犬が飼い主に「怖い」と伝えているサイン
犬は人間の言葉を話せない代わりに、飼い主と意思の疎通を図るために様々な仕草や表情を使っています。犬同士で無用な争いを避けたり、親愛の情を表したりするサインがそのまま人間に対しても使われている場合もあります。
人間に何か訴えるときというのは、要求であったり、親愛であったりするのですが、なかでも「怖い」という不安な気持ちからの訴えは重要です。犬にとって恐怖や不安は大きなストレスであり、飼い主がその対処をしないと信頼を失ったり、あるいは身体的な不調や問題行動につながったりする可能性があるからです。
そこで今回は、犬が飼い主に「怖いです」と伝えているサインについて解説します。
1.唸る、吠える
攻撃的な行動のようですが、これは不安な状態や警戒するべき相手へのけん制のための行動となります。不安だから、怖いからそれ以上近づくな、それ以上こっちへ来たら攻撃するぞ、という気持ちを表しています。
初めは小さな、低い唸り声で警告を発し、そのうち激しく吠えたてるようになります。その時点で恐怖の対象から引き離す、安全なところへ連れていくというような対応をして、犬を落ち着かせてあげたほうがいいでしょう。
しかしそれを放置していると、恐怖が高まるあまり、対象に対して噛みついたり、攻撃を仕掛けることがあります。
犬が唸ったり吠えたりし始めた場合、その原因がはっきりしているのならその対象から引き離して落ち着くケージなどに入れてあげましょう。花火や雷などに対して恐怖を感じている場合、テレビの音などを付けて何食わぬ顔で飼い主は「気にしていない」という様子を見せてあげます。
吠えているときに声をかけたり撫でたりしてしまうと、それを肯定されていると勘違いする可能性があります。その場では声をかけるなどせず、いったん引き離して犬を落ち着かせてから、声をかけてあげると良いでしょう。
2.尻尾を足の間に挟む
尻尾は犬の気持ちを表す部位で、その振り方は犬のテンションのバロメーターでもあります。犬がうれしいときに勢いよく尻尾を振ることは有名ですね。
一方、首を下げ、背を丸め、だらりと下ろした尻尾を後ろ足の間に挟んでいるのであれば、犬は不安と恐怖を感じています。この時、目の表情もおそらく上目遣いになって自信なさげに見えるでしょう。場合によっては小刻みに体を震わせていることもあるかもしれません。
このような状態の場合は、犬は強いストレスと恐怖を感じ、半ばパニック状態とも言えます。その際は速やかにストレスの元から離してあげるようにしましょう。
3.耳を倒す、ヒコーキ耳になる
機嫌がよいときやうれしくてたまらない時にも犬たちは耳を後ろに倒したり寝かせたりします。尻尾を振りながら近づいてきたとき、耳を寝かせて頭を撫でてもらう準備をしている犬もいるようです。
しかし恐怖や不安を感じているときにも、犬は耳を倒したり、飛行機の翼のように横に伏せることがあります。特に後ろ向きに倒している場合は、怖がっている気持ちが強いようです。病院の診察台に乗せられたときや、全く知らない人が頭を撫でようと手を伸ばしたときなど、さっと耳を伏せる様子が見られます。
耳を伏せると同時に首をすくめたり、地面に伏せるように身体を縮めたりする場合はかなり強い恐怖を感じているようです。この状態から余計に恐怖を募らせる行動を見せると、ストレスのあまり攻撃行動に出る子もいるので注意が必要です。
まとめ
今回は、犬が飼い主に「怖い」と伝えているサインについて解説しました。
犬が怖いと訴えている場合、速やかにその対象から離したり、落ち着かせてあげるなど、ストレスにならないような対応をしてあげましょう。
また、犬が人やほかの動物に慣れていない、生活音に慣れていないという場合も恐怖のサインが良く出されます。
急にすべてに慣れることはできないので、少しずつ他の犬や人、音などに慣れさせる社会化を進めてあげることも大切ですね。