1.人や物の捜索
優れた能力を生かして仕事に励んでいる犬として有名なのが、警察犬ではないでしょうか。
警察犬は、微かなにおいを感じ取ったり、においを嗅ぎ分けたりする能力を最大限に使って、対象者の残した足跡や遺留物からにおいを嗅ぎ取って追跡したり識別したりします。それによって、犯人の検挙や行方不明者の発見などの役割を果たしているのです。
犬は元々においで何かを探し出したり、においを辿って追求・追跡していくことが得意です。
その犬はは、大昔から人間とパートナーを組んでおこなっていた仕事にも役立てられていました。狩猟に出て、パートナーが撃ち落とした獲物を見つけて回収したり、地面に潜った害獣を追いかけて駆除したり、人間にはできない仕事を請け負ってくれていたのです。
2.地震などの災害予知
地震が来る直前に愛犬がそわそわし出したり、雷が鳴る前から震えはじめたという経験はないでしょうか。
犬は地震や雨、雷、土砂崩れなど天候の変化や自然災害を予知する能力がある、と考えられています。
実はそのような能力は犬以外の多くの動物にもあるとされていて、森や山で生きている動物が、自然災害の直前に逃げ出したり普段とは異なる行動を取るようになったりすることは、古くから知られています。
これは、『人間にはわからないほどわずかな地面の動きや微かな音、気圧の変動、湿度の変化などを感じ取れるからではないか』と考えられています。
3.病気を発見する
犬の嗅覚は、人間の病気発見にも役立てられています。
特定の病気を持っている人から発せられる特有のにおいを、犬が嗅ぎ分けて人に知らせるように訓練されている犬がいるのです。現在では、ガンや糖尿病、結核、マラリアを探知する犬がいて、そのほかの病気についても研究や訓練が進んでいるようです。
また、科学的な根拠は解明されていませんが、人間が起こすてんかん発作を事前に予知して、警告するような行動を取る犬も発見されています。
てんかん発作は、多くの場合本人もわからないまま突然起こるものです。しかし、飼い主のてんかん発作の数秒前~数時間前にそれを予知して、体を支えるように飼い主の横についたり、立ち止まらせようとしたりといった行動を取ります。
このような事例は多数の報告があり、アメリカやイギリスでは様々な医師や動物行動学者などが、てんかん発作と犬の行動の関連性を認めています。
4.危険物探知・検疫探知
犬の嗅覚は本当に優れたもので、麻薬や銃器、爆発物など危険物の発見もできるのです。警察の捜査にそのような探知犬が投入されることもありますし、空港や港でおこなわれる水際対策にも役立てられます。
また、空港では検疫探知犬として活躍している犬もいます。海外から日本へ入国する人の荷物のにおいを数秒嗅ぎ、感染症や伝染病を媒介する可能性のある食品や植物などを見つけ出します。
荷物の外側からでは荷物の中は決してわからないので、隠れて日本国内に持ち込もうとしているものの発見には検疫探知犬の働きが欠かせないのです。
5.人間の心を癒す
犬の持つ不思議な能力として、「人間を癒す力」も挙げられます。犬を含む動物を治療に介入させるアニマルセラピーは広く知られていますが、その一種に「ファシリティドッグ」という存在があります。
ファシリティドッグは、主に子どもを対象としたセラピーで、治療する子どもや入院中の子どもに安らぎを与える役割を果たします。長期入院する子どもと定期的に触れ合ってストレスを軽減したり、採血や手術に付き添って不安感を和らげたりして、子どもが治療に対して前向きになれるようサポートします。
日本では2010年から導入され、現在では4つの病院でこの活動が実施されています。
まとめ
犬は人間よりもはるかに優れた嗅覚や聴覚を持っていて、人間の生活の様々なシーンで役立てられています。
また、科学的・医学的な証明がおこなわれていないものの、人間にはできないことが犬にはできる…ということもあるのです。
素晴らしい能力を持つ犬たちの活躍に、ぜひ注目してみてくださいね。