犬に「いってきます」を言うのはNGとされる理由
世界的なドッグトレーナーである、シーザー・フェリペ・ミラン・ファベーラさんをご存じでしょうか。アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクラリタ在住で、カリスマドッグトレーナーとして有名です。
シーザー・ミランさんは『犬に「いってきます」を言ってはいけない』としています。犬に対して出かける時の挨拶はNGだと言うのです。
みなさんは出かける時、愛犬に声をかけますか? 私は「行ってくるね」とか「すぐ帰るからね」と声をかけてしまうのですが、これもNGらしいのです。
犬に「いってきます」を言うのはNGとされる理由は何なのか、ぜひ私と一緒にカリスマドッグトレーナーであるシーザー・ミランさんから学んでみましょう。
1.飼い主が「家にいること」と「家にいないこと」を明確にしてしまうから
犬に「いってきます」を言うのはNGとされる理由は、飼い主が「家にいること」と「家にいないこと」を明確にしてしまうからです。
犬にとって「いってきます」は別れの挨拶であり、必ず飼い主が帰ってくるということを保証するものではありません。
人には「いってきます」の挨拶に含まれた事情を理解することができます。生活するためにはお金を稼がなければならず、10時間ほど家をあけて仕事へ行かなければならない、などです。
しかし、そんな事情は犬には理解できません。飼い主が帰宅した時に大興奮で大喜びしてくれるのは、別れという恐怖から解放された、という犬の心理から起こる行動なのではないでしょうか。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬は、飼い主の行動をよく観察しています。朝起きる時間や服を着替える行動などから学習し、自分が留守番をしなければならないことを推測しています。
2.犬はみんな分離不安症であるため
犬に「いってきます」を言うのはNGとされる理由は、犬はみんな分離不安症であるためです。
どれくらいの程度なのかは個体差がありますが、シーザー・ミランさんは、犬はみんな分離不安症を抱えているものだとしています。多かれ少なかれ、飼い主と離れることに不安や恐怖の気持ちを持っているのです。
そんな犬に対して、別れの挨拶である「いってきます」という言葉をかけてしまっては、不安や恐怖の気持ちを煽るばかりです。
よく、「猫は家につく」「犬は人につく」と言いますが、人につく習性を持つ犬にとって、飼い主と離れることは恐怖でしかないのです。
犬の心理としては、なぜ飼い主は家を出て行くのか、なぜ自分も一緒ではないのか、それを理解することは難しいのです。
監修ドッグトレーナーによる補足
分離不安症というと大げさに聞こえてしまいますが、大好きな飼い主さんと離れることは、犬にとって不安を感じてしまうことは確かでしょう。
不安の大きさは個体差や飼い主さんとの関係性にもよりますが、出かける時は大げさなアクションは不安を大きくするだけなので、愛犬が気が付かないくらい自然に出かけてしまうのが良いでしょう。
出かける時は特別な態度を取るべきではない
出かける時、「いってきます」を言うことがNGであることと同時に、特別な態度を取るべきではないとされています。
犬を安心させるためには、飼い主が近所にゴミを捨てに行く5分も、コンビニに行く15分も、仕事に行く10時間も、全てが同じであることが重要なのです。
最も重要なことは、「飼い主が家を出る」「飼い主が家に帰る」の2つが必ずセットになることです。時間はなるべく短い方がよいでしょう。
職業によっては、飼い主が家を出たまま何日も戻らないことがあるでしょう。それどころか、見知らぬ場所や人に預けられることもあるでしょう。
その時の犬の心理は、飼い主との別れを感じていると思います。飼い主は戻ってこない、自分は捨てられた、そんな気持ちかもしれません。
長期で出かける必要がある時も、ゴミ捨てに行く時の5分と同じ態度で接するようにすることで、犬の不安と恐怖とストレスを少しでも減らしてあげられるようにしてみましょう。
まとめ
犬に「いってきます」を言うのはNGとされる理由を2つ解説しました。
- 飼い主が「家にいること」と「家にいないこと」を明確にしてしまうから
- 犬はみんな分離不安症であるため
世界的なカリスマドッグトレーナーであるシーザー・ミランさんの考えを元に、飼い主に「いってきます」を言われた時の犬の心理を知ることができましたよね。
犬の習性上、飼い主と離れる時間があることを理解することが難しいのです。離れることは別れでしかないのです。
しかし、私たちは出かけなければなりません。
愛犬に理解してもらうことは難しくても、不安や恐怖やストレスを軽減させること、安心と快適なお留守番をしてもらうための配慮をすることを意識するべきだと思います。