飼い主さんを待っている犬の姿は愛おしい
外出先から帰宅すると愛犬が熱烈大歓迎といった様子で興奮気味に出迎えてくれる、トイレや入浴中にドアの前でずっと待っているなど、飼い主さんのことを待っている犬の話はよく耳にしますし、飼い主さんを待っている犬の姿の映像もよく目にします。
このような愛犬の姿は、飼い主さんへの愛情をダイレクトに感じられるため、飼い主さんとしてもとても愛おしく感じることでしょう。
しかし、嬉しいという感情をそのままストレートに愛犬に返してしまうと、かえって愛犬のためにならないケースもあります。
犬が「飼い主を待っているとき」の心理
犬が飼い主を待っているときの心理は、いったいどのようなものなのでしょうか。
1.いないとさびしいよ、何してるの?
家族などの群れで生活するのが当たり前の犬にとって、飼い主さんは自分の家族です。そのため、独りで留守番をしている時には、「飼い主さんがいなくてさびしいな」とか「一体どこで何をしているのだろう」といった心理状態になっているでしょう。
トイレや浴室のドアの前に座って出待ちしている犬の場合は、「そこで何をしているの?」と思っていることでしょう。普段トイレや浴室に入れてもらえない犬であれば、「この扉の向こうはどんなところなのかな?」と興味津々かもしれません。
2.もうすぐ帰ってくるので嬉しい
飼い主さんの帰宅時間がいつも同じ場合は、帰宅時間になると玄関などでお出迎えのスタンバイをする子が多いようです。
また時間が不規則な場合だと、門を開ける音や車のエンジン音、足音など、飼い主さんが発する音に反応して玄関に飛んでいく子が多いようです。
このような場合は、「もうすぐ帰ってくる。嬉しいな!」という心理状態が強いでしょう。
3.待っていたので褒めてもらえるはず!
前述した通り、留守番中の犬はさびしいと感じながら帰りを待っています。そのため、「良い子で待っていたのだから褒められるに違いない!」と期待していることもあるでしょう。
少しでも早く飼い主さんから褒めてもらいたくて、玄関で待ち構えているのかもしれません。
4.一緒に遊びたい
犬は、飼い主さんが帰宅すると良いことが起こることを知っています。
飼い主さんの生活スタイルにもよりますが、ご飯をもらえたり、一緒にお散歩に行ったり、一緒に楽しく遊んだりできることを、心待ちにしているのです。
5.このままずっと帰ってこないかもしれない…
これまでご紹介してきたのは「飼い主さんが必ず帰って来る」ことを理解している、飼い主さんとの信頼関係が構築されてた犬の心理でした。
しかしまだお家に迎え入れられたばかりの犬や、逆に飼い主さんを頼りすぎてしまっている犬の場合は、少し異なります。
それは、「もしかしたら飼い主さんはもう帰って来ないかもしれない」という大きな不安です。マイナスの心理状態は、時間の経過とともに大きく膨らんでいくものです。
帰宅したら家の中が愛犬の粗相やいたずらなどで大変なことになっていた場合、愛犬が不安に耐えられなくなってしまって出てきた問題行動なのかもしれません。
このような症状を出す犬の精神的な病気として「分離不安症」というものがあります。もし思い当たるフシがある場合は、一度かかりつけの動物病院に相談してみると良いでしょう。
愛犬が留守番時に感じている気持ちへの応え方
愛犬が飼い主を待っているときの気持ちが理解できたところで、飼い主としてはその気持ちにどのように応えるべきなのでしょうか。
無駄に長いお留守番は避ける
飼い主さんがちゃんと帰宅してくれると知っている犬も、お留守番中はさびしい思いをしています。そして、「早く帰ってこないかな」「帰ってきたら一緒に遊びたいな」などと思いながら待ってくれています。
愛犬のその気持ちに応えるためにも、飼い主さんは用事が終わったら、可能な限りなるべく早く帰宅してあげてください。
帰宅直後に大げさに褒めない
分離不安症というわけではないものの、少し心配性な犬の場合、帰宅した飼い主さんに大げさに褒められることで「やっぱりお留守番は不安なものなんだ」と強く感じてしまうことがあります。
帰宅して愛犬に大歓迎されると、飼い主さんは嬉しさからついついご自身も興奮気味になり、大げさに褒めてしまいたくなるかもしれません。しかしその気持は抑えた、クールな対応が必要です。
飼い主さんもひと心地つき、愛犬もクールダウンして平常心に戻った時点で、しっかりとコミュニケーションを取ることが好ましい対応です。
愛犬からの熱烈興奮大歓迎は、飼い主冥利に尽きますので嬉しくなるのは当然です。しかし、そこは愛犬のためにも落ち着いて対応すべきです。出掛けた飼い主さんは帰って来るのが当たり前なのだと、愛犬にしっかり理解してもらいましょう。
まとめ
犬も人も、共に家族という単位で暮らしてきた動物です。そのため、家族に対する思いはとても似ている部分が多いようです。
飼い主さんと愛犬の関係は、同じ家族の中の母親と子どもの関係によく似ていますが、あまりにも飼い主さんに頼りすぎてしまうと、分離不安症のように問題行動が見られることもあります。
「飼い主さんが愛犬を置いたままいなくなってしまうことなどない」と信頼されるように接することを心がけましょう。そのためにも、コミュニケーションを図るときにはお互いができるだけ平常心でいられるようにすることで、良い距離感を保てるでしょう。