犬がイライラしているときのサイン
犬は人間の言葉を話せませんが、自分の感情を仕草や行動で表します。
特に犬がストレスを感じているときは、自分やストレスの原因となっている相手の気持を落ち着かせるための「カーミングシグナル」とよばれる行動を見せます。愛犬のストレスをいち早く軽減させるためには、飼い主さんが愛犬のカーミングシグナルに気付けることが大切です。
犬が下記のような仕草や行動を見せている場合、それはイライラしているときのカーミングシグナルかもしれません。注意深く観察し、ストレスの原因となっているものを取り除く、または軽減するように対処しましょう。
- 眠くないのにあくびをする
- 自分の鼻先を舐める
- 体を震わせたり掻いたりする
- 眉間にしわを寄せる
- 歯を剥き出したり唸り声をあげたりする
大切なのは、いらつかせている原因の究明です。飼い主さんは、おそらく環境の変化や直前の出来事などを思い浮かべて原因を探ろうとするでしょう。その中で最も見落としがちなのが、飼い主さんご自身の行動ではないでしょうか。
監修ドッグトレーナーによる補足
「しっぽを追いかける」「体を掻く」「体や手足を舐める」「ブルブルっと体を振る」などの行動もカーミングシグナルと言われています。
愛犬がこのような仕草や行動をしていないか、日頃から注意深く観察することが大切です。
犬をイライラさせる飼い主の行動
実は、犬をイライラさせる原因が飼い主さんの行動であることが多いのです。しかも、普段から何気なくやっている行動が、犬に負担をかけているという可能性もあるのです。
そこで今回は、犬をイライラさせる飼い主さんの行動をご紹介します。
1.期待しているのになかなか叶えてくれない
犬は常に飼い主さんの行動に注目しています。なぜなら、犬の生活は受け身であることが多く、ほとんどのことは飼い主さんが決定しているからです。そのため、じっと飼い主さんの行動を観察し、「もうすぐ食事だ!」とか「そろそろ散歩だ!」など期待に胸を踊らせます。
ところが、飼い主さんが食事の支度を始めたのにいつまでも出してくれない、散歩に行く用意を始めたのになかなか連れて行ってくれない場合、次第にイライラしてきます。積極的に催促をする犬もいますが、アピールできずにイライラを募らせてしまう犬もいるのです。
2.しつこくする
母犬のように慕い、信頼している飼い主さんから優しく声をかけられながら撫でられるのは、犬にとっても嬉しいことでしょう。しかし、いつまでも撫で回されたり気が向いていないときに追いかけ回されて構われたり、強く抱きしめられたりするのは苦手です。
特に小さなお子様がいらっしゃる場合、お子様と犬だけで過ごすとこういうことが起こりやすく、犬はイライラを募らせてしまうことがあります。犬とお子様だけにしたり、お子様が犬にしつこくしているのを放っておくことはせず、飼い主さんが止めに入ることが大切です。
3.顔に息を吹きかける
あまり意識をしたことがないかもしれませんが、顔に息を吹きかけられるのを嫌う犬は多いです。これは、攻撃的な行為と誤解されたり鼻が乾燥して嗅覚の精度が鈍ることがあるからです。
嗅覚は犬にとってとても大切な感覚ですので、顔に息を吹きかけないように注意しましょう。
4.食事や睡眠を邪魔する
どんなに愛おしくても、食事や睡眠を邪魔するのはよくありません。どちらも生きるために必要な行為です。邪魔をせずに集中させてあげましょう。
飼い主さんご自身も、食事中に何か用事を頼まれたり睡眠中に起こされたりしたら、不機嫌になるのと同じです。
5.集中していることを中断させる
食事や睡眠に限らず、愛犬が何かに集中している時には中断させないようにしてあげましょう。特に多く見られるのが、散歩中です。犬は五感の中でも嗅覚をかなりの比率で使い、多くの情報を収集しています。
そのため散歩中に真剣にニオイを嗅ぐのですが、それを中断させて先を急がせる飼い主さんが多いのです。散歩はできるだけ時間に余裕をもたせ、興味を示しているニオイをしっかりと嗅がせてあげるようにしましょう。
6.いつもと違う態度を見せる
飼い主さんご自身がイライラしていたり、精神的に不安定などの理由で普段とは異なる態度を見せると、犬もそれに呼応するように不安になり、イライラします。
犬は人に対する共感性が強いのです。ご自身の感情に流されず、常に平静で同じ態度をとるように意識しましょう。
7.面白がってからかう
飼い主さんの中には、犬をわざとからかったり嫌がるようなことをして、その反応を楽しんでおられる方がいらっしゃいます。反応が可愛らしいため、何度も繰り返してその反応を見たいのかもしれません。
たとえ悪気がなくても、それはいじめと同じです。いじめられる側には強いストレスが溜まっていき、常にイライラしたり不安に怯えたりするようになってしまいます。反応が可愛らしいからといって、面白がってからかってはいけません。
愛犬をイライラさせないために飼い主ができること
元来犬は保守的で、自分の縄張りの中でいつものルーティーンを繰り返しながら穏やかに暮らすことで安心できます。愛犬にそのような暮らしをさせるためには、飼い主さんができることがあります。
まずは愛犬のストレスを見逃さないために、カーミングシグナルを把握しましょう。たとえ人間の言葉を話せなくても、愛犬の仕草や行動には必ず愛犬の気持ちを表すヒントが隠れていますので、人間が気づいてあげる必要があります。
次に、愛犬からのサインに気付いたら、その原因を突き止めましょう。取り除けるものは取り除き、どうしても取り除けないものごとであれば、少しずつでも慣れさせてあげることで、愛犬のストレスを軽減してあげましょう。
愛犬のストレスの原因が飼い主さんご自身の行動にあることも忘れず、しっかりと原因を突き止めるようにしましょう。
まとめ
飼い主さんは愛犬を愛おしく思い、自分なりの方法で可愛がられていると思います。しかし実はその行動の中には、愛犬をイライラさせてしまうものがあることを知っておきましょう。
飼い主さんの悪気の有無は関係ありません。愛犬がどう受け止めるかが問題なのです。
愛犬のストレスに気付けるよう、カーミングシグナルを知り、自分の行動と愛犬の反応を結びつけて考えられるようになりましょう。