことを知っていると、トラブルが起きにくくなりますね。
脳が活性化される
ニオイを嗅ぐという行為は犬にとってとてもエネルギーを使う作業です。脳が刺激され、高齢犬には認知症予防になり、体を動かさなくても疲れるので良質な睡眠に繋がります。
高齢や病気で体力がない犬は、散歩で長い距離を歩く必要はありません。その代わりに、短い距離でニオイを嗅がせ、犬を楽しませてあげましょう。
まとめ
地面のニオイを嗅ぐのは犬の本能なので、禁止してしまったらやはりストレスになります。ストレスが溜まっていると無駄吠えや引っ張り、破壊などの問題行動を起こしやすくなります。
犬も人間も快適に暮らすには犬の本能を満たしてストレスを溜めないようにすることです。
散歩コースは危険なものが落ちていない場所を選び、安全な場所では自由に犬にニオイを嗅がせてあげてください。