もしも世界中の犬や猫がヴィーガンフードを食べたら?という試算結果

もしも世界中の犬や猫がヴィーガンフードを食べたら?という試算結果

畜産が環境に与える影響は多くの研究結果が報告されていますが、もしも世界中の犬や猫のペットフードが全てヴィーガンになったら環境への影響はどのくらい軽減されるかという試算結果が報告されました。

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ペットフードが畜産業に占める割合と環境への影響を試算

野菜、フード、肉を前にした犬と猫

気候変動や食資源の減少など、環境問題は人類にとって最も大きい問題です。

私たちの生活に密接に関連しているところでは、食肉や卵、牛乳などを生産する畜産業があります。畜産業は土地や水の消費、汚染物質の排出など環境に大きな影響を与えるからです。

畜産業についての研究は主に人間が消費する分について行われて来ましたが、過去のいくつかの研究では犬や猫のペットフードも、食肉消費の大きな部分を占めていることが報告されています。

これらのことを念頭において、アメリカ国内または世界のすべてのドッグフードおよびキャットフードが、動物成分不使用のヴィーガン食に切り替わったと仮定した場合の、環境への影響について試算が行われました。

この試算を実施したのは、オーストラリアのグリフィス大学およびイギリスのウィンチェスター大学で、環境科学の教授を務めるアンドリュー・ナイト博士です。

犬と猫のヴィーガン食が環境に与えるインパクト

地球に乗ったチワワのイメージ

この研究では、アメリカについては2020年、世界については2018年の犬と猫の頭数データが使用されました。その他のデータは、数多くの先行研究や政府データベースから得たものです。

推計によると、アメリカの犬と猫が消費する家畜の量は、人間が消費する量の約5分の1、世界全体では約10分の1である可能性があります。

もしもアメリカの犬と猫がヴィーガン食を食べるとしたら、これによって救われる家畜は年間20億頭近く、世界全体では70億頭近くになるとのことです。家畜だけでなく魚など水生動物も数十億匹が節減できます。

この試算では、土地や水の使用、温室効果ガスの排出、汚染物質の排出の削減の可能性も示されました。

土地使用については、全世界のドッグフードがヴィーガン食になった場合には、サウジアラビアよりも広い面積、キャットフードがヴィーガン食になった場合には、ドイツよりも広い面積の土地が確保できる可能性があります。

温室効果ガスの削減量では、全世界のドッグフードがヴィーガン食になった場合は、イギリスの全排出量、キャットフードがヴィーガン食になった場合には、ニュージーランドの全排出量を上回る可能性があるそうです。

もちろんヴィーガン食に変更することで、最も大きな影響を作り出すのは人間です。もしも世界中の人間がヴィーガン食に切り替えた場合には、ロシアとインドを合わせたよりも広い面積の土地が確保でき、温室効果ガスについてはインドまたはEU全体の全排出量に匹敵する削減量が期待できるとのことです。

環境と栄養、さらなる研究に期待

ボウルの前で伏せる猫とゴールデンレトリーバー

この研究に使われた2020年(アメリカ)と2018年(世界)の犬猫の頭数データは、最も正確な最新の犬猫個体数の推計として採用されました。

しかしペットの飼育数はこの数年で世界的に増えており、ペットフードが環境に与える影響はさらに大きくなっている可能性があります。それはつまり、ヴィーガンペットフードに切り替えた場合の環境効果は、推定よりも大きい可能性があるということです。

この試算の結果を補強するためには、さらに新しく詳細なデータを取り入れた今後の研究が必要であると著者は述べています。

また犬や猫の健康を守るためには、栄養的に完全であることが保証され優れた基準を持つ、信頼できる企業によって製造されたヴィーガンペットフードを与えることが重要であるとも付け加えられています。

犬や猫の栄養学は、この研究の範囲からは外れるので多くは触れられていませんが、ヴィーガン食が犬の健康に与える影響については研究が増えつつありますが、猫についてはまだまだ少ない状態です。これらについても今後さらに研究が増えていくことが期待されます。

まとめ

フードを食べている犬と猫

「もしも世界中の犬と猫がヴィーガンフードを食べたとしたら?」という仮定で、環境に与える効果を試算した結果をご紹介しました。

この通りのことが実現するとは限りませんが、ペットフードと環境の問題は犬や猫と暮らしている人が頭の片隅に置いておきたいことのひとつです。

今後もヴィーガン食の研究やペットと環境の問題について研究が報告されることと思いますが、「関係ない」と切り捨てずにぜひ目を通していただけたらと願います。

《参考URL》
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0291791

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