犬の「尻尾」の役割
犬には尻尾がありますが、私たち人間にも尻尾があったということをご存じでしょうか。尾骶骨と呼ばれる骨は、尻尾の名残だと言われています。
進化によって私たち人間には尻尾が不要になり、退化したのです。では、今でも立派な尻尾を持つ犬たちは、その尻尾にどのような役割を担っているのでしょうか。
1.感情を表現する役割
犬の尻尾には、感情を表現する役割があります。
警戒しているとき、警告しているときには、尻尾をピンッと立てて表現します。不安や恐怖を感じているとき、疲れているときやストレスを感じているときには、尻尾をだらりと下に下げて表現します。
尻尾がちぎれてしまうのではないかというくらいブンブンと激しく振るのは、嬉しくて興奮した気持ちを表現しています。尻尾をやや下げ気味にして先の方だけを小刻みに振るのは、服従や敬意を表現しています。
犬の尻尾には感情を表現するという役割がありますが、そのための尻尾の動きは数えきれないほどあり、全てを把握することは飼い主でもなかなかの困難な技です。
2.コミュニケーションをとる役割
犬の尻尾には、コミュニケーションをとる役割があります。
尻尾には感情を表現する役割があり、尻尾によって自分自身の感情を表現したり、相手の感情を読み取ったりすることで、コミュニケーションをとっています。
犬同士が挨拶をするとき、どちらの犬も尻尾を同じように動かすことがあります。お互いが同じ気持ちで、同じように挨拶をし、同じように思い合っているのでしょう。
犬同士が挨拶をするとき、一方の犬が尻尾を上げて大きく振り、一方の犬が尻尾をだらりと下げて太ももの間に挟んでいることもあります。後者には不安や緊張の気持ちがあるのでしょう。
飼い主とのコミュニケーションにも尻尾を使っていますので、愛犬とコミュニケーションをとるときは、尻尾の動きからも感情を読み取ってみてください。
3.バランスをとる役割
犬の尻尾には、バランスをとるという役割があります。
尻尾でバランスをとることで、体の動きをコントロールすることができます。犬が全速力で走りながら急旋回することができるのは、尻尾でバランスをとっているからです。
泳ぎが得意な犬の場合、尻尾は船の舵のような役割も担います。とくに、犬が泳ぎながらゆっくりと方向転換するときの尻尾の動きに注目して見てみてほしいです。
4.体温を維持する役割
犬の尻尾には、体温を維持する役割があります。
長毛でボリューミーな尻尾を持つ犬の場合、体をキュッと丸めて眠り、尻尾を顔の周りに巻き付けることで、マフラーのような役割を持ち、体温を維持することができます。
雪山でソリを引くシベリアン・ハスキーが、雪の上で休憩をとるとき、体をキュッと丸め、尻尾の中に顔を埋めている姿を写真や動画などで見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
とくに鼻先を尻尾に埋めることで、冷たい空気を吸わないようにしているんです。冷たい空気を吸う量が減るだけでも、体温は維持されやすくなります。
犬の尻尾には、体温を維持する役割があることから分かるように、尻尾の長さや被毛のボリュームは、その犬がどのような環境で原産された犬種なのか、ということが分かるのではないでしょうか。
まとめ
犬の尻尾の役割を4つ解説しました。
- 感情を表現する役割
- コミュニケーションをとる役割
- バランスをとる役割
- 体温を維持する役割
使役犬として活躍してきた犬種の中には、その作業内容から断尾されてきた歴史を持つ犬もいます。
しかし、尻尾の役割を知ると、現代の犬に断尾は本当に必要なのか…ということまで考えさせられるのではないでしょうか。