犬は猫よりも感情表現が豊か、猫は怒りの感情をよく見せるという調査結果

犬は猫よりも感情表現が豊か、猫は怒りの感情をよく見せるという調査結果

犬と猫の飼い主さんを対象にしたアンケート調査で、飼い主の認識では犬は猫よりも幅広い感情を示すという結果が報告されました。

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犬と猫の感情についてのアンケート調査

ソファーの上のラブラドールと猫

犬や猫は私たちの最も身近にいる動物ですが、彼らの感情を理解することは簡単ではありません。擬人化や知識不足のために感情を読み誤ると動物福祉を損なったり、人間が怪我をする危険性もあります。

動物と人間両方の安全と福祉の向上を目指して、動物の感情についての研究は数多く行われています。中でも、犬や猫は飼い主から情報を収集して調査研究を行う手法が幅広く行われています。

イギリスのリンカーン大学の生命科学と心理学の研究チームは犬と猫の飼い主を対象に、愛犬や愛猫の感情表現についてのオンライン調査を行い、その結果が発表されました。

あなたの愛犬/愛猫はどんな感情を表現しますか?

笑顔のアメリカンブリー

オンライン調査への参加者は、ソーシャルメディアやペット関連ビジネスを通じて募集され、参加条件は16歳以上で犬または猫と2年以上暮らしていることで、オンラインアンケートに回答することが求められ、犬と猫両方を飼っている人は両方の動物について回答しました。

アンケートの内容は、飼い主の性別や年齢などの基本情報、犬や猫に関する職業に就いた経験があるかどうか、飼い主のメンタルヘルスの状態が含まれたといいます。

動物については、性別や年齢などの基本情報に加えて犬種、猫種、耳や尻尾の形、毛色などについて詳しい質問が設定されていました。

アンケート調査のメインテーマである犬と猫の感情については、6つの一次感情(怒り、嫌悪、恐怖、喜び、悲しみ、驚き)と16の二次感情(娯楽、不安、退屈、混乱、興味、失望、恥ずかしさ、共感、欲求不満、嘆き、罪悪感、嫉妬、愛情、痛み、期待、誇り)について、愛犬や愛猫が表現できるかどうかが質問されました。

上記の感情について「表現できる」と答えた場合は、その感情を識別するための行動は何であるかが質問されました。行動の例は、飼い主への接近、表情、頭/耳/体/尻尾の位置や姿勢、発声、アイコンタクト、動きの速さ、身体的接触などがあったそうです。

これらの質問について438人の犬、または猫の飼い主が回答しました。

犬は猫より幅広い感情表現、でも疑問点も

怒っている猫のクローズアップ

集計された回答からは、飼い主による認識では犬は猫よりも幅広い感情表現を示すという結果が得られました。

リストアップされた感情の種類で、犬猫ともに「表現できる」という回答が多かったのは、興味98%、喜び96%、愛情96%、恐怖89%、不安86%で、反対に少なかったのは、罪悪感17%、嘆き20%、恥ずかしさ24%、誇り28%、嫌悪感32%でした。

犬の飼い主の方が「表現できる」という回答が多かった感情は、喜び、悲しみ、不安、退屈、混乱、嫉妬、欲求不満、罪悪感、痛み、期待でした。これらは犬と猫両方を飼っている飼い主でも同じ傾向だったそうです。

対照的に、猫の飼い主の方が「表現できる」という回答が多かった感情は怒りのみで、その他の感情については犬と猫でほぼ同じでした。猫の飼い主の85%が愛猫が怒りを示すのを目撃したことがあるのに対し、犬では怒りを目撃したことがある飼い主は60%でした。

「あなたはどのくらいの確率で愛犬/愛猫の感情を読み取れますか」という質問では、犬の飼い主の平均は65%、猫の飼い主の平均は58%でした。

「犬の方が感情表現が幅広い」「犬の感情の方が読み取りやすい」という結果については、犬は狩猟や牧畜など人間の活動に密接に関わってきたので、人間との意思の疎通のために感情表現が豊かになった可能性と、感情が読み取りやすい個体が選択的に繁殖されてきた背景があります。

動物の感情については、飼い主の思い込みや擬人化が入っている可能性もありますが、犬と猫それぞれの感情を識別するための行動についての質問では、ほとんどの回答者が特定の感情に明確な行動サインを関連づけており、飼い主が動物の感情を客観的に観察している傾向が見られました。

しかし、猫では報告された感情の数が少なかったことは、猫の感情が見過ごされている可能性があります。例えば、飼い主が「怒り」と認識した感情は本来は「恐怖」かもしれません。その場合、猫の福祉が損なわれ、飼い主に危害が及ぶ可能性があります。

犬の場合も、体を縮こまらせてアイコンタクトを避ける行動を、「罪悪感」「恥ずかしさ」と結びつけている回答がありましたが、これも恐怖や不安である可能性が高いものです。感情の読み違いから人間が誤った行動を取ることは、咬傷事故につながるリスクがあります。

まとめ

ラブラドールと白い猫

犬と猫へのアンケート調査から、飼い主視点では犬は猫よりも感情表現の幅が広いという分析結果が出たことをご紹介しました。

この分析結果はあくまでも「飼い主の認識では」という前提のものです。集められた回答から飼い主の考えを検証していくことは、犬や猫の福祉を向上させ一緒に暮らす人間の安全性を高めるためのステップとなり得ます。

《参考URL》
https://doi.org/10.3390/ani13050820

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