犬は『良いこと』『悪いこと』を理解できる!覚えてもらうコツや人間都合にならないよう注意すべきポイントまでを徹底解説

犬は『良いこと』『悪いこと』を理解できる!覚えてもらうコツや人間都合にならないよう注意すべきポイントまでを徹底解説

人間社会のルールは人間が決めたことなので、犬に理解しろというのは無理な話です。それでも、飼い主さんがきちんと愛犬に教えてあげることで、犬も「良いこと」と「悪いこと」を理解することができます。愛犬に「良いこと」と「悪いこと」を覚えてもらうためのコツや、人間本位にならずに愛犬目線で教えるためのポイントを解説します。

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実は犬も理解できる「良いこと」「悪いこと」

トイレでの排泄を褒められる犬

犬と人間はよく似た脳の構造をしていますが、当然異なる部分もあります。

犬と人の脳の構造の大きな違いは、大脳新皮質の比率です。その結果、人は論理的で複雑な思考や倫理的な考え方が得意ですが、犬は苦手です。犬はその代わり、生きるために必要な判断力に長けています。

そのため、犬は人間社会の中で暮らしていますが、人間社会のルールやモラルを理解するのは難しいです。そもそも人間社会のルールやモラルは人の都合で決めたことですから、それを犬に求めるのが無理だということは、どなたも認めるところでしょう。

ただし、犬には学習能力があります。褒められるとモチベーションも上がります。そのため、飼い主さんが犬の思考回路を理解し、上手にモチベーションを引き出せれば、人間社会のルールに基づいて「良いこと」と「悪いこと」を教えることができるのです。

とはいえ、人間の言葉では伝えられませんので、犬に適した教え方をする必要があります。

「良いこと」「悪いこと」を覚えてもらうためのコツ

犬をしつけている飼い主

では、犬に「良いこと」「悪いことに覚えてもらうためのコツにはどのような方法があるのでしょうか。

いつでも誰でも同じ「指示」を出す

「ハウス」「コイ」「オスワリ」などの指示語(声符)や合図(視付)で愛犬に指示を出す際、同じ指示には必ず同じ声符や視符を使うことが肝心です。

飼い主さんの気分や別のご家族が指示を出す時に、異なる声符や視符が使われると愛犬は混乱してしまいます。

家族の誰でもが同じ「指示」を出すことが大切ですので、ご家族内でしっかりルールの統一を確認しておきましょう。

基準をブレさせない

褒めたり叱ったりする基準がブレるのも、愛犬を混乱させてしまいます。

基準には必ず一貫性を持たせましょう。社会のルールとして良いことと悪いことを覚えてもらうのですから、ご家族内で基準を統一させておきましょう。

正しいタイミングで接する

褒めるのも叱るのも、タイミングが大切です。

行動中または直後でなければ、全く意味がありません。犬は少し前の自分の行動と、今褒められて(叱られて)いることを結びつけられません。

帰宅後の飼い主さんに叱られても、留守番中の行動が原因だとは理解できません。

人間都合にならないように注意すべきポイント

倒れた鉢植えと犬

犬に「良いこと」「悪いこと」を覚えてもらうコツを理解したところで、次は「人間都合にならないように注意すべきポイント」を確認しておきましょう。

問題行動をさせない工夫

犬の問題行動をやめさせるには、問題行動の原因を取り除く工夫が必要です。

例えば、夜中に庭にやってくる他の動物の気配を警戒して夜鳴きをする場合、寝床の位置を変えて庭の気配が伝わらないようにしましょう。

このようなことは、常に意識し続けることが大切です。

叱り方の注意点

犬を叱らなくてはいけない状況になった場合、やみくもに怒鳴ったり体罰を加えたりしても、犬を怖がらせるだけで学習効果は全くありません。

他にも「感情的に叱らない」「しつこく叱らない」というような配慮が必要です。

また、名前を呼ばれることに嫌悪感を持たせないため、叱る時には犬の名前を呼ばないようにしましょう。

褒め方の注意点

いくら褒めても、愛犬のモチベーションを上げられなければ意味がありません。

良い行動をさせる動機が何かをきちんと把握することで、ふさわしいご褒美がおやつなのか、撫でられることなのか、一緒に遊んでもらうことなのかなどを、適切に見極められるようになるでしょう。

犬が学習する時の思考回路

吠える犬

動物が学習する際の思考回路には、報酬系神経回路と嫌悪系神経回路の2つがあります。

報酬系神経回路では「やろう」と考え、嫌悪系神経回路では「やめよう」と考えるようになります。もう少し噛み砕いて考えると、4つの思考ルートが見えてきます。

<報酬系神経回路>

  • 普通の状態 → 行動A → 嬉しいことが起こった → 行動Aをもっとやろう!
  • 不快な状態 → 行動B → 不快要素がなくなった → 行動Bをもっとやろう!

<嫌悪系神経回路>

  • 普通の状態 → 行動C → 不快なことが起こった → 行動Cはもうやめよう!
  • 快適な状態 → 行動D → 快適要素がなくなった → 行動Dはもうやめよう!

例えば、チャイムが鳴ると吠え続ける犬に、チャイムが鳴っても鳴かないようにしつけたい場合を例にして考えてみましょう。

<チャイムが鳴ると犬が吠える動機>
過去に何度か下記のような経験をすることで、犬はチャイムが鳴ると不審者を追い払うために吠え続けるようになることがあります。
チャイムが鳴る → 不審者が現れる → 吠える → 不審者がいなくなる

<チャイムが鳴っても吠えないようにするためのしつけ方の例>
チャイムが鳴って犬が吠え始めたら、下記の行動を行うことで「落ち着いて静かにすると良いことがあり、不審者もいなくなる」と教えます。
1.チャイムが鳴って犬が吠え始める
2.指示を出し犬を落ち着かせる
3.吠えるのをやめて落ち着いたらすぐに褒めてご褒美を与える
4.来客者を迎える(また吠え始めたら2、3を行う)
5.愛犬が静かにしている時に来客に帰宅してもらう

犬を落ち着かせるための手段は、愛犬に合わせて「ハウス」「オスワリ」「マテ」などの指示を出して落ち着かせます。協力者に来客者役を引き受けてもらい、繰り返し学習しましょう。

注意していただきたいのが、しつけには報酬系回路を多用するという点です。犬の場合、報酬系神経回路は80%以上、嫌悪系神経回路は20%以下だといわれています。つまり、叱るよりも褒めることを中心にしたしつけ方の方が効果的なのです。

そのためには、問題行動を起こす原因の排除や、良い行動への誘導などで、できるだけ「問題行動をさせない」工夫をすることです。その上で、良い行動をしたら褒めましょう。

まとめ

冷静に対峙する飼い主と犬

犬に対して褒めるしつけを実践する場合、「良いこと」と「悪いこと」、「褒めること」と「甘やかすこと」を混同しないようにしつけましょう。

甘やかしても犬は人間社会のルールを学べず、かえって問題行動を助長してしまうだけです。

犬の思考回路を理解し、モチベーションをうまく引き出しながら、褒める機会を増やし、「良いこと」と「悪いこと」を上手に理解・学習させましょう。

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