犬が唸る理由
犬は通常、ボディランゲージを主とする「非言語的コミュニケーション」を使って、他者と意思の疎通を図ります。犬同士もそうですが、人間に対しても同様です。飼い主は愛犬の表情や仕草で彼らの気持ちを読み取ってあげることが必要になります。
犬は尻尾を振ったり、お腹を見せたり、というような代表的なボディランゲージをするほかにも、吠えたり唸ったりもしますよね。
では、犬が唸っている理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
代表的なものとしては、「警戒」「恐怖」の気持ちです。
犬はもともと警戒心が強い生き物ですし、聴覚や嗅覚が発達しているため、人間が感じ取れないにおいや音を敏感にキャッチしています。それが未知のものや苦手なものだった場合、唸ることで(近くに嫌なものがありそう…)(怖い…)という気持ちを表現しています。
反対に、楽しい時も唸ることがあります。これは興奮が高まっているときによくみられる行動で、思わず声が漏れている状態という感じでしょうか。おもちゃで遊んでいるときや犬友達と遊んでいるときなどに見られます。
また、何らかの要求を通そうとする際にも、喉の奥から唸り声をあげることがあります。おもちゃを渡したくない、どこかへ行ってほしくない、おやつをもっと出せ、というときなどに見られる行動で、人間がいうことを聞かない場合は吠えたり噛んだりという実力行使に出ることもあるようです。
犬が唸っているときに絶対してはいけない行為
前章で犬が唸っている理由について分かったところで、ここからは犬が唸っているときに絶対してはいけない行為について解説します。
1.大きな声で怒鳴る
犬が吠えたり唸ったりしたときに、大きな声で怒鳴って叱るのはNGです。
もともと唸っているときというのは興奮状態になっているため、犬は自分が叱られていることが分からず、さらに興奮し行動が激化することがあります。
また、何らかの恐怖を感じて唸っている場合、びっくりしてパニックになり、人への攻撃をしてしまう可能性もあり、大変危険です。
2.おやつで気を引く
唸っている最中におやつを与えて気を引き、止めさせようというのもNGです。
犬にとっては「唸った=おやつがでてきた」と結び付けて学習できてしまうので、それ以降、おやつが欲しいタイミングで唸るようになってしまいます。
3.なでる
これも飼い主側としては「落ち着かせたい」という気持ちでやってしまいがちなのですが、逆効果になる場合があります。
興奮して唸っているときに上から手を伸ばしてしまうと、犬は反射的に「怖い」と感じて噛みついてしまうことがあるからです。
また唸るたびに構ってもらえると学習する可能性もあるため、落ち着かせるためになでるのはあまりお勧めできません。
状況別にすべき対処法や落ち着いてもらうためのコツ
では、犬が唸っている時には、どのような対処をすべきなのでしょうか。
まずは警戒・恐怖の対象から遠ざけてあげましょう。
雷の音などの場合は難しいですが、花火の音に吠える・唸るなどが分かっていれば事前に花火から遠ざかることができます。インターホンの音に唸ってしまう場合は聞こえないようにしてあげたり、玄関から遠いお部屋にハウスを置くなどすることもできます。
要求のために唸る場合は徹底的に無視することが大切です。唸ったら言うことを聞いてもらえたという学習をさせないために、よほど緊急性の高いことでない限りは無視をするのです。
更に、何かしらに興奮して唸ることが多い犬の場合、呼んだら飼い主のそばに来る、飼い主の合図でおもちゃを離して座るなど、落ち着く時間を設けるトレーニングをするのも良い方法です。
一回インターバルを置くとおやつをもらえる、褒められる、というような経験を繰り返すことで、唸らない方がいい経験ができる状況に徐々に慣れ、興奮しすぎることを防ぐことができるようになります。
まとめ
唸るというのは犬にとっては貴重な音声によるコミュニケーションなので、トレーニングで止めさせるのはなかなか難しいものがあります。
興奮させすぎない、恐怖心を取り除いてあげる、というような、そもそも犬が思わず唸ってしまうような状況を作らないことを考えて対応をしてあげましょう。
また、お腹が痛かったり体調が悪いときに唸ることもあるため、日ごろから犬たちの体調のチェックをきちんとして置くことも大切ですね。