犬に市販の人間用の野菜ジュースを飲ませてはいけない理由
愛犬に野菜ジュースを飲ませる目的は何でしょうか。野菜が好きだから、飲みたがるから、栄養補給のためなど、様々な目的や考えがあると思います。
市販の人間用の野菜ジュースに含まれている栄養素は、主に糖質・食物繊維・ミネラル・ビタミンなどです。原材料に使われる野菜によっては、リコピン・ポリフェノール・βカロテンなど、体に良さそうな名前の栄養素も含まれていますよね。
それらの栄養素を犬は市販の人間用の野菜ジュースから補う必要があるでしょうか。ドッグフードが総合栄養食である場合、必要な栄養素を十分に摂れているのではないでしょうか。
健康の維持に欠かせない栄養素も、市販の人間用の野菜ジュースを飲ませることで摂りすぎてしまうと、病気の原因になったり、健康寿命を縮めてしまったり、害を及ぼすことがあります。
尿結晶が形成されやすくなる
犬が市販の人間用の野菜ジュースを飲むことで、マグネシウムやカルシウムなどのミネラル成分を摂りすぎてしまうと、尿結晶が形成されやすくなります。
犬に起こりやすいストルバイト結石やシュウ酸カルシウムは、マグネシウムやカルシウムによって構成されます。
犬に1日に必要なミネラル成分はドッグフードに十分に含まれているため、市販の人間用の野菜ジュースを飲ませると、尿結晶の形成や尿結石の原因になりやすいため、飲ませない方がよいです。
肥満になりやすくなる
市販の人間用の野菜ジュースには、糖質が豊富に含まれています。原材料に砂糖や果汁が含まれていない場合でも、野菜由来の糖質が200mlの野菜ジュース1本に15gほど含まれています。
健康や美容やダイエットによいイメージのある野菜ジュースですが、私たち人間が飲む場合でも、飲みすぎは太る、なんて言われているほどですよね。
野菜ジュースを飲ませる分、ドッグフードを減らす、なんて対応はしないと思います。犬用のおやつも食べさせてしまうと思います。それが肥満の原因なのです。
腎臓や心臓に影響を及ぼしやすくなる
市販の人間用の野菜ジュースには「食塩不使用」と表示されている商品もありますが、「塩分相当量」という表示も目にされたことがあると思います。
とある野菜ジュース200ml中には、塩分相当量0.58gと表示されていますが、ナトリウム(ミネラル)に換算すると228mgです。
体重5㎏の犬が健康を維持するために必要とする1日のナトリウム摂取量は250mgです。ドッグフードから摂れるナトリウムと合わせると、確実に摂りすぎてしまうでしょう。
腎臓は余分なナトリウムの排出を行いますが、ナトリウムが血液中に増えると血圧が上昇します。心臓は血圧に負けない力で、全身に血液を送りだします。そのため、余分なナトリウムは、腎臓や心臓に負担をかけ、心疾患や腎疾患の悪化要因になります。
犬の健康のためにと、市販の人間用の野菜ジュースを飲ませることが習慣になってしまっている場合、リスクはかなり高い状態でしょう。
まとめ
犬に市販の人間用の野菜ジュースを飲ませてはいけない理由や悪影響について解説しました。
- 尿結晶が形成されやすくなる
- 肥満になりやすくなる
- 腎臓や心臓に影響を及ぼしやすくなる
犬に市販の人間用の野菜ジュースは絶対に飲ませるな!とまで言うことは過剰かと思いますが、飲ませる必要性は極めて低いです。おやつの代わりや嗜好品として飲ませる場合には、ティースプーン1杯程度を舐めさせる、というだけも十分なのではないでしょうか。
愛犬に市販の人間用の野菜ジュースを飲ませる必要性はありません。飲ませることで愛犬が背負う可能性の高いリスクの方が心配です。
野菜ジュースを飲ませたい理由として、栄養素の偏りなどを考える場合には、ドッグフードを見直してみましょう。
健康診断を受けるなど、愛犬の健康状態を知った上で、かかりつけの獣医師に相談するとよいと思います。