犬のしつけで叱るのは意味がない?叱る側の考えと叱られる側の気持ちについて

犬のしつけで叱るのは意味がない?叱る側の考えと叱られる側の気持ちについて

犬を叱る側の視点や考えに意味はなく、考えるべきはそれをされる側の犬の立場と気持ちだけです。犬を叱る側の視点や考え、つまり飼い主が犬をどのように思いどのような考えで叱っているのかというのは、犬にしつけをする上で意味を持ちません。叱る立場である飼い主が例え「この子が困らないよう人間社会で生活していくために、私は愛情をもってそれを教えているのだ」と考えていたとしても、犬にそれが伝わることはないのです。

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犬が叱られることで感じることは「不安」や「恐怖」といった嫌悪だけ

ハウスの中から睨む犬

飼い主はさまざまな思いでそれを犬のためだと信じて叱るという行動をとりますが、それによって得られるものは少ないどころか副作用のほうが大きく危険なのをご存知でしょうか。

叱る側の思いとは裏腹にただ犬は何か行動をするとネガティブな刺激を与えられる、それから身を守るための行動も意味がない、何かに自主的に挑戦することをやめよう…となるだけなのです。

こうしたネガティブな刺激を嫌悪刺激と言うのですが、「叱られることは自分を思ってのことなのだ…!」なんて犬は考えません。

この何をやっても意味がないと諦めてしまう心理状態は学習性無力感と言って、抑うつ状態であることが1967年にセグリマンの犬の研究によって証明されています。

厚生労働省が示すマルトリートメントを犬に当てはめて考える

厚生労働省の看板

マルトリートメントという言葉を聞いたことがある人はいますか?『諸外国ではマルトリートメントという概念が一般化している。「マルトリートメント」とは、身体的、性的、心理的虐待及びネグレクトであり日本の児童虐待に相当する』と厚労省では示しています。

つまり、殴る蹴るなどの目に見える虐待だけではなく目に見えない虐待、不適切な養育というのも広くそれに当てはめて考えることができるということです。

犬の飼育においてもこれをそのまま当てはめることができ、この考えで重要なのは叱られる側である犬にとって有害となるかどうかです。

犬が不安・恐怖・苦痛といったものをわずかでも感じているのであれば、それは嫌悪刺激であり虐待になる可能性もある。

たとえ叱る側がどんなに愛情を持って叱るという行為をしていたとしても、それは犬にとってただの不快な刺激であり、それをする相手を脅威の対象として認識するだけなのです。

犬を幸せにしたいのかそれとも苦しめたいのか

指を指されるパグ

あなたは犬を幸せにしたいですか?それとも苦しめたいですか?恐らくほとんどの人は幸せにしたいと考えていると思います。でなければ犬を迎えようなんてことも考えません。

しかし、犬のためを思って叱るという行為は実際には犬を恐怖で支配しコントロールしようとしている行為になってしまっているということを自覚すべきです。

まずはそれを自覚しなければ、「何度も繰り返していなければ大丈夫」「きっとこの子は理解してくれている」「愛情を持って接していれば問題ない」「理解しているからこの子は私に懐いている」など、自分の都合の良い解釈をしてしまいます。

その自分の都合のよい解釈から抜け出すことができなければ、いつまでも叱ることが犬にとっては嫌悪刺激でしかなく副作用が大きいという事実を見ることはできません。

それができなければ科学的に物事を見て取り組むということも、犬に何かを伝えたいときに罰を使用する必要はないということもきっと理解ができないでしょう。

犬を幸せにしたいのなら罰を使うべきではありません。幸せは動物福祉における状態によって評価されるものです。どうか犬を幸せにできる方法を間違えないであげてほしいと思います。

まとめ

幸せそうな家庭と一匹の犬

犬を叱る側の視点や考えは「犬のため」これに尽きると思います。

しかし、実際はそれによって犬を傷つけ関係性を構築するどころかマイナスにしてしまうだけです。犬を幸せにしたいのであれば傷つけてはいけません。

傷つけなくても犬に伝えることはできます。そして犬が不快だと感じていればそれは嫌悪刺激になりうるのです。

それを理解するためにも、今罰を与えてしまう状態に陥っているのであれば一度動物福祉に重きを置いているプロに相談してみることをおすすめします。

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