犬が目を細めるのはなぜ?5つの理由と注意すべき目の細め方を解説

犬が目を細めるのはなぜ?5つの理由と注意すべき目の細め方を解説

犬は、人と交流を始めてから長い時間を過ごし、やがて人とアイコンタクトによって意思疎通を図るようになりました。そのため、愛犬の気持ちを読み取るには、目の状態も非常に有効な手掛かりになります。その中でも犬が「目を細める」仕草には、いくつかの感情と、場合によっては病気のサインが隠れている可能性があります。犬が目を細める理由や、注意すべき細め方について解説します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

目は情報の入口

目を細めて笑う柴犬

目は「視覚情報」の入り口です。周囲の様子を知るために、重要な情報をキャッチします。そのため情報を得ようとして必死に目を見張ることもあれば、視覚以外の情報に集中するためにあえて目から入る情報をシャットアウトすることもあります。

また、疲労した視神経を鎮めようとしたり、単に眠くて目を開いていられなかったり、さらにはあまりの気持ちよさに目がトロンとなってしまうことも。つまり、目を細めたりつぶったりして情報量を調整したり、また感情が目の表情として表れることもあるのです。

愛犬も、私たち人間と同じです。常に目を見開いてばかりいるわけではなく、目を細めたりつぶったりします。自分の感情を表現するためという場合もあれば、目を開けていられない理由がある場合もあります。

犬が目を細める理由

撫でられて目を細める犬

今回は、愛犬が目を細めているときの表情や状況から気持ちを読み解いたり、裏に病気が潜んでいるかもしれない注意すべき目の細め方などについて解説します。

1.深い充足感

美味しいご飯を十分に食べた、飼い主さんと一緒にたくさん遊んだなど、深い満足感に浸っている時に目を細めていることがあります。私たちが仕事を終えて晩酌を楽しんでいる時に、目を細めながら「美味しい〜!」と溜め息をつくのと同じような心境かもしれません。

愛犬がこのような状況で目を細めているときは、満足感に浸ってもいますが、同時に非常にリラックスした状態でもあります。ですから次第にウトウトし、そのまま眠ってしまうこともあるかもしれません。そのままそっとしておいてあげると良いでしょう。

2.笑顔を作っている

飼い主さんと目が合った瞬間に、こちらを見つめながら目を細め、口角を上げている場合は、愛犬が飼い主さんに対して「笑顔」を見せているのかもしれません。それは、飼い主さんへの愛情表現の一つです。

犬の気持ちから自然に湧き出た表情ではないかもしれませんが、犬が人間と関わってきた長い歴史の中で、人間に合わせて表情筋が非常に発達してきていることが分かっています。つまり、犬は普段の飼い主さんの表情をお手本にして「笑顔」を作り、飼い主さんに送ることで愛情を表現していると考えられるのです。

3.ストレス

逆に、「笑顔」に見えて実はストレスが原因だということもあるので注意が必要です。

目を細めるというしぐさは、犬のストレスサインの一つでもあり、初めての場所や見知らぬ犬や人と対峙した場合などによく見せる仕草です。飼い主さんに叱られているときなどにも見せるので、目が合ったから単純に愛情表現だと思い込まずに、周囲の状況や愛犬が発している全身のサインを見逃さないようにしましょう。

また自分の緊張を落ち着かせようとしながら、同時に自分よりも強そうな相手に対して「敵意はないから落ち着いて!」という意味で目を細める場合もあります。

4.物理的な刺激

人間も同じですが、眩しいときや強風などの物理的な刺激に対して目を細めることもあります。そのまま埃や砂、虫などが目の中に入ってしまい、目を開いていられない状態の場合もありますので、愛犬がいつまでも目を細めているようであれば、目の状態をチェックし、目に入った異物などを除去しましょう。

ただし、難しい場合はかえって角膜などを傷付けてしまう危険もありますので、動物病院で処置してもらいましょう。

5.目の異常

目そのものに異常が生じており、それが原因で目を開いていられない状態の場合もあります。アレルギーなどが原因で痒みが生じていることもあれば、逆さまつ毛による角膜への刺激、結膜炎やドライアイといった目の病気が原因の場合も考えられます。

次章で、注意すべき目の細め方や、目の病気のときに同時に見られる症状をご紹介します。愛犬の様子に該当する症状が見られる場合は、速やかに動物病院で受診してください。

注意すべき目の細め方

目を診察中の犬

一瞬目を細め、またすぐ元の表情に戻り何事もないような場合は、感情表現や物理的な刺激に対する反応である可能性が高いので、あまり心配する必要はないでしょう。ただし、「ずっと眩しい」とか「終日強風」のような場合は、刺激を受けないようにしてあげましょう。

問題なのは、頻繁に、または継続的に目を細めている場合です。これは感情表現ではなく、そうせざるを得ない理由があるからだと考えられます。

目を細めている以外に下記のような症状も見られる場合は、目の病気やケガが原因である可能性が高いため、できるだけ速やかに動物病院で診てもらいましょう。

  • まぶた(の一部)が腫れている
  • 目に異物が入っている
  • いつもより目やにが多い
  • 日差しが強いわけでもないのに眩しがる
  • 涙を流している
  • 目が乾いている
  • 前足でしきりに目を擦ったり、目を床や家具などに擦り付けている
  • 目の色がいつもと違う(赤い、白いなど)

まとめ

目を細める大型犬

一日の終りに浴槽に浸かり体の芯から温まってくると気持ちよくなって目を細めたり、想像以上に肌触りの良いタオルで顔を拭いた瞬間に思わずうっとりして目を細めてしまったりと、私たち人間は気持ちが良いとその瞬間思わず目を細めてしまうことがあります。

犬たちも同じように、十分にリラックスした状態で満足感に浸っている瞬間は、思わず目を細めてしまうようです。飼い主さんに対して愛情表現の一環として「笑顔」を作ってこちらに向けてくれることもあるようです。逆に、ストレスが原因で目を細めていることも。

愛犬の気持ちを読み取るときには、どこか一点だけではなく、耳やひげ、尻尾、姿勢など、全身が発しているサインを見逃さないことが大切です。また、他の症状が伴っている場合は病気が潜んでいる可能性もあります。普段の愛犬の状態をしっかり把握しておくようにしましょう。

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