犬と人間の「体感温度の違い」とは
犬と人間は、同じ空間にいても体感温度が異なり、『犬の方がより暑さを感じやすい』と言われています。その理由として以下の点が挙げられます。
- 人間より犬の体温は2~3℃高いため
- 犬は汗をかきにくいため
- 人間より犬の方が体高が低く地面が近くなるため
犬の平常時の体温は37.8~39.3℃程度であり、人間だと発熱に値する数字になります。なお、犬の体温は個体差があるので、愛犬の平均体温を知っておくと良いでしょう。
また、犬の皮膚に汗腺は肉球にのみ存在しますが、体温を下げるほどの数はないため、人間のように汗をかいて体温調節することができません。しかしその代わりに、口を開け「ハァハァ」と呼吸することで熱を逃がします。暑い環境では、犬は人間よりも体に熱がこもりやすくなります。
体高が低く地面からの熱を受けやすいので、わたしたちが涼しいと思っても犬は暑さを感じていることも少なくありません。
『犬と人間では体感温度が17℃も違う』という実験結果もあるのです。
年齢や犬種における「体感温度」の違い
前述のように、基本的に犬は暑さに弱い動物です。しかし、年齢や犬種によって感じる体感温度には差が出てきます。具体的に見ていきましょう。
子犬やシニア犬
子犬は体が小さいため、地面や床の接地面から体高までの距離が非常に短いです。そのため、成犬よりも暑さ寒さを感じやすくなります。
また、シニア犬は加齢に伴い、体温調節が苦手になります。さらに暑さや寒さに鈍感になる傾向もあるので、飼い主さんの室温管理がとても重要になります。
子犬やシニア犬と暮らしている飼い主さんは、常に一定の温度を保つのではなく、愛犬の様子を見ながらこまめに室温を変えてあげてくださいね。
暑さが苦手な犬種
パグやフレンチブルドッグなどの鼻がつぶれている短頭種は暑さに弱いため、他の犬種よりも注意が必要です。「ハァハァ」と呼吸するパンディングが上手くできないため、上がった体温をなかなか下げられません。
寒冷地原産の犬種であるグレート・ピレニーズやシベリアンハスキーなどは、寒さに耐えられるよう進化を遂げ、モフモフとした被毛に覆われているため暑さはとても苦手です。
柴犬や秋田犬などの日本犬やウェルシュ・コーギーは被毛が2重構造になっているダブルコートのため、シングルコートの犬に比べると暑さに弱いです。換毛期もありますが対応できる気温には限界があります。
寒さが苦手な犬種
一般的に大型犬よりも小型犬の方が寒さに弱いと言われています。犬や人間も含まれる恒温動物は体が大きくなればなるほど熱が逃げにくいという特性があります。小型犬は体が小さいので熱のロスが起こりやすいのです。
被毛の長さや構造も大きく関わってきます。犬の被毛には防寒や防御の役割があるので、被毛が短い犬種やシングルコートの犬種は寒さが苦手です。
具体的には、チワワ(スムース)、ミニチュアダックスフンド(スムース)、イタリアングレーハウンド、ミニチュアピンシャーなどが挙げられます。
犬にとっての快適な温度とは?
犬は基本的に暑さに弱く、年齢や犬種によって温度の感じ方が異なると述べてきました。では、結局のところ犬にとっての快適な温度とは何度なのでしょうか。
そこでここからは、犬にとっての快適な温度とあわせて、飼い主さんに知ってほしい愛犬が過ごしやすい環境づくりのポイントについてご紹介します。
- 室温は21~25℃
- カーテンの活用
- 洋服を着せる
- 犬用冷暖グッズの活用
犬が快適に過ごせる室温は「21~25℃」と言われています。あくまで一般論になるため、前述した年齢や犬種によって1~2℃調節したほうが良いでしょう。湿度が高いと犬にとって負担になるため、40~60%内に留めてください。
カーテンの開け閉めでも室温は変わってきます。特に夏場は直射日光が入り続けると室温が上がるので、エアコンを使用しても適温になるのに時間がかかります。
外気温が低くなる秋や冬の晴天の日はカーテンを開けて窓辺にベッドを置いて日向ぼっこも良いでしょう。長時間いると身体に熱がこもってしまうので短い時間にしてくださいね。
犬用の洋服も種類豊富にあるので、夏は冷感タイプ、冬は防寒機能のある洋服を1枚着せてあげるだけでも体感温度はグンと変わります。上手く活用して、愛犬の体温を守ってあげてください。
同じように、夏はクールネックや冷感マット、冬は犬用の湯たんぽやヒーターを使用してあげると良いですね。愛犬の様子を見ながら上手に取り入れると快適に過ごせます。
まとめ
人間と犬では、そもそもの体感温度が全く異なります。特に犬は暑さに弱いので、人間が(少し寒いかな?)と感じるくらいの温度が犬にとっては適温です。
年齢や犬種によっても差が出ますので、愛犬の様子を観察しながらいつも快適に過ごせるよう飼い主さんが気を配ってあげてくださいね。