「飼い主とのスキンシップ」が犬に与える良い影響やその重要性
新型コロナ感染症がパンデミックとなってから、私たちの生活は「新しい生活様式」に変更せざるを得なくなりました。その結果、それまでは当たり前だった通勤や通学さえも行えなくなり、皆が同じ場所に集まらなくても仕事や授業を進められることが分かりました。
ただし直接的なコミュニケーションの大切さも見直され、今では再び会社や学校へ通う生活に戻った人も増えています。
再び家を空ける生活に戻った飼い主さんは、忙しさとストレスで愛犬とのコミュニケーションが減ってしまったかもしれません。そのせいで、再び遠のいてしまった飼い主さんとの距離感に戸惑い、不安を覚えている犬も多いかもしれません。
元々家族などの小さな群れで暮らす習性の犬にとって、群れの仲間と絆を確かめ合い、コミュニケーションを取り合って暮らすことが普通でした。人と暮らしている犬にとっては、飼い主さんが群れの仲間であり、絆を確かめ合い、コミュニケーションを取り合う対象なのです。
そこで今回は、「飼い主とのスキンシップ」が愛犬に与える良い影響やその重要性について解説します。
絆を深めることで愛犬を精神的に安定させられる
人の場合、母親と幼児が見つめ合いスキンシップを重ねることで、それぞれの体内における「オキシトシン」というホルモンの分泌量が増加し、双方の幸福感が強くなってお互いの愛情が深まり、信頼関係が強くなることが知られています。
そしてそれによって、人の母子と同じような関係が、飼い主さんと愛犬との間にも成り立つことが分かっています。
飼い主さんと愛犬とが見つめ合い身体を優しくさすることで、双方のオキシトシン分泌量が増え、その結果お互いへの愛情と信頼感が強まるのです。愛犬を精神的に安定させるためにも、飼い主さんと愛情と信頼で繋がっていると実感させることはとても重要です。
愛犬の身体をリラックスさせられる
大好きな飼い主さんから体を優しくさすられることで、愛犬の気持ちを落ち着かせるだけでなく、身体もリラックスさせられます。
愛犬に心身共に健康な生活をさせるためには、愛犬を身体的にリラックスさせることも重要です。
愛犬の手が届かない部分もケアできる
愛犬は、自分の体で痒みや痛みを感じた部位を足先で掻いたり舐めたりすることで、自分をケアします。
しかし、あごの下や眉間、足の付根など、愛犬が掻きたくても足が届かない部位、舐められない部位があります。
愛犬が自分では届かない部位を飼い主さんが撫でたりブラッシングしたりしてケアしてあげることは、愛犬の生活の質を高めるためにも重要です。
愛犬の脳を活性化させられる
愛犬の身体をさするということは、愛犬に刺激を与えるということです。
普段お留守番の多い犬や、ある程度高齢になってきた犬などには、適度な刺激が大切です。刺激は、愛犬の「退屈感」を取り除き、老化による認知機能の低下予防につながるため、とても重要です。
愛犬の体調不良に早期に対処できる
普段から愛犬の体を隅々まで優しくさすってあげることで、愛犬の皮膚の異変、しこりなどの異常や筋肉・関節の痛みなどにいち早く気づけるようになります。これは、愛犬の病気やケガを早期発見、早期治療するために、とても重要なことです。
愛犬がより喜ぶスキンシップを目指そう
では、犬が喜ぶスキンシップとはどのような方法がおすすめなのでしょうか。
ここからは、愛犬とのスキンシップの際に愛犬に喜んでもらえる方法について解説します。
声がけをしながら行う
最近では犬の室内飼いが一般的になりました。愛犬を危険な目に遭わせないためにはメリットのある室内飼いですが、一方、飼い主さんと違い、普段自由に家から出られない愛犬にとっては、留守番中は家の中でひとりっきりで刺激の少ない暮らしなのではないでしょうか。
退屈は愛犬にメンタル面での問題をもたらし、問題行動の引き金になります。また刺激のない退屈な毎日を過ごしていると、加齢による脳の老化を促進してしまい、人の場合の認知症のような症状を発症してしまうことも少なくありません。
忙しくても、毎日寝る前などに少しでも良いので愛犬に声をかけ、スキンシップを図る時間を作りましょう。声がけをしながらのスキンシップは、愛犬に多方面からの良い刺激を与えることにつながります。
マッサージやストレッチを意識してみる
せっかくスキンシップを図るのですから、犬のマッサージやストレッチについて学んでみてください。マッサージやストレッチは、愛犬を病気やケガから間接的に守ることができます。
かかりつけの動物病院で獣医師や看護師に相談してみると、教えてもらえることも多いです。
マッサージやストレッチで血行を良くし、筋肉を柔らかくさせることで、愛犬の身体をさらにリラックスさせてあげましょう。
過度なスキンシップは控える
いくらスキンシップが大切だとはいえ、直接キスしたり口移しでご飯をあげたり同じ食器を使用したりというような、過度なスキンシップは禁物です。
犬と人との間で感染する共通の病気もありますので、清潔な環境を保つだけではなく、愛犬との間に適度な距離感を保つことも忘れないでください。
まとめ
愛犬に頻繁に声がけをしたり、優しく身体をさすったりするスキンシップは、犬にとってとても大切です。
これは、飼い主の経験からくる感覚的なものではなく、専門家による研究結果にも基づいた事実だといえるようになりました。
せっかく家族として迎え入れた愛犬です。家族の一員として愛犬が喜ぶようなスキンシップでコミュニケーションを図り、良い関係を築いていきましょう。
ただし、犬と人との間で感染する病気があることも意識し、適度な距離感を保つことも忘れないようにしましょう。