犬に嫌な音を聞かせるしつけ方法で起こる副作用
犬に嫌な音を聞かせるしつけ方法というのは、例えば犬が人間にとって困った行動をしたときに犬が恐怖や危険を感じるような大きな音を発生させることで、次からその恐怖や危険を回避するためにやろうとしていた行動をしなくなるという現象を起こす方法です。
しかし恐怖・不安・痛みを無闇に与える行為は動物福祉に反し虐待であることは、世界基準である動物福祉のガイドラインにも明記されています。
また、それによって仮に困った行動をやめさせることができたとしても、犬自身は心に大きな傷を負いその影響は思いもよらないところに現れ、別の問題を生み出します。
例えばテーブルの上に乗るをやめさせたくて嫌な音を使ってやめさせたとしましょう。しかしテーブルやそれに似たようなものを見ると近づかないだけではなく怯えた様子を示します。
人は「ここならOK、ここはNG」と弁別をしますが、犬にとってはそれと似たような物や環境を含めて恐怖の対象になっているため、そのような場面を目にすると怯えてしまうのです。
また、そうした恐怖を遠ざけるために攻撃的になったり吠えるようになったりといったことも考えられますから、そうなれば次はそれをやめさせるためにどう叱ればいいだろう?と考えることでしょう。
このように嫌な音を聞かせるしつけ、つまり叱る・罰するという方法は犬の心を傷つけそれを抱えさせ、さらに日常生活でも新たな問題を生み出しまた叱るという悪循環になるため、効果的な方法とすら言えないのです。
犬を傷つけて行動をやめさせることは虐待にあたる
犬を傷つけて行動をやめさせることは立派な虐待です。
それは肉体的なものであれ精神的なものであれ変わりませんし、人間の脳科学においては精神的な苦痛であっても脳は肉体的苦痛と同じ反応を示すことがわかっています。
つまり、肉体的な痛みでなければOKということではなく、精神的に苦しませることも十分犬を苦しませることになるためやってはいけません。
これを自分の立場で考えてみるとわかりやすいと思いますが、肉体的には何もされていないけど酷い言葉で傷つけられたり、物を壊されたり隠されたりといた精神的な攻撃をされたらどうでしょう?
1度でもそういうことをされると傷つくのに、それが日常的に繰り返される環境というのは地獄ではないでしょうか。
それをしつけと称して行うのが嫌な経験をさせることでやめさせる方法であり、とても健全な方法とはいえません。
犬をしつけたいと考える前に環境の見直しとプロへの相談を
犬をしつけたいと考える前にまずやることは環境のアレンジです。
犬が人間にとって困る行動をしてしまうことのないように環境を整えて、人も犬も安心して暮らせるようにすることが最優先です。
しかしそうした環境のアレンジを自分ではうまくできないということもありますよね。
そのために環境と行動を見てアプローチすることができるプロがいるのです。
それができるプロは動物福祉も勉強しており行動分析学にも明るいため、犬を傷つける方法は決して考えませんし提案しません。
できるだけ早い段階で相談し、嫌な音やことをするしつけ方法ではない優しい方法を教えてもらってください。
まとめ
犬を傷つけてしまうことは結果として飼い主さん自身もその十字架を背負い苦しむことになります。
嫌な音を使うのは音だから虐待にはならないと思われがちなところもありますが、精神的に苦しめることも虐待にあたります。
わざわざ愛しいと思っている愛犬を虐待する方法を選択しなくても優しく楽しい方法で伝えることはできるので、迷わず早めにプロに相談しましょう。