1.シベリアンハスキー
シベリアン・ハスキーは、「瞳が青い犬種」として多くの人が思い浮かべるのではないでしょうか。
シベリア生まれの大型犬で、寒さに耐えうる豊かで分厚い被毛と筋肉質で頑丈な体が特徴です。古くからそりを引く犬として活躍している犬種で、現在でも北極圏ではそり犬として活動している犬が多くいます。
集団でそりを引くため協調性や責任感があり、基本的には人にも犬にもフレンドリーな態度で接します。力が強くやや頑固さもありますが、生活環境が許せば家庭犬に適した犬種でしょう。
そんなシベリアン・ハスキーの青い瞳について、近年大規模な研究がおこなわれました。6,000頭以上のハスキーを対象に、青い目の遺伝・環境要因について調べられたのです。
その結果、シベリアン・ハスキーの瞳が青くなるのは、18番染色体の突然変異が大きく関係していることがわかりました。また、日照率の高い環境で育った場合、瞳の色が濃くなることもあり、最終的に生後6か月頃に瞳の色が決まるとされています。
2.オーストラリアン・シェパード
オーストラリアン・シェパードは、名前に反してアメリカ原産の牧羊犬です。コリー系の犬種を系統に持つ犬で、体格的にも気質的にもコリータイプだとされています。
非常に賢く、飼い主に対して従順なだけでなく状況判断能力にも優れています。活発で機敏に動き、体力も十分にあります。そのため、飼い主が適切なしつけをおこなわないと、思わぬトラブルを起こしたり、行動を制御できなくなったりすることもあるので注意が必要です。
そんなオーストラリアン・シェパードも、青い瞳の犬が生まれやすい犬種です。瞳の色が薄く、左右の目の色が違う犬も多くいます。
また、マール因子と呼ばれる遺伝子を持つ犬が少なくなく、それによって毛色や瞳の色が複雑で美しいものになります。ただし、マール因子には遺伝性疾患のリスクもあるため、飼育時にはその理解をしておく必要があります。
3.ダルメシアン
ダルメシアンも瞳が青くなりやすい犬種のひとつです。つややかで短い被毛は、白地に黒や茶の斑点がある特徴的なカラーリングになっています。
しなやかな筋肉と十分な体力を持ち、猟犬や軍用犬、護衛犬として活躍してきました。日常生活でもたっぷりの運動が必要なので、飼育時にはそれだけの時間やスペースが必要とされます。
青い瞳をしたダルメシアンは、多くの場合先天的な難聴や聴覚障害を患っていると考えられます。これは、上記したマール因子による影響と考えられており、生まれつきのものなので予防することはできません。
犬の瞳が青くなる理由
犬の青い瞳は「ブルーアイ」と呼ばれています。左右の瞳の色が違う場合は「オッドアイ」または「バイアイ」といいます。
オッドアイやバイアイを含めたブルーアイになる要因として、最も多く考えられているのが「メラニン色素が少ない」ということです。瞳の色は眼球を覆う虹彩と呼ばれる膜によって決まりますが、虹彩のメラニン量が極端に少ないとブルーアイになると考えられています。
虹彩のメラニン色素の量が少なくなることには、遺伝や胎内での発育不良などの先天的要因と、病気や怪我によって神経が傷つき色素に影響が出る後天的要因があります。
さらに、日照時間が少ない地域で育つことなど環境的要因も影響するとされています。元々メラニン色素が少ない犬でも、育つ環境によって生後数か月経つ頃には瞳の色が濃くなってくることもあります。
ブルーアイの犬はとても神秘的で美しい反面、紫外線ダメージを受けやすいため目をはじめ全身に悪影響が出るリスクがあります。また、ブルーアイの両親から生まれたブルーアイの犬や、ブルーアイの犬に多い「マール因子」を持つ犬は、遺伝性の内臓疾患が発生しやすいとも言われています。
瞳がきれいだからとブルーアイの犬に興味を持った場合でも、飼育を決める前には必ずブルーアイの犬に多い疾患やリスクを確認しておくようにしてください。
まとめ
今回は「瞳が青い犬種」をいくつか解説しましたが、犬が持つ青い瞳はとても美しいですよね。見つめられると吸い込まれるような感覚になります。
瞳が青くなる理由はいくつかありますが、遺伝的要素が強い場合は瞳以外にも思わぬ影響が出る場合があります。
飼育を希望する場合は、ブルーアイの犬に起こりうるトラブルやリスクをしっかりと知ってからにしましょう。