愛犬が咥えた物を離そうとしないのを放置しても大丈夫?
愛犬が嬉しそうにおもちゃを咥えて近寄ってきたのに、なかなかおもちゃを離さないことがあります。またひとしきり遊んだにも関わらず、いつまでもおもちゃを離さない場合もあります。「一体何をしたいの?」と対応に迷う飼い主さんもおられるのではないでしょうか。
この時に対応を間違えてしまうと、犬がおもちゃを取られまいと抵抗して、思わぬ事故につながってしまう場合があります。また、飼い主さんの指示に従って咥えているものを離せるようにしておくと、誤飲事故を予防することにもつながります。
まずは、咥えているおもちゃを離そうとしない愛犬の気持ちを推察しましょう。同じようなシチュエーションでも、その時々でいくつかの理由が考えられます。愛犬の気持ちを知ることで、正しく対処できるようになるでしょう。
愛犬がおもちゃを離してくれない心理
犬は、飼い主さんに相手をしてほしい時や飼い主さんを喜ばせようとしておもちゃを咥えてくることが多い、と言われています。それなのに持ってきたおもちゃをなかなか離してくれないこともよくあります。
ではここからは、おもちゃを離さない愛犬の心理状態を考えてみましょう。
1.楽しくてひとりで遊んでいたい
最初は飼い主さんと一緒に遊びたいと思っていても、持ってくる間にそのおもちゃが楽しくなってしまい、ひとりで遊んでいたくなってしまっている可能性があります。
特にお気に入りのおもちゃの場合は、その可能性が高いかもしれません。
2.まだ一緒に遊んでいたい
持ってきたおもちゃで飼い主さんと一緒に遊び始めたものの、終わらせようとしているのにいつまで経っても離そうとしない場合は、まだ遊んでいたいという気持ちの表れでしょう。
犬に限らず、小さなお子さんが遊んでいる時も同じ反応を示すことがよくあります。
3.おもちゃを取られたくない
もっと遊びたいという積極的な気持ちではなく、「自分のモノを取られたくない」という防衛的な気持ちでいることも多いです。
飼い主さんが取り上げようとするのを見て「取られるものか!」と必死に離さないようにすることが多いでしょう。
4.おもちゃがなくなってしまうのが怖い
スヌーピーで有名なアメリカのコミック『PEANUTS(ピーナッツ)』には、肌身離さず毛布を抱きしめているライナスという男の子が登場します。
愛犬にとって、このライナスの毛布に該当するようなおもちゃがある場合、そのおもちゃを決して離そうとはしません。なぜなら、そのおもちゃを常に咥えていることで、安心感を得ているからです。
そしてこれは、不幸な経歴を持っている保護されたばかりの保護犬などに見られることが多い行動です。
5.ストレスが溜まっていてそのおもちゃに執着している
飼い主さんが忙しくてしばらく一緒に遊んでもらえない、新しいご家族が増えて自分への関心がなくなってしまったなどと感じている犬の場合、ストレスのはけ口として特定のおもちゃに執拗に噛みつくことでストレスを発散することがあります。
この場合も、おもちゃを取り上げられまいとして、必死に離さなくなるでしょう。
おもちゃを離してくれないときにやってはいけないNG行為
では、愛犬が持ってきたおもちゃを離そうとしない時にはどうすればよいのでしょうか。
ここからは、その際に飼い主としてやってはいけないNG行為について解説します。
無理やり取り上げようとする
「取られまいと抵抗して離さない」場合、無理やり取り上げようとするのはNG行為です。おもちゃに限らず、「取られるものか!」と飲み込んでしまうことが多いためです。
また飲み込まなかった場合でも、「大事なものを取り上げられた」と愛犬から不信感を飼ってしまうこともありますので、今後の関係性を良好に保つためにも、無理やり取り上げることはおすすめしません。
叱りつける
いつまでもおもちゃを離さないからといって、叱りつけて取り上げようとするのもNG行為です。
大声で怒鳴りつけたり、床や家具などを叩いたり、愛犬に手をあげてしまうことで、愛犬に精神的および肉体的にかなりのストレスを与え、それがトラウマとなって不信感や警戒心を増強させてしまうだけだからです。
愛犬に誤解をさせてしまうケースも
飼い主さんにその気がなくても、「無理やり取り上げる」「叱りつける」という対処は、愛犬に「飼い主さんが喜んでいる!」と誤解させてしまうことがあります。
あまり飼い主さんから遊んでもらえず、寂しい思いや退屈な思いを抱えている犬にとっては、叱られたり過剰に反応されることが「楽しみ」になってしまうことがあるのです。
まとめ
愛犬がいつまでも経ってもおもちゃを離さないでいると、忙しい飼い主さんは片付けたくても片付けられないなど、困ることも多いでしょう。
しかし、間違った対処をしてしまうと、愛犬との関係性が壊れたり、場合によっては抵抗されてケガをしたりすることもあります。
愛犬がおもちゃを離そうとしない気持を推察し、もしその心理の裏側におもちゃに対する深い執着心や大きなストレスがある場合は、根本問題の解決に取り組みましょう。
そして「チョウダイ」などの指示で愛犬が咥えている物を離せるようにトレーニングを行うことで、誤飲や誤食の事故から愛犬を守ってあげることもできます。