「ペットロス」が辛すぎると言われる理由
私も過去に何回か経験がありますが、長く一緒に暮らした愛犬との別れは辛く寂しく、悲しみからなかなか立ち直れなくなるものです。
我が家は大型犬を飼育しているので、12年から16年ほどで必ずお別れがやってきます。
若いとき、元気な時はずっとこのままの時間が続くと思っているのに、生き物である以上いつかは必ずお別れの時がやってきます。
犬は人間より寿命が短いので、どうしても飼い主側が愛犬を見送ることになってしまいます。そのお別れが辛く、その後「ペットロス」という症状に陥る方も少なくありません。
ではなぜ「ペットロス」はそれほどまでに辛く感じるのでしょうか。
1.守るべき存在を失くすことだから
愛犬はパートナーでもあり、我が子のような存在でもあります。
犬はご飯や散歩、遊びなど様々な面で人間からの世話を必要とし、人間はその世話をすることで絆を育みます。そのお世話の対象、愛情をかけて守っていた存在が失われると、飼い主はまるで我が子を失ったかのような悲しみに襲われてしまうことでしょう。
愛犬が晩年に病気で苦しんでいたとすれば、飼い主としてその苦しみを代わってあげたいと思います。病気を治すために何でもしてあげたいと思い、きっと手を尽くすでしょう。
それでも愛犬の病気や老化をどうする事もできず亡くしてしまった場合、守るべきものを守れなかったという強い後悔や罪悪感を抱いてしまうことも、ペットロスが辛すぎる一因とも言えます。
2.愛情の行き場を失うから
人間は家族愛を大切にする生き物です。家族がいる場合や愛犬などのペットがいる場合、そのお世話をしたりされたりすることで幸福を感じることができます。
しかし愛犬を失くすと、その愛情の向かう先が失われ、また愛情を受け取ることができなくなり、強い喪失感を抱くことが多いのです。
また、それまで世話をしていた時間がぽっかり空いてしまうことで、「何もすることがない」という空白の時間が発生します。その時間に気が付くたびに「犬はもういない」ということが実感され、孤独感と悲しさが増してしまうのです。
3.静寂に敏感になってしまうから
犬がいると家の中が何とも言えずにぎやかです。歩いたり走ったりすれば足音や爪の音が響きますし、遊んでほしくておもちゃを引っ張り出してきたりする音もするでしょう。
また、朝や帰宅時などは全身を使って挨拶をしてきたり、インターホンが鳴ればワンワンと吠えたりしていたこともあるかもしれません。
しかし犬がいなくなると、たとえ家族が他にいたとしても家の中が驚くほど静かになります。吠える声も聞こえませんし、足音もしません。あれほどいつでも聞こえてうるさかったはずなのに、家の中から犬の気配が消えてしまいます。
その静けさに気が付いてしまう瞬間があるたび、悲しみと寂しさが押し寄せ辛さが長引いてしまうのでしょう。
辛すぎる「ペットロス」と向き合う方法
愛犬に愛情を注いでいれば注いでいるだけ、おそらくペットロスは辛くなることでしょう。しかし悲しむこと自体は悪いことではありません。
人間は忘れる生き物なので、悲しむだけ悲しんでいても時間をかければいずれ克服することができるようになるでしょう。むしろ、悲しさを押し殺してしまうほうが長引いてしまう傾向があります。
ペットロスに陥ってしまった場合、まずはしっかりと供養し、思い出に浸って、ちゃんと悲しむことが大切です。心の中にため込みすぎず、気が済むまで涙を流して感情をあらわにしてください。そうすることで、しばらくすると幾分か落ち着いて愛犬との思い出を心の中で整理できるようになります。
また、愛犬を知っている人と思い出を振り返るのも良いでしょう。心の中でだけでなく、他者と言葉にだして会話をすることは気持ちの整理の手助けになります。
それでも不安や悲しみが強いときは、カウンセリングなどで気持ちを整理することも良い方法です。
ここで気を付けたいのが、SNSの利用です。不特定多数の人が閲覧できるスペースになると、共感してくれる人も多い一方、不躾な言葉や攻撃的な言葉を使ってくる人も。
不用意にSNSを利用してしまうことで、気持ちの整理ができないまま更に悲しみや不安が強くなることがあるため、ペットロスのときのSNSの利用はくれぐれも注意してください。
まとめ
どんなにつらい別れや悲しみであっても、時間をかけてゆっくり気持ちを整理することで、いずれ乗り越えることができます。
今、ペットを失くして辛いという方は、愛犬の思い出と悲しい気持ちを大切にし、信頼できる人やカウンセラーさんと言葉にしながら気持ちの整理をしていきましょう。