犬のしつけにご褒美が必要な理由
犬のしつけにおいて、ただ言葉で伝えてそれをやってもらうということは無理です。
なぜなら犬と人は共通言語を持ち合わせていませんし、犬はバーバルコミュニケーションなのに対して犬はノンバーバルコミュニケーションであるという違いもあります。
ですから、なにかしつけと言われる行動を犬に学習してもらいたい場合は、犬が喜ぶご褒美としておやつを使うことが多く、特に最初の頃は必ずおやつを提供するようにするものです。
そうすることで、ある行動をすると必ず嬉しいものを得られるからもっとその行動をしよう!といったようになり、その行動がどんどん増えていきます。
しつけとは何か人間にとって望ましいとされる行動を犬に教えて覚えてもらうことですから、その行動を早く覚えてほしいならどんどんメリットとなるご褒美を提供しなければなりません。
犬のしつけで徐々にご褒美を抜いていく理由
そうやって犬がご褒美というメリットのために行動の頻度が増えたり強くなったりしたとき、それは犬がその行動を学習したということになります。
ただし、この学習した行動をもっと確かなものにするためには、常に与えていたご褒美をランダムに与えるという手続きをしなければいけません。
これが、徐々にご褒美を抜いていく必要性の部分です。
これはときどきご褒美を提供したほうが行動が強く定着するという現象が起こることから使われる方法で、これを利用して「覚えてきたらご褒美を徐々に抜いていきましょう」という話が出てきます。
しかし、それをやるためには何回に1回ご褒美、何秒に1回ご褒美、といったようにスケジュールを考えて実行しなければいけないので、それを考えながらやるというのは飼い主さんも大変です。
それにそんなことを考えながらやらなくても、100%必ずご褒美を提供し続けるということ自体もまた難しいこともあり、何も考えなくても自動的に時々ご褒美の提供という状態になっていたりするためあまり抜くことを考えなくてもいいと私は考えています。
犬に何を求めているのか?どんな時間を犬と過ごしたいのか考えてみよう
ご褒美を抜いていくことをあまり考えなくてもいいとお伝えしましたが、なかにはしっかりとご褒美を抜いていかなければならないと主張する人もいます。
そうでなければ、せっかく学習したこともご褒美がなければやらなくなってしまうという理由からの主張ではありますが、先述したようにそんな事をわざわざ考えなくてもご褒美がときどきになってしまっていることがほとんどです。
ですので、そこの心配をあまりしなくてもいいと考えますし、仮に毎回ご褒美を提供することができるとしてそれの何が問題なのでしょう?というところも合わせて考えてもらえるといいですね。
そもそも私たちが生活をともにしているのは愛玩動物として作られた家庭犬です。
犬が可愛い、喜ぶ姿が可愛い、一緒に楽しいことや嬉しいことを共有したい、という気持ちから迎えている人がほとんどでしょう。
であれば、とある行動に対して「よくできたね!いいこだね!」という言葉とその子が喜ぶご褒美を一緒に提供することで、一緒に楽しいことや嬉しいことを共有するという目的が達成されます。
もしも迎えた目的が愛玩動物としてではなく、なにか特殊な訓練と特殊な目的のために必要だったからというのであればもっとしっかりとご褒美の使い方を管理しなければいけませんが、一般家庭犬においてそれは必要とは思えません。
一般家庭犬として犬と生活をすることを目的としているのか?それともなにか特殊な訓練と目的があって迎えているのか?
それによって取るべき選択も変わってくるので、一度自分はなんのために迎えているのかをよく考えて見極めることをおすすめします。
まとめ
犬のしつけのために使うご褒美は徐々に抜いていく必要があり、最終的にはご褒美なしでもそれができるようにしなければいけない…というのは必ずしも正解ではありません。
それをすることによって起こる行動の強化という現象は確かにありますが、そのために回数や時間をしっかり管理して忠実に行っていくというのは大変です。
また、愛犬と楽しい時間を共有したいと考えて迎えているところに、そこまでする必要性も私は感じないので、もしもおやつなどご褒美を抜く必要があるのかどうかを迷っている方は、何を目的にしているのかを今一度考えてみてください。
もしご褒美を抜いていくところまでやりたいという場合は、プロのドッグトレーナーに相談してみてくださいね。