昔の犬は「番犬」だった
昔と現在では犬と暮らしている人間にとって「犬」という存在がどういうものであるか変化していますよね。
昔、人に飼われていた犬は「番犬」や「使役犬」という存在であることがほとんど。玄関先やお庭に用意された犬小屋で飼われていることが多く、「外飼い」が主流でした。
現在、人に飼われている犬は「コンパニオンアニマル」という存在で、「家族」「伴侶」として大切に飼育されている犬が多いはず。共に時間を過ごし愛情を与え、飼い主さんの人生に潤いを与えてくれる存在だと思います。
90年代後半頃に小型犬のペットブームが始まり、ペットを飼育できるマンションが急増したのがきっかけで、室内で犬を飼うことが徐々主流になってきました。
犬の平均寿命が伸びた理由
50年前の犬の平均寿命は4~5年ほどでしたが、現在の犬は10~13年と言われています。小型犬と大型犬で平均寿命に差はあるものの、約2~3倍ほど長生きできるようになっているのです。
医療の進歩や食事が充実してきたことが理由になるのは間違いありませんが、室内で暮らすようになったことも理由のひとつ。実際に今現在でも外飼いの犬は室内飼いの犬よりも、2~3年ほど寿命が短いという結果が出ています。
近年では少数派になっていますが、外で飼われている犬もいます。外飼いの犬の寿命が短くなるリスクをご紹介していきます。
犬を外で飼うと寿命が縮まる?4つのリスク
1.事故や感染症のリスク
屋外にいつもいることで、必然的に他の生き物との接触が増えてしまいます。適切な予防が行われていない場合、ノミやダニ、またフィラリアなどの寄生虫がついてしまい、感染症を引き起こすリスクが高くなります。
そして、外飼いの犬は事故に遭うリスクも高くなる傾向にあります。リードが外れて脱走してしまい車との接触事故にあってしまう、悪天候の日に強風で飛ばされてきた物が体にぶつかり怪我してしまうなど、予期せぬ事故に遭遇してしまうリスクが高くなります。
2.気温の管理ができない
日本は四季がはっきりしていて、夏と冬とでは気温の差も激しいですよね。特に夏の暑さは昔と比べると厳しい暑さになっています。
もともと犬は野生動物であったため屋外を好む傾向は強いですが、身を寄せ合う群れの仲間がいない屋外で冬の寒さを耐えきるのは無理があります。寒い季節に外で過ごさせてしまうと免疫力が低下して、様々な病気の発症原因になりかねません。
また夏の暑さは、熱中症を引き起こすリスクが非常に高くなってしまいます。犬が快適に過ごせる気温は22℃程度。飼い主さんが気温の管理ができない屋外は、愛犬にとって危険なのです。
3.体調の変化に気づけない
室内で愛犬を飼育する場合「同じ空間」にいる時間が多くなりますよね。外で犬を飼った場合、どうしても愛犬と共に過ごす時間は短くなってしまいます。
室内に愛犬がいる場合、寝ている時の姿や呼吸の仕方、ほんの少しの歩き方の変化や仕草や表情などで体調の変化に気づきやすいもの。
外飼いの犬はどうしても飼い主さんの目が届かない時間が多いため、体調の変化や老化現象に気づくのが遅くなってしまいます。体調管理が難しくなるのも寿命が縮まるリスクのひとつです。
4.ストレス
外で飼われている犬には寒さや暑さ以外にも、いくつかのストレスがあると考えられます。本来群れの仲間たちと共に時間を過ごす犬にとって、多くの時間をひとりで過ごさなければいけない外飼いの犬は、孤独や寂しさなどのストレスがあるかもしれません。
犬は警戒心が強く聴覚が優れている生き物です。車や工事の騒音、雷の音などもストレスになってしまいます。また外飼いの犬はリードや鎖でつながれているため、行動範囲が限られることがストレスになり問題行動が増えてしまうこともあるようです。
長期的、慢性的にストレスを感じてしまうと、体調不良や病気の原因にもなりかねません。また人間のようにうつ状態になってしまうこともあります。
まとめ
犬を外で飼うと番犬になってくれる、また室内が汚れないなどのメリットもありますが、愛犬の健康を守ることを考えるとやはり室内飼いが安心です。外飼いでも室内飼いでも、十分な飼育環境を用意してから迎え入れましょう。