保護犬ってどんな犬?
浸透しつつある「保護犬」という言葉ですが、実際には「こんな犬のことを保護犬と言いますよ」というような明確な定義がありません。
みなさんが何となく感じていらっしゃるのは、飼い主に捨てられた犬や野犬として生まれた犬が、保護団体や愛護センターで保護されているというイメージなのではないでしょうか。
最近では、繁殖所(ブリーダー)や販売業者(ペットショップ)が経営破綻したことにより、レスキューされる保護犬も増えています。また、多頭飼育崩壊というものも起きており、飼い犬が子犬を生み、去勢や避妊をしなかったことで繁殖しつづけ、飼育が困難になってしまったというものです。
保護犬というと、ほとんどが成犬だというイメージを持たれる方もいらっしゃると思いますが、実は子犬もたくさんいます。雑種やミックスも多いですが、純潔な犬もいます。
冒頭で言った通り、保護犬には色んな境遇を持つ犬がおり、明確な定義がなく、「このような犬が保護犬です」ということが難しいのです。
犬の保護に至った代表的なケース
では、犬が保護されるのにはどのようなケースがあるのかをご存じでしょうか?
ここでは、その代表的なケースについてご紹介します。
問題行動
一般の家庭から保護に至った代表的ケースでは、「吠える」「噛む」などの「問題行動」が挙げられます。
「問題行動のせいで手に負えず、これ以上は飼うことができない」という理由で飼い主から手放され、保護団体や愛護センターに引き取られるというケースです。
飼い主の入院または死亡
一般の家庭から保護に至った代表的ケースでは、「飼い主の入院または死亡」が挙げられます。
高齢の飼い主が入院したこと、施設に入居したことにより、自宅に帰ることができず、保護団体や愛護センターに引き取られるというケースです。
飼い主の死亡によって引き取られるケースも増えており、高齢化社会が生む問題のひとつとされています。
ブリーダー破壊または多頭飼育破壊
ニュースやSNSでも取り上げられることが増えた問題ですが、飼育放棄された大量の犬たちの保護に至った代表的ケースです。
業者や飼い主が犬を大量に繁殖させてしまったことにより、廃業や飼育破綻に追い込まれたのです。
体中が汚物にまみれた犬もいます。怪我や病気をしている犬もいます。ほとんどの犬が人に全く懐いていません。保護されるときには、ケージの中で亡くなっている犬も多くいます。
事情が全く分からない犬も…
我が家の愛犬も元保護犬ですが、「もう1カ月以上も放浪している犬がいるんだ」という話を聞き、保護した後に1年かけて飼い主を探したのですが見つからず、我が家の子になったというケースです。
実は、私のような経験を持つ犬の飼い主は意外と多いものです。脱走して迷子になったのか、野犬だったのか、飼い主に捨てられたのか、事情を知る由もないのです。
保護犬をお迎えするときに気をつけるべきこと
保護犬をお迎えしようとしても、初めての場合はなにかと心配ですよね。この場合、気を付けるべきことはどのようなことなのでしょうか。
心に傷を負った犬と真剣に向き合うことができるかどうか
保護犬をお迎えするとき、心に傷を負った犬と真剣に向き合うことができるかどうか、じっくり考えてみてください。
保護犬のほとんどは心に大きな傷を負っています。保護されるまでの間、粗悪な環境にいた犬もいますし、放浪し、生きるか死ぬかの毎日を送っていた犬もいます。
飼い主やブリーダーから肉体的または精神的な虐待を受けていた犬もいます。言い方は悪いのですが、保護されてからも、あっちへこっちへと、たらいまわしにされる犬もいます。
心に傷を負った犬は、そう簡単に心を開いてはくれません。人慣れするまでに相当な時間がかかります。そんな犬と真剣に向き合える覚悟はあるでしょうか。
一生涯お世話を続けることができるかどうか
保護犬をお迎えするとき、一生涯お世話を続けることができるかどうか、じっくり考えてみてください。
もう二度と、保護犬にしてはいけません。
赤ちゃんが生まれる予定があり、犬を飼えなくなるかもしれません。転勤による引っ越しの予定があり、犬を飼えなくなるかもしれません。
飼いたいと思っていた理想の犬ではなかった、懐いてくれないから、仲良くなれないから、といった理由で手放したくなるかもしれません。
いつまでも可愛いばかりではありません。犬も高齢になると介護が必要になります。
何があっても、どんな犬でも、一生涯お世話をし続ける!という覚悟がなければ、保護犬を迎えるにはまだ相応しくないと考えるべきです。
まとめ
保護犬を迎えることには問題が多く難しい…というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、実際に保護犬と会ったことがないのであれば、ぜひ譲渡会に参加してみてください。
ひとつではなく、複数の譲渡会に参加することをおすすめします。保護団体や愛護センターのホームページもご覧になってみてください。
イメージだけで決めつけていると、犬を家族に迎え入れることはできません。実際に保護犬と会ってみなければ何も始まらないのです。
保護犬であっても、そうでなくても、犬を飼うということは、その犬の命と生涯を背負う覚悟が必要です。
もしも保護犬を家族にお迎えすることがあれば、愛犬がいる生活を心から楽しんでほしいです。