1.一緒に散歩を楽しむ
犬は体を動かすことで楽しさや程よい刺激を感じられるので、それらが足りないと欲求不満になることがあります。そのため、心身のストレスを解消するためには「散歩」が効果的だと考えられています。
ただし、毎日おこなっている散歩が、決まった時間に決まったコースを歩き、決まった公園に立ち寄る…というようにルーティン化されている場合、通常の散歩では効果を発揮しないこともあります。
大切なのは、「犬が本当に楽しいと感じる散歩」であり、「飼い主さんと一緒に楽しむ散歩」であることなのです。そのため、いつもとは違う公園に行ってみたり、時間を作って自然の中に遊びに行ったりと変化をつけた散歩をしてみることをおすすめします。
なかなか時間が取れない場合でも、歩くコースを変えたり、愛犬にたくさん話しかけたりアイコンタクトを取ったりしながら散歩を一緒に楽しんであげるといいでしょう。
監修ドッグトレーナーによる補足
人では、自然の中を散歩するとストレスの元となるコルチゾールが減少するとの研究結果があります。(科学メディア「フロンティアーズ・イン・サイコロジー」掲載論文)(千葉大学環境健康フィールド科学センターの宮崎良文教授が率いる研究チーム結果)
もしかすると犬たちも自然の中を散歩することでストレス軽減につながっているのかもしれませんね。
2.おもちゃ遊びをする
犬にとっておもちゃ遊びは単なる「遊び」ではなく、動物としての本能を刺激して欲求を満たすためのものでもあります。
おもちゃを追いかけて走ったり、捕まえて壊したり、噛んで引っ張ったり、飼い主さんに獲物(おもちゃ)を持ってきたり、といった行動はどれも狩猟本能を刺激します。狩猟を成功させることで達成感や充実感を感じるため、おもちゃ遊びでそれを疑似体験すると、とてもいい刺激が得られます。
欲求不満を解消するためには、ただ犬におもちゃを渡してひとり遊びさせるだけでなく、飼い主さんが一緒に遊んであげることが大切です。犬種によって習性や行動も異なるので、愛犬が求める遊びを考えてみてくださいね。
監修ドッグトレーナーによる補足
犬は、追いかけて捕まえることが大好きな子が多くいます。そこで、おもちゃを生き物のように動かしてみましょう。愛犬はまるで逃げているようなおもちゃを追うことで運動にもなり、欲求不満解消にもつながりますよ。
3.スキンシップやマッサージをする
犬は大好きな飼い主さんとのスキンシップで安心感を感じます。ストレスや疲労が緩和されると考えられていて、飼い主さんとアイコンタクトを取ることで幸福感を感じるホルモンが分泌されることがわかっています。
マッサージについても専門的な知識はなくても、まずは優しくなでたりもみほぐしたりしてあげるだけでOKです。大切なことは、飼い主さんとの穏やかなスキンシップなので、ぜひ日頃から取り入れてくださいね。
監修ドッグトレーナーによる補足
飼い主さんとのスキンシップとしてマッサージは有効です。ただし、足先や顔周りを触れられることを嫌がる子もいます。
少しでも逃げたり怖がる素振りを見せた場合は無理強いしないことが大切。また、飼い主さんの体調や気持ちも手を通じて犬に伝わるので、お互いがリラックスできる場所でゆっくりと時間をかけてマッサージを行うと良いですよ。
欲求不満が隠れている犬の行動
犬が欲求不満になるのは、運動や精神的な刺激、飼い主さんとのコミュニケーションが不足していることが考えられます。
そのようなとき、犬は体力やストレスを発散するために思い切り走り回ったり物を壊したりと、爆発的な激しい動きを見せます。クッションや家具を噛んでボロボロにしたり、狭い場所を走って暴れたりするだけでなく、普段は吠えない場面で激しく吠えることもあるでしょう。
心身のエネルギーが溜まりすぎてしまうと、普段はしないような激しい行動が見られるようになります。「いたずらが増えた」「無駄吠えが多い」「気性が荒くなった」と感じたときには、犬が欲求不満になっていることが考えられるので、日々の生活を見直してみてください。
また、ストレスが強くかかりすぎると、無気力になったり自傷行為(前足を舐め続ける・尻尾の毛をむしるなど)をしたりするようになることもあります。このような様子が見られたときは、回復までに少し時間がかかるかもしれませんが、根気よく愛犬に向き合ってあげましょう。
まとめ
犬が欲求不満になる原因は様々で、犬の個性や生活環境によって異なります。しかし、欲求不満やそれによるストレスを解消するためには、飼い主さんがしっかりと向き合い、十分な触れ合いをすることが必要だと考えられています。
一緒に暮らしている愛犬の行動や態度の変化にできるだけ気がつくようにして、早い段階で対処することで大きなトラブルにつながりにくくなります。
また、日頃からこまめなスキンシップや声掛けをして、愛犬がストレスを溜めすぎることのないように配慮してあげましょう。