成犬が噛むのは子犬の頃にしつけができていなかったせいではない
成犬が噛むのは子犬の頃にしつけができていなかったせいだという言葉は、とても飼い主さんを追い詰めて傷つけるセリフのように思います。
責任感の強い飼い主さんほどそうした言葉で自身を責め、最悪の場合厳しさや心を鬼にする事も必要なのだとやりたくもない罰を与えるという方法を選択してしまいがちです。
しかし、決して成犬になった子が噛むのは子犬の頃にしつけができていなかったからではありません。
ましてや飼い主への挑戦や下剋上を狙うといった上下関係でもありませんし、この説はずっと昔に研究により否定されているものです。
むしろ心を鬼にして厳しさも必要とした方法というのは、犬が発するサインを無視したり失わせることにもなるため、それこそ急に噛むという行動にも繋がるためやってはいけません。
成犬になってから噛むという行動を減らすのは多くの時間が必要なこともある
成犬になってからというよりも、成犬になるまでに噛むことでしか「やめてほしい」を伝えることができず、そうすることでしか状況を変えることができないと学習してしまった場合、そうではない方法でのコミュニケーションを理解してもらうのは多くの時間が必要となるケースがあります。
なぜなら、噛むことでしか拒否を示すことができないと学習している場合、それ以前の小さなサインを示すことを悪い行為だと罰せられている可能性もあるからです。
また、そうしたことをしていなくても「やめてほしい」の小さくたくさんのサインを送るよりも、一気に噛むという行動をとったほうが早く安全が確保されると思っていることもあるため、そんな必要はないんだよということを理解してもらうためにもやはり時間が必要です。
成犬になってから多くの時間を必要とする前にプロに相談しよう
成犬になってから何か新しいことに取り組む場合、子犬の真っ白なスポンジのような状態とは違いこれまでの経験による学習も影響してくるため、定着してくるまでに長い時間を必要とすることが多いです。
しかし、それは決して新しく何かに取り組むということができないわけではなく、犬にとって優しくわかりやすい方法によってそれは可能なのです。
そのため独自で試行錯誤して失敗を繰り返してしまうよりも、早期にプロに相談し手伝ってもらったほうが近道であり、犬にとっても人にとっても不必要な苦労をしなくて済みます。
行動は繰り返すほどに強化され定着していく。
つまり、人間にとってありがたい行動もそうではない行動も繰り返せば繰り返すほど、いざその行動を減らしていきたいと考えたときになかなか減らないという現象が起こるのです。
そうなってしまう前に、またそうなってしまったあとでもできるだけ今後の取り組みの苦労を増やさないためにも、できるだけ早期の段階でプロに相談されることをおすすめします。
まとめ
子犬の頃と違ってこれまで生きてきた中での経験も影響してくるため、成犬になってからの噛むという行動をしなくてもいいんだよということを伝えるのは時間がかかることが多いです。
だからこそいろんなことをどんどん吸収して学習していく子犬の時期に、噛むという行動を取らなくても脅威は取り除かれるのだという経験をたくさんしてもらいたいのです。
しかし、それは決して子犬の頃に厳しくしつけるといった意味ではありませんし、むしろそれは関係性を崩したり悪化させるだけなので、「子犬の頃に厳しくしなかったらから」なんて考える必要はありません。
そうではなくただ単に犬にとって優しくそしてわかりやすい方法で上手に伝えることができなかっただけだったり、誤った対処をしたことで逆の学習をさせてしまっただけなのです。
同じ人間でもどのように接したらいいかわからないということは日常で当たり前なのですから、全く別の生き物の犬ならなおのことうまくいくことは少なくて当たり前です。
だからこそ自分でどうにかしようと頑張りすぎてしまう前に、プロに相談して1日でも1秒でも早く近道ができる方法を知ってほしいと思います。