犬は飼い主の苦痛を感じ取ることができる!
飼い主が落ち込んでいるとき、泣いているとき、犬が慰めに来てくれることがあります。
夫婦喧嘩や兄弟喧嘩をしているとき、体を張って仲裁したり、弱い立場である人をかばったり、家族を守るような仕草や行動をすることがあります。赤ちゃんが泣いていると近づき、そっと見守ることもありますし、飼い主に知らせに来てくれることだってあります。
それらは、犬が飼い主の苦痛を感じることができるからこそ、できることなのではないでしょうか。
実は『犬は飼い主の苦痛を感じ取ることができる!』ということが、新たな研究によって科学的に証明されたようです。
飼い主の苦痛を解消するために犬は行動する!
『犬は飼い主の苦痛を感じ取ることができる!』ということを証明した研究の内容は次のようなものでした。
- 34匹の様々な犬種の犬と飼い主が参加
- 犬と飼い主の間にはガラスのドアが隔てられている
- 犬は飼い主の姿を見て、声を聞くことができる
このような条件のもと、飼い主は犬に対して「助けて!」と15秒おきに声をかけます。
そのような状況下で、苦痛を感じながら「助けて!」と声をかけた場合と、苦痛なく「助けて!」と声をかけた場合を設定し、それぞれで犬がどのような反応を見せたのか、ということについての調査研究が行われました。
調査研究の結果
調査結果としては、飼い主が苦痛を感じているときも、苦痛を感じていない時も、飼い主との間に隔てられたガラスのドアを犬が鼻や頭を使って押し開けようとする割合は変わらなかったそうです。
明らかだったことは、飼い主が苦痛を感じながら「助けて!」と声をかけた場合の方が、犬がドアを開けるスピードは平均して40秒ほど早かった、ということです。
犬のストレス度にも影響が…
この調査研究内で、犬の心拍数を測定したことで分かったこともあります。
飼い主との間に隔てられたガラスのドアを、犬が鼻や頭を使って押し開けようとする割合は変わらないという結果でしたが、ドアを開けた犬よりも、ドアを開けなかった犬の方がストレスを強く感じていたことです。
飼い主の演技力がカギを握る
『犬は飼い主の苦痛を感じ取ることができる!』ということ、『飼い主の苦痛を解消するために犬は行動する!』ということが科学的に証明された…かのように思えた一方で、研究者は「完璧な実験ではない」としているようです。
苦痛を感じながら「助けて!」と声をかけた場合と、苦痛なく「助けて!」と声をかけた場合とで、犬がどのように反応するかは飼い主の演技力がカギを握る、ということが理由です。
「犬の能力」と「飼い主との信頼関係」が鍵
- 犬は飼い主の苦痛を感じ取ることができる!
- 飼い主の苦痛を解消するために犬は行動する!
このどちらにも鍵となる重要なポイントが、「犬が飼い主に共感できる能力を持っていること」「犬と飼い主との十分な信頼関係があること」です。
- 犬は飼い主を助けたいと思っている
- 犬は自分のストレスを和らげたいと思っている
どちらの気持ちが強く行動したのでしょうか。どちらであるかの科学的な証明のためには、まだまだ多くの研究が必要なようです。
まとめ
あなたは愛犬に対して、「犬は飼い主の苦痛を感じ取ることができる!」と感じたことがあるでしょうか。私はまだはっきりと感じたことはないかもしれません。
苦痛を感じ取って共感してくれているのか。苦痛を感じ取ったことによる自分のストレスを緩和させたいだけなのか。
我が家の愛犬たちの場合では、後者の方が強いのではないかと思います。
「犬は飼い主の苦痛を感じ取ることができる!」と科学的な証明がされつつも、実際のところは完全ではないともされているため、本当のところは飼い主にも研究者にも分からないのが現状です。
ただ、飼い主の感情の違いを読み取ることができること、飼い主の気持ちに共感できること、その感情が犬にうつることがある、ということが分かっています。
愛犬に苦痛を与えないためには、飼い主の自分自身の心のコントロールが必要なのではないでしょうか。