犬の早食いは絶対にやめさせるべきと言われる『5つの理由』 食べるのを遅くするためにすべき対処法も

犬の早食いは絶対にやめさせるべきと言われる『5つの理由』 食べるのを遅くするためにすべき対処法も

愛犬がぺろりとごはんを完食すると「よし、今日も元気!」と、安心する飼い主は多いでしょう。しかし犬の早食いには注意が必要で、絶対にやめさせるべきと言われることもあります。この記事では、犬の早食いは絶対にやめさせるべきと言われる理由と、食べるのを遅くするためにすべき対処法についてご紹介します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の早食いは絶対にやめさせるべきと言われる理由は?

ドライフードを食べるラブラドールレトリーバー

犬は元々は狩猟動物であり、『食べられるときに食べられるだけ食べておく』という習性を持っています。また犬の歯は、獲物の肉を噛みちぎりやすい形状になっており、ゆっくり噛んですり潰すのには向いていません。

これらのことから、犬は早食いになりがちです。しかし犬の早食いは絶対にやめさせるべきと言われることがあり、それには理由があります。以下から、その理由を具体的にご紹介します。

1.誤嚥性肺炎のリスクがある

通常、口から摂取したものは食道を通って胃に入っていきますが、急いで食べると食べ物が気管(喉頭から肺に繋がる空気の通り道)に入り込んでしまうことがあります。

これを誤嚥と言いますが、誤嚥をすると食べ物や唾液に含まれる細菌が肺の中で繁殖し、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。

特に老犬は、食べ物を飲み込むときに気管を塞ぐ働きをする喉頭蓋の機能が低下するため、誤嚥を起こしやすいので注意しましょう。

2.胃拡張・胃捻転症候群のリスクがある

早食いによって、フードと一緒に空気をたくさん飲み込むことで胃が膨らんでしまうことがあり、これが胃拡張・胃捻転症候群の原因になります。胃拡張・胃捻転症候群とは、胃が膨張し(胃拡張)、さらに胃がねじれた状態(胃捻転)になる疾患です。

胃拡張や胃捻転は臓器の壊死や血流障害を引き起こすため、発症した場合は早急に処置する必要があり、処置が遅れると命に関わります。

胃拡張・胃捻転症候群はどの犬もなる可能性がありますが、特に胸の深い(胸骨と背骨の間が長い)大型犬や小型犬ではダックスフントに多く見られます。

3.窒息のリスクがある

早食いでフードを一気に丸呑みすると喉に詰まり、窒息を引き起こす危険があります。子犬や老犬は飲み込む力が弱いため、特に注意が必要です。

窒息は、食べ物や異物が気道を塞いで呼吸ができなくなる状態で、ごく短時間で致命的となります。

4.消化不良のリスクがある

早食いをすると、消化不良を起こすことがあります。特に、消化器官が未発達の子犬や消化機能が衰えている老犬は、早食いによる消化不良を起こしやすいです。

消化不良を起こすと下痢や嘔吐などが見られ、それが長く続くと栄養素の吸収が妨げられて、健康状態が悪くなる可能性があります。

5.肥満になるリスクがある

早食いをすると満腹感が得にくくなるため、おかわりを要求することが少なくありません。飼い主がこの要求に応え続けると犬は肥満になってしまいます。

肥満は心臓病や糖尿病、膵炎などさまざまな病気の原因となり、寿命を縮める恐れがあります。

食べるのを遅くするためにすべき対処法は?

早食い防止食器と犬のマズル

早食いにはさまざまなリスクが伴います。したがって愛犬が早食いをしてしまう場合には、食べるのを遅くする工夫が必要です。では、具体的にどうしたらいいのでしょうか?ここからは、食べるのを遅くするためにすべき対処法をご紹介します。

1.早食い防止の食器を使う

愛犬が食べるのを遅くするために、早食い防止の食器を使ってみるといいでしょう。早食い防止の食器は底面に凹凸があったり、起き上がりこぼしのように揺れたりして、食べづらい構造になっているため、自ずと食べるのが遅くなります。

2.フードを変える

フードを変えるのもひとつの手です。ドライフードの粒のサイズを少し大きめのものに変えると、しっかり噛んで食べるようになることがあります。また粒のサイズが異なるドライフードを混ぜると食べづらさが生じ、食べるのが遅くなる可能性があります。

ただし喉に詰まらせないように、愛犬の口の大きさに対して大きすぎる粒のものは避けるようにしましょう。

3.食事の回数を増やす

食事の時間の間隔が空くとごはんへの欲求が高まり、早食いになってしまうことがあります。そこで1回に与えるフードの量を減らし回数を増やすことで、食べるのが遅くなる効果が期待できます。

食事の回数を増やしても、1日の総給餌量は適量を守るようにしましょう。

4.食事環境を変える

多頭飼いをしている場合、犬たちの食事場所が近距離だと、ごはんを横取りされることを警戒して早食いになってしまいがちです。これを防ぐためには、食事環境を変えることが有効です。

別々の部屋、または別々のクレートやケージで食事を与えるようにすると、落ち着いてゆっくりと食べられるようになるでしょう。

また飼い主にそばでじっと見られると、ごはんを取られないように早食いになってしまうケースもあります。愛犬の食事の様子の観察は、少し離れた場所でさりげなく行うようにしましょう。

まとめ

ごはんを待つビーグル

早食いをする犬は多いですが、犬の早食いは絶対にやめさせるべきと言われることがあります。そう言われるのは、次のような理由からです。

  • 誤嚥性肺炎のリスクがある
  • 胃拡張胃捻転のリスクがある
  • 窒息のリスクがある
  • 消化不良のリスクがある
  • 肥満になるリスクがある

もし愛犬が早食いをしてしまう場合、これらのリスクを避けるために食べるのを遅くする必要があります。食べるのを遅くするためにすべき対処法として

  • 早食い防止の食器を使う
  • フードを変える
  • 食事の回数を増やす
  • 食事環境を変える

といったことが挙げられます。ぜひこれらの対処法を実行して早食いを予防し、愛犬の健康を守ってあげてください。

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