犬の散歩直後にご飯を与えて大丈夫?
犬の散歩は朝と夕方(飼い主さんの帰宅後)にしている家庭が多いと思いますが、そのタイミングは、ちょうどご飯を与えたい時間帯でもあります。そのため、散歩の前後どちらにご飯を与えたらいいか、迷っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
一般的に、『ご飯をしっかり食べた直後に散歩に行くのはNG』とされています。満腹状態で激しい運動をすると、消化器関係の様々なトラブルを引き起こすことがあるからです。
しかし、実は散歩の直後にご飯を与えることもあまりおすすめできることではないのです。食後の散歩に比べればリスクは下がりますが、同じように消化器系トラブルを起こす可能性があるのです。
散歩直後にご飯を与えるのがNGな理由
ではここからは、散歩直後にご飯を与えるのがNGな理由について解説します。
食べものを消化しにくい
犬の散歩では、たっぷり歩いたり外でおもちゃ遊びをしたり、走り回ったりと自然に運動をすることになります。体を動かしたとき、筋肉や皮膚に血流が集まるため、それ以外の器官に血液が行き届きにくい状態になっています。
そのため、散歩の直後に食べものを摂取しても、胃腸が十分に働かず大きな負担を感じたり、消化不良を起こして嘔吐や下痢をしてしまうことがあります。
十分に消化できないと、栄養の吸収も妨げられるので、長期間同じ生活をしていると、「しっかり食べているのに痩せる、栄養が偏る」ということが起こる可能性も考えられます。
胃拡張・胃捻転症のリスク
胃拡張・胃捻転症とは、胃がねじれた状態(捻転)になり、大きく膨らんで(拡張)しまうことで、全身に様々な悪影響を及ぼす疾患です。進行が早く、発症してから数時間のうちに死亡する可能性もある恐ろしい病気であることを覚えておいてください。
胃拡張・胃捻転症が起こる原因ははっきりとはしていないのですが、大量の空気や水、食べものを飲み込んだあと、体を激しく動かすと発症しやすいということがわかっています。
大きく重くなった胃が揺さぶられて、ねじれてしまった結果胃の周辺にある臓器全ての血流障害が起こります。血液が行き届かなくなった臓器は壊死を起こし、最終的に全身症状を起こし亡くなってしまいます。
ドーベルマンやグレートデンのような胸の深い犬や大型犬に起こりやすいともいわれていますが、どのような犬でも起こりうるものなので犬種や年齢を問わず注意が必要です。
太りやすくなる
朝起きたときは空腹状態であることが多く、そのまま散歩に行くと体がエネルギーを消耗しすぎないように「省エネ状態」になることがあります。そのような状態の中で食事を摂ると、エネルギーを貯め込もうとして、脂肪が燃焼しにくくなり、太りやすくなるとも考えられています。
ただし、すべての犬で同じことが起こるわけではなく、その他の時間で脂肪燃焼が進むこともあります。あまり気にしすぎる必要はありませんが、肥満で悩んでいる場合などは考えられるリスクのひとつとして頭に入れておくといいでしょう。
犬にご飯を与える時間の目安
散歩の前後どちらの場合でもご飯を与えることにリスクがあるとわかっても、実際には仕事など家庭の都合でそのタイミングにしか与えられないということもあるでしょう。
食後すぐに散歩に行くと胃拡張・胃捻転症になる恐れがあるため、『食後に運動をさせるなら、最低でも2時間程度は空けるべき』とされています。
散歩後にご飯を与える場合は、帰宅直後に与えるのではなく、呼吸が十分に落ち着き、血流の状態も安定するまで待ってあげた方がいいでしょう。散歩後30~60分程度空けてから与えることを目安にしてください。
仕事や外出前に散歩とご飯を済ませたい場合は、飼い主さんの起床後すぐに散歩に出かけ、帰宅後に犬を落ち着かせながら飼い主さんの外出準備をするといいでしょう。そして30分以上時間が経ってから、ご飯を与えるようにしてください。
まとめ
犬の散歩直後は、呼吸が整っていなかったり、血流が安定していなかったりすることが原因でご飯を食べると消化不良を起こす可能性があります。また、重篤な症状が招く胃拡張・胃捻転症が起こるリスクも少なからずあります。
愛犬の体に負担をかけないようにご飯を与えたいなら、散歩の直後ではなく30~60分程度時間を空けて与えるようにしましょう。また、胃拡張・胃捻転症のリスクが高い食事直後の散歩は絶対に避けるようにしてくださいね。