NZでのペットの犬や猫に関する意識調査、日本でも共通する点が!

NZでのペットの犬や猫に関する意識調査、日本でも共通する点が!

ニュージーランドの犬や猫の飼い主を対象にした意識調査の結果が報告されました。外国での調査ですが、日本のことについても考えさせられます。

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飼い主の意識調査から動物福祉向上の戦略などに役立てる

犬と猫とくつろぐ女性

ペットとして飼育されている犬猫の福祉および飼い主としての責任を向上させたり、野生動物への影響を周知するためには、教育や啓蒙活動が必要です。またこれら教育や啓発は対象となる人々に効果的に訴えるために、それぞれに適した戦略が重要になります。

ニュージーランドのイースタン工科大学とオーストラリアの西シドニー大学の研究チームは、これらの戦略に役立つと考えられる調査を行ないました。犬と猫の飼い主に対して、ペットケアに関する意識や態度をアンケートの形で調査したものです。

国の背景や環境は日本とは全く異なるニュージーランドですが、飼い主の意識には日本と共通する点もあり、なぜこのような調査が必要なのかがよくわかる内容です。

なお、この研究ではニュージーランドをアオテアロア・ニュージーランドと表記しています。アオテアロアとは、先住民族であるマオリ族の言葉でニュージーランドを指すもので、近年マオリの人々を中心に国名の変更を求める声があがっています。この記事内では、原文とは違いますが便宜上ニュージーランドと表記しています。

オンラインアンケートでペットケアに対する意識を調査

診察台の上のブルドッグとシャム猫

この研究のための調査は、2019年1月から3月にかけてオンラインアンケートの形で実施され、合計2,358名が回答しました。このうち885名(37.5%)が犬と猫両方の飼い主、652名(28.0%)が猫の飼い主、609名(26.0%)が犬の飼い主、212名(9%)が犬も猫も飼っていない人です。

回答者は、性別や年齢、出身地、居住地、人種、世帯収入、教育レベル、子供の有無などの基本情報についても回答しました。

質問は以下の内容について、回答者がどのように感じているかを「強く同意する」「同意する」「どちらでもない」「同意しない」「強く反対する」の5段階の中から選ぶというものです。

  • 適切な住居を提供する
  • 定期的に獣医のチェックを受ける
  • 最新のワクチン接種を受ける
  • ノミダニ駆除、駆虫を定期的に行う
  • 不妊化手術を受ける
  • マイクロチップを装着する
  • 特定の外見のために繁殖する
  • 断尾や断耳など外見に手を加える
  • 行動を修正するためのショックカラーやスプレーなどを使用する

回答は選択肢の他に、補足したいことがあれば記述式で自分の考えを記入することもできます。

回答者の属性、地域的な背景が回答にも関連していた

湖をバックにした犬

この研究はニュージーランドの飼い主のさまざまなペットケアに関する意識や意見、それらに関連する要因を探ることを目的としました。

回答者の90%以上が、犬と猫に適切な住居を提供すること、定期的なノミダニ駆除や駆虫、マイクロチップ装着、ワクチン接種の重要性を認識していました。

猫の飼い主は犬の飼い主よりも不妊化手術に賛成する割合が高く、犬の飼い主は猫の飼い主よりもマイクロチップ装着に賛成する割合が高くなっていました。

全体的に、女性、都市部出身、都市部在住の要素は「強く同意する」「強く反対する」といった強い回答と関連しており、マオリ族、子どもがいる、農村部出身の要素は「どちらでもない」という中立的な回答と関連していました。

獣医師による定期的な検診については犬の飼い主の85%、猫の飼い主の80%が必要であると回答。犬猫ともに、回答者がマオリ族であること、子どもがいること、出身地が農村部であることは、定期的な動物病院受診の必要性について中立的な回答が多いことと関連していました。

反対に回答者が都市部出身や都市部在住であることは、「強く同意する」の割合が高いことと関連していました。

動物病院受診についての意識の違いは、動物病院へのアクセスの容易さと関連している可能性があります。特定の集団の人々が定期的な受診を重要視しない理由を理解することは、対策を立てるためにも重要です。

犬や猫の受診は人畜共通感染症の予防のためにも重要なのですが、この点について飼い主の知識が限定的であり、獣医師と飼い主のコミュニケーション改善が必要であることを示していました。

ニュージーランドでは、犬の断尾や断耳などを医療や作業上の理由以外(美容目的など)で行なうことが法律で禁じられているので、動物の外見を変えることについては犬猫ともに反対という回答が大多数を占めました。

一方で特定の外見のために繁殖されることについて、「賛成」または「どちらでもない」という回答が20%という高い割合を示しました。研究者はこのことについて、動物保護団体や獣医師によるより良い啓発キャンペーンの必要性を表していると述べています。

行動修正のためのショックカラーやスプレーの使用については、ヨーロッパなどの全面的な禁止の姿勢とは異なり、「スプレーだけなら良い」「専門家が適切に使うなら良い」といった記述式回答が目立ちました。

畜産大国であるニュージーランドは家畜を襲わないよう、家畜に近づくと嫌なことがあるという学習のためにショックカラーを使うことがあります。

同様に絶滅危惧種の鳥キウィについても、キウィの匂いがすると嫌なことがあるという学習のためにショックカラーが使われます。このような背景が「専門家が適切に使うなら」という回答の多さと関連していると考えられます。

まとめ

オークランドをバックにした犬たち

ニュージーランドで犬と猫の飼い主を対象にペットケアについての意識調査をしたところ、回答者の属性などが回答の傾向と関連していることがわかり、動物福祉の向上や人畜共通感染症の予防の対策を立てる上での指針となりそうだという結果をご紹介しました。

動物病院へのアクセスの容易さが受診を重視するかどうかに関連することや、外見のための繁殖が動物福祉を損なうことについての啓発が必要という点など、日本と共通する点も多い結果となっています。

対策を立てるためには、対象となる人々の傾向を知ることが重要であることを示す調査結果でした。

《参考URL》
https://doi.org/10.3390/vetsci10100606

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