犬が秋に体調を崩しやすいと言われる理由
一般的に「犬は秋に体調を崩しやすい」といわれているのを耳にしたこともあるのではないでしょうか。
そこで今回は、秋に犬の体調が悪くなる原因を解説します。理由を把握しておけば、対策もとりやすくなるかもしれません。
1.夏バテを引きずっている
昨今の日本の夏の暑さは、毛皮を着ていて汗による体温調節ができない犬にとっては過酷なものです。室内でエアコンを使っていても、人間ですら暑いと感じて食欲が落ちるのですから犬はなおさら体調が悪くなってもおかしくありません。
つまり、人も犬もいわゆる夏バテの状態になってしまう可能性があります。
夏バテは涼しくなってくると次第に落ち着くものですが、近年では9月になっても暑い日が続き、秋になっても内臓の疲れが取れずにバテた状態が続いてしまうこともあるようです。消化器官が弱っているところにいつもの食事内容では重たく、消化不良を起こしてなおさらバテが長引くこともあります。
2.運動不足が影響している
夏の間は日の出の時間を過ぎると気温が急激に上がり、外に出るのが億劫になりますよね。しかも、路面温度が高くなり、アスファルトの上は60℃になることもあるようです。これでは日中に散歩に出ることができません。
路面がまだ暑くなっていない早朝に散歩に行くにしても限度があり、夏の間は必然的に散歩の距離が短くなる、という方も多いのではないでしょうか。
犬の方も暑さに弱いので、夏の間は散歩を嫌がる子も多いようです。しかし、散歩の時間が短くなると、当然犬は運動不足に陥ります。夏の終わりには春より少し太ったかも、ということもあるかもしれません。
反対に、涼しい秋になると張り切って運動不足を解消しようと散歩を増やしたり、走る時間を長くしたりすることもありますが、ここで注意が必要です。
運動不足になった犬に急に運動をさせると、関節の負荷や靭帯への負荷が非常に高くなります。とくに小型犬の場合、急激な運動は膝や股関節を痛める一番の原因となりますので、涼しくなったからといって急に激しい運動はさせないように心掛けましょう。
3.気温差による消耗
夏の間は連日30℃を超える気温で、犬の被毛は夏仕様で薄くなっています。
しかし、秋になると急激に朝晩に冷えるようになっていき、日によっては一気に5℃~10℃も気温が低くなる日もでてきて、本格的な秋を感じていくことでしょう。
その場合、人間はすぐに服を重ねることができますが、犬は冬毛が生えるまで時間がかかってしまいます。
犬の冬毛の支度が終わらないうちに気温が下がると、体温を保つことが難しくなり、その結果体調を崩す犬もいます。
特にシニア犬の場合は体温調節機能が低下していることも多いので、夏の終わりごろから毛布や洋服を着せるなどの準備をするなどしてあげることが大切です。
また、秋は夏毛から冬毛に生え変わるシーズンのため、日々のブラッシングは欠かせません。これを怠ってしまうと、被毛の生え変わりが遅くなったり、皮膚炎になったりするトラブルに繋がってしまうリスクがありますので気を付けましょう。
犬が秋に体調を崩さないための予防対策
まず犬の食欲に関しては、消化器官が夏にダメージを負って回復しきっていないことを考慮し、消化吸収の良いものを与えるようにしましょう。
夏に食べずに体重が落ちている場合、秋になってそれを回復させようとたくさんご飯を与える方もいらっしゃいますが、消化器官に負荷がかかりやすくなるので注意が必要です。特にシニア犬の場合は高たんぱく、低脂肪で消化の良いものを中心にし、無理に食べさせようとしないことが大切です。
夏の間控えていた運動に関しては、過ごしやすい気温になってから少しずつ増やしてあげてましょう。散歩の距離を少しずつ伸ばしていったり、ちょっと慣れてきたら駆け足を加えてみたり、と徐々に運動負荷をあげていきます。この時、楽しそうだからといってジャンプを多用するような運動を急に行わないようにすることが大切です。
ジャンプ運動は膝や股関節に大きな負荷がかかりますし、腰のヘルニアの原因にもなります。特に小型犬は骨が細くもろいため注意してあげてください。
気温の差が大きくなると、人間でもお腹が緩くなったり風邪をひきやすくなります。老犬や被毛が薄い・短い・シングルコートなどの犬は夏毛のまま涼しい季節に突入してしまうと、身体が冷えて体調を崩しやすくなります。寝床を温かくしてあげたり、衣服を着せて体温の調節をしやすくしてあげましょう。
まとめ
季節の変わり目は、犬も人間も体調を崩しやすいものです。人間同様、犬も夏の疲れを回復しないまま秋に突入することが多く、なんともないようでも食欲が落ちたり丸まって動かなくなったりすることがあります。
行楽シーズンだからと張り切りすぎず、犬たちの体調や様子をよく観察して過ごしやすいように気を付けてあげたいものですね。