犬が飼い主から「逃げる」ときに考えられる心理と原因別の対処法
在宅勤務などの機会が増えたことで、愛犬のそばにいるにも関わらず、忙しくてかまってあげられない時間が増えている飼い主さんも多いのではないでしょうか。そしてそんなときに限って、愛犬がそばに寄ってきて甘えたり遊びたがったりするということがあります。
逆に、日々のケアなど、飼い主さん側に用があって愛犬に近寄っていくと、気配を察してすっと逃げてしまうということもよくあることです。
これは、単にタイミングが合わないというだけのことなのかもしれません。
しかし飼い主さんにしてみれば、自分の姿を見て逃げ出されれば悲しくも寂しくもなりますし、また用があるのに逃げられてしまって捕まえられないと、なかなか用を果たせずにイライラしてしまうこともあるでしょう。
飼い主さんのことを好きで信頼しているはずの愛犬が飼い主さんから逃げてしまうとき、愛犬は一体どのような心理状態なのでしょうか。そして、逃げられずにきちんと用事を果たすためには、どのような対処をすればよいのでしょうか。一緒に考えてみたいと思います。
1.飼い主さんが怖い
特に怒っているわけではなくても、普段の言動が愛犬に恐怖心を抱かせてしまうというケースがあります。
大柄な体格で低くて大きな声で荒っぽく話したり、あまり落ち着きがなく突然予想外の大きなアクションを起こしたりするようなタイプの飼い主さんなどです。このようなタイプの飼い主さんだと、愛犬はいつも緊張していることになります。
また普段は穏やかな飼い主さんでも、機嫌が悪いときには「触らぬ神に祟りなし」と近寄ってこなくなりますし、近づいてくると逃げてしまうこともあるでしょう。
愛犬が飼い主さんを怖がっている様子があるのなら、根気よく「怖くない」ことを知ってもらいましょう。少し高めの声で穏やかに話すようにしたり、身振りをなるべく小さめに抑えたりするだけでも効果が見られるでしょう。
また、感情の起伏が激しい方なら、感情をそのまま言動に表さず、愛犬の前では常に冷静で穏やかな態度を見せるように心がけましょう。愛犬の恐怖心をなくすためには時間がかかりますが、諦めずに努力を続けてください。
2.嫌なことが起きると予測している
人間は、無意識のうちに行動をパターン化してしまうことが多いです。食事や散歩の準備、歯磨きの準備、動物病院に連れて行く準備など、愛犬は飼い主さんの行動を観察することで、次の行動を予測しています。
そのため、(あ、動物病院に連れて行く気だな)などと察すると、近寄ってきた飼い主から逃げるようになります。
この場合の対処法としては、まず愛犬が「嫌がること」を「喜ぶこと」に変えていく努力をしましょう。嫌がることを少しでも我慢できたら、ご褒美をあげるようにするのです。ご褒美をあげるタイミングを少しずつ伸ばしていくことで、徐々に嫌なことにも慣れていき、嬉しいことに変えることができます。
ただしこの対処法は時間がかかります。パターン化してしまった行動を変え、愛犬に予測されないような工夫をすることと並行すると良いでしょう。
3.そっとしておいてほしい
飼い主さんのことが大好きで甘えん坊な犬であっても、「今はそっとしておいてほしい」というときがあります。それは、自分の食事中や睡眠中、また何かに夢中になっているときなどです。また体調がすぐれないときも、そっとしておいてほしいと思っています。
愛犬の食事中や睡眠中、また何かに夢中になっている時には、飼い主さんが邪魔をしないようにしましょう。「今はそっとしておいて」という心理は、きっと飼い主さんも同じはずです。
ただし愛犬の体調不良が疑われる場合は、できるだけ早めに診てもらうようにしましょう。
4.嫌いなニオイがする
普段は大好きな飼い主さんでも、嫌いなニオイがしていると逃げ出すこともあります。
例えば、酔ってお酒臭い、外出のために香水をつけた、タバコのニオイが染み付いたなどです。タバコは自分が吸っていなくても、副流煙でニオイが染み付いてしまうため注意が必要です。
とはいえ、外出先などによっては、どうしても愛犬の嫌がるニオイがついてしまうこともあるでしょう。その場合は、帰宅したらすぐに入浴したり着替えたりすることで、ニオイを取り除きましょう。愛犬との触れ合いは、その後でゆっくりと行ってください。
5.遊びに誘っている
犬の大好きな遊びは、狩りのシミュレーションである追いかけっこやプロレスごっこです。そのため、飼い主さんと遊ぶときにも追いかけっこや引っ張りっこなどを好む傾向があります。
愛犬が飼い主さんを見て逃げるように駆け出したと思ったらまた戻ってきたり、少し離れた場所で追いかけて来るのを待っていたりする場合は、飼い主さんを遊びに誘っています。
逃げ出しているわけではありませんので、気を落とすことなく愛犬との遊びを心から楽しみましょう。
もしお手入れなどの用があって近づいた場合であっても、少しだけ遊びに応じてあげましょう。その上で、タイミングを見計らって必要な用に移すと良いでしょう。
まとめ
愛犬が飼い主さんの姿を見て逃げ出す場合、その多くは「嫌だ」という気持ちから来ています。
しかしそれは、飼い主さんのことを嫌っているという意味ではありません。荒っぽい言動に緊張しているとか、この後嫌なことをされると分かっている、今は放っておいてほしい、などの気持ちからです。
また、一緒に遊びたいケースもありますので、愛犬の様子をよく観察した上で理由を見極め、適切な対処をしてください。