飼い主の「髪の毛」を噛むのは犬の癖のひとつ
人は多かれ少なかれ必ず癖を持っているということを表す慣用句として、『無くて七癖、有って四十八癖』ということばがあります。癖の数はともかく、多かれ少なかれ癖を持っているという点では、犬も同じです。
土を見るとすぐに穴を掘りたがる、ご家族の靴をいつもどこかに隠してしまうなど、犬の癖と一口に言ってもその内容は多種多様です。飼い主さんの髪の毛を噛んでしまうというのも、比較的よく見られる癖のひとつです。
髪の毛を噛んでも美味しくないし、ましてやお腹が満たされるわけでもありません。それなのに、なぜ飼い主さんの髪の毛を噛みたがるのかと不思議に思われている飼い主さんもおられることでしょう。それに何より、髪の毛を噛まれた飼い主さんは、あまり愉快な気分ではないはずです。
そこで今回は、犬が飼い主さんの「髪の毛」を噛みたがる理由や対処法についてご紹介します。
犬が飼い主の「髪の毛」を噛む理由
ここからは、犬が飼い主の「髪の毛」を噛んでしまう理由について解説します。犬が飼い主さんの髪の毛を噛むのが本当に癖なのだとしたら、その癖を止めさせるためには、その癖の原因を知っておくことが必要かもしれません。
1.一緒に遊んでいる
髪の毛を噛まれた飼い主さんの反応を見て楽しく感じた経験を持つ犬にとって、「髪の毛を噛むこと」は「飼い主さんと一緒に遊ぶこと」という認識だと考えられます。
思いもよらない突然の行動に驚き、「キャッ」とか「嫌ぁ」などと甲高い声や大きなリアクションをした飼い主さんは、犬から見ると喜んでいるように見えるのです。
2.気を引きたい
髪の毛を噛まれた飼い主さんが見せる反応により、退屈で仕方なかった犬は飼い主さんから関心を向けられたと、嬉しい気持ちになります。
普段からお留守番の時間が長いとか、最近飼い主さんが忙しくてあまりかまってもらえなかったという犬が見せがちな行動です。
3.物を噛むのは犬の習性
元々犬には、物を噛んで確認するという習性があります。犬の前足は人の手ほど器用には動かせないため、手の代わりに噛みつくのです。
また、狩りをしたときにも、獲物の首筋に噛みついて振り回すことでとどめを刺します。ある程度の大きさのものに噛みついて振り回したいという衝動を、犬は本能として持っているのです。
4.他のものを噛むと叱られるから髪を噛む
上記の通り、犬の本能にはいろいろなものを噛みたいという欲求が組み込まれています。しかし手当たり次第に何でも噛んでいると、飼い主さんから叱られてしまいます。
家具はダメ、手もダメ、足もダメ… と辿り着いたのが、髪の毛だったということもあるようです。
5.ストレス過多
ここまで説明してきたような欲求の他に、ストレスを発散するために噛むこともあります。
この場合も、他のものを噛むと叱られることが多いので、最終的に髪の毛を噛むことになったのかもしれません。
しつこく髪の毛を噛まれる時には、散歩や運動の回数や時間が減っていて、ストレスが溜まっている可能性があるので注意が必要です。
愛犬が飼い主の「髪の毛」を噛む場合の対処法
では、愛犬が髪の毛を噛んでしまう場合、どのように対処すべきでしょうか。
遊びを中断してその場を離れる
愛犬が、「飼い主さんと一緒に遊びたい!」という理由で髪の毛を噛んでいる場合は、とにかく大きなリアクションを見せないことが大切です。
大きな声や身振りは、かえって愛犬を喜ばせ、興奮させてしまいます。遊びを中断して、その場から離れてしまいましょう。
無視する
もっとかまってほしくて髪の毛を噛んでいる場合も、愛犬をかまったように思わせない行動を取ることです。
具体的には、愛犬と目を合わせず、声もかけずに無視し続けましょう。その場を離れたり無視されたりすることで、愛犬は髪の毛を噛んでも望みが叶わないことを学習し、やめるようになるでしょう。
アイコンタクトと指示でクールダウンさせる
愛犬が興奮したままいつまでも飼い主さんにつきまとい、髪の毛を噛みたがる場合は、より積極的な方法でクールダウンさせなければなりません。
アイコンタクトで愛犬の注意を飼い主さんに向けさせ、「マテ」や「フセ」などの指示で落ち着かせます。そのためには、普段から愛犬に基本的なしつけをしておくことが欠かせません。
まとめ
愛犬と飼い主さんだけの関係であれば、髪の毛を噛むことを放置していても、特に大きな問題にはならないかもしれません。
しかし、愛犬が接するのは飼い主さんだけではなく、他のご家族や見知らぬ人、子どもだったりすることもあります。
その場合、飼い主さんの髪の毛を噛む行為が発展し、他者を傷つけてしまう事故に繋がる可能性も考えられます。
愛犬自身が人間社会の中に適応し、安全で快適に暮らしていけるようにするためにも、して良いことと悪いことを教え、興奮した気持ちを落ち着けさせられるような基本的なしつけをしておくことが大切です。