犬が「悲しい表情」で飼い主を見つめる理由
犬は他の動物より表情が豊かです。これは家畜化された後も長く人間のそばで生活をしていたため、群れの仲間である人間の真似をして表情を作るようになった結果、顔面の表情筋が発達したからと言われています。
オオカミと比較しても犬は眼輪筋など目の周囲の筋肉が発達しているため、眉を上下させたり瞼を動かしたりすることが上手にできます。そのため眉を下げたり、上目遣いの時に白目を出したり、目を細めたりというような表情を作ることができるのです。しかし、犬の感情がその表情の通りであるとは限りません。
人間には生まれながらにして「表情を読む」能力があります。また成長とともに「こういう顔をしているときは楽しい気持ち」「こういう表情のときは悲しい気持ち」ということも学習していくため、犬たちの表情についても人間が作る表情のうち、似ているものに当てはめて感情を想像してしまうのです。
そのため、犬の眉が下がっている、上目遣いになっているといった表情を見るとそれを「悲しい表情だ」と飼い主は認識してしまうんですね。実は何も考えてなくぼ~っとしていただけ、ということもあるかもしれません。
しかし、一緒に暮らしている犬の気持ちは、飼い主ならばなんとなくわかりますよね。一見して普通に見える表情でも、飼い主からみると「悲しそう」と分かってしまうものです。ちらちらと目が合うのに元気が無かったり、呼びかけへの反応も鈍かったりすると心配になります。
では、犬が「悲しい表情」で飼い主を見つめるのにはどんな理由があるのでしょうか。
1.さびしい、悲しい
何時も飼い主さんと一緒にいたい犬にとって、お留守番はさびしく悲しいものです。
それを予測できてしまう出来事(出勤前の準備、外出の準備など)を見かけたり留守番になりそうな予兆を感じると、犬は途端に意気消沈しているような表情を作ります。
2.強い不安がある
ぺたっと床に伏せ、上目遣いでちらちらと周囲に視線を走らせているときや、ハウスに入り込んでじっと飼い主を見つめているときは、何らかの不安を感じていることが多いようです。
このときにあくびを多発したりセルフグルーミングが多くみられる場合は、強いストレスを感じている状況です。
3.なんらかの要求がある
先述したとおり、犬は悲しいからその表情を作っているのではなく、犬が作った表情を人間が悲しそうと感じているだけという場合もあります。
悲しそうと思った人間が犬を構ってあげることで、犬にとっては「こうやっていたら飼い主が構ってくれた」と学習してしまうことにつながるのです。
犬が「悲しい表情」で飼い主を見つめるときの対応
犬は本当に悲しいときと、本当は悲しくないときの両方で「悲しそうな顔」を作ります。ただし飼い主さんの直感で、これは絶対悲しんでいるという場合は、その感覚を信じてリフレッシュさせてあげるほうが良いでしょう。
さびしがっている場合は一緒にいる時間を増やしてあげたり、寄り添ってふれあいの時間を増やしてあげることを心がけましょう。
不安やストレスを感じている場合、いつものおやつ程度では表情が変わらなかったり、あるいは呼んでも近くに来ないことがあります。そのような時は不安やストレスの元から引き離し、ちょっと長くお散歩をしたり公園でたくさん走ったりという運動をさせてあげると良いでしょう。
また、悲しそうな表情に見えて実は体調不良を我慢しているといったこともあります。おやつや散歩に見向きもしない場合は、食事量や飲水量、排便排尿の様子など健康チェックを行い、身体に不調がないかよく確認してあげてくださいね。
まとめ
今回は、犬が「悲しい表情」で飼い主を見つめる理由について解説しました。
さびしかったり不安だったりするようであれば解消してあげたいものですし、犬たちにはいつでも楽しそうな顔をしていてもらいたいものです。
普段から犬の様子をよく観察し、ストレスをあまりかけないようにしてあげたいですね。