犬保護団体が行なったアンケート調査
メキシコを拠点とする犬保護団体Bone Voyage Dog Rescueは、メキシコの保護犬とアメリカやカナダの引き取り希望者を結びつける活動をしています。
これはメキシコ国内よりもアメリカやカナダの方が犬の譲渡先が見つかりやすいからです。
先ごろBone Voyage Dog Rescueが、アメリカで犬を飼いたいと考えている人を対象にした大規模なアンケート調査を行ない、その結果が発表されました。
この調査は、アメリカの各州ごとに3,000人を対象に「犬を家族に迎えるとしたらどこから迎えたいですか?」という内容のものでした。
アンケートに加えて、同団体は過去1年間のGoogle検索の傾向を調査し、犬に関する人々の関心を把握したといいます。
全国的には約半数の人が保護犬を迎えることを希望
各州ごと3,000人を対象にした調査では、人々が純血種の犬を購入するよりもレスキュー団体や保護施設から、保護犬を迎えることを好む方向に傾向がシフトしていることを示していました。
全体的には、将来犬を飼おうと考えている人の46%が保護犬を迎える意向を示していました。以前にアメリカの全米動物保護協会が発表したデータと比較して、保護犬を迎える可能性が6%増加。
いくつかの州では、特に保護犬を迎えたいと考える人の多さが顕著でした。ネブラスカ州、ニューメキシコ州、ワイオミング州では75%〜81%の人が保護犬を飼うことを強く希望していました。
保護犬を迎えることに積極的な上位25州のうち22州は、Google検索の犬に関する関心の傾向も保護犬へのシフトチェンジを示していたそうです。
例えば、ワイオミング州は保護犬の検索の割合が最も高く、ニューメキシコ州も保護犬の検索割合は第3位と、アンケート調査の結果と一致していました。
この調査結果は保護犬の明るい未来を反映しているのだろうか?
この調査結果を受けて、同保護団体の代表は「保護犬を迎えようという傾向の高まりは、引き取られた個々の犬の幸せにとどまらないアメリカ全体の動物福祉を向上させる可能性を秘めている」とコメントしています。
このアンケート調査自体はとても簡素なもので、「保護犬を迎えたいと考えている」と答えた人のうち、実際に行動に移す人の割合はそれほど高くないと推測します。
ですから団体の代表のコメントはやや楽観的すぎる感はあるのですが、この話題が各州のローカルニュースで数多く取り上げられており、「保護犬に関心が高まっている」という情報発信としては成功したのではないかと思います。
Bone Voyage Dog Rescueの代表が述べておられる「アメリカ全体の動物福祉へのメリット」は、確かに保護犬を迎える人が増えれば起こり得ることで、大切なことでもあるので紹介いたします。
1.保護犬を迎える人が増えると施設に収容される犬の数を減らせる
家庭に迎えられる犬が多くなると、その分保護施設にいる犬の数は少なくなります。
その結果、施設のスペース、スタッフの配慮、医療ケアなど1頭あたりに使える資源が多くなり、保護施設や団体への負担が軽減され施設に残っている動物の生活環境が向上します。
2.保護犬を迎える人が増えるとペット産業の需給関係に影響を与える可能性
消費者がペットショップで購入するよりも保護犬を選ぶようになれば、パピーミルなどの非人道的な繁殖を抑制できる可能性があります。
これも楽観的に過ぎる見方ではありますが、アメリカの州によってはペットショップでの犬猫うさぎの販売を禁止して、代わりに定期的な保護犬猫譲渡会の開催などを促進して一定の効果を上げている例もありますので、行政との連携をうまく取ることで可能性はあります。
まとめ
メキシコの犬保護団体が行なったアンケート調査の結果から、アメリカでは保護犬への関心が高まっている傾向があるという報告をご紹介しました。
上にも書いたように、アンケートから導き出された結論は楽観的過ぎる気がするのですが、州ごとの集計結果を発表することで各州のローカルメディアが数多く取り上げ、結果的に「保護犬の人気が高まっている」という見出しが数多くの人の目に留まる形になっているので、戦略として成功しているとも言えます。
保護犬や保護猫という選択肢があるということを知ると、保護犬猫を選ぶ傾向が強くなるという別の統計結果もありますので、興味深く考えさせられました。
《参考URL》
https://bonevoyagedogrescue.com/Bone-Voyage-dog-rescue-rise-of-the-underdog/