アリゾナのドッグパークに設置された先端技術の休憩所
今年の夏は世界各地で記録的な暑さが報道されました。犬と暮らしている皆さんも、愛犬の散歩や運動に四苦八苦されたことと思います。
アメリカでも事情は同じで朝夕の気温が低い時間帯に、自動車でドッグパークまで行って芝生の広場で犬を遊ばせるという方法を取る人が多いようです。
アメリカの中でも「最も暑い州」と言われるアリゾナ州では、アリゾナ州立大学の研究者がドッグパークを涼しくするための、科学技術を駆使した休憩所を設置したことが話題となっています。
太陽熱の影響を受けない受動放射冷却素材
アメリカの一般的なドッグパークは、日本でドッグランと呼ばれる施設とは桁違いの広さです。
この話題に登場するアリゾナ州フェニックスのドッグパークもフェンスで囲まれた芝生の公園で、広さは約2エーカー(約8,000平方メートル)でサッカーグラウンド2つ分くらいに相当します。
このドッグパークには日陰がほとんどないのですが、ここに設置されたのが『受動放射冷却』の技術を使ったあずまや(休憩所)です。
受動放射冷却は、自然界で夜間にのみ起こる自然現象です。熱エネルギーが赤外線放射という形で物体から離れることを利用して、物質の温度を制御する技術です。
建築材料や接着剤のメーカーである3M社が開発した受動放射冷却素材を使って木製のあずまやをコーティングすることで、太陽熱の影響を受けない冷たい表面を作り出し、そこで休憩する人や犬に快適な環境を提供するというものです。
この休憩所の赤外線画像を見ると、周囲の環境が高温を示す赤やオレンジ色である中で、あずまやの屋根、柱、床面は低い温度を示す紫、青、黒となっており、周囲の環境よりもかなり低温であることを示しています。
単純に日陰ができるから涼しいということとは全く違うことがわかります。
日陰が涼しいだけでなく、周囲の温度を下げる新素材
アリゾナ州立大学とフェニックス市そして3M社は、受動放射冷却素材によって物体表面の反射率を高めることで、周囲の環境を冷却できる可能性について共同研究を行なっています。
過去にこの休憩所よりも小さい規模で試験的に作られたバス停留所の待合エリアでは、受動放射冷却素材によって、周囲の大気中への熱の対流を大幅に減少させることができました。
ドッグパークに設置された新素材でコーティングされたあずまやは夏の間、周辺の熱流速(単位時間に単位面積を横切る熱量)と表面温度をモニターされ、周辺環境の温度にどのような栄養を与えたかが分析される予定です。
まとめ
アメリカのアリゾナ州のドッグパークに、受動放射冷却の技術を駆使した素材で作った快適な休憩所が設置されたという話題をご紹介しました。
この技術は、地球規模の気候冷却効果を高める可能性がある非常に重要なものだそうです。科学者たちが人類にとっての非常に重要な研究を進めるためのテストがドッグパークで行われ、今日も犬と飼い主さんたちが最先端技術の恩恵を楽しんでいると思うと、なんだか嬉しいような楽しいような気持ちになります。
《参考URL》
https://news.asu.edu/20230608-solutions-asu-research-makes-dog-park-cooler